勝利の女神は微笑まず。久々のル・マン総合優勝を7号車に譲った8号車。トヨタ平川亮は嬉しさ半分、悔しさ半分「最後はツイてなかった」
ル・マン24時間で優勝を争いながらも3位に終わったトヨタ8号車の平川亮。7号車が優勝したことに対する嬉しさはあるものの、複雑な胸中であることは言うまでもない。
#8 Toyota Racing Toyota TR010 Hybrid: Ryo Hirakawa
写真:: Marc Fleury
2026年のル・マン24時間レースでは、TOYOTA RACINGの7号車がトヨタにとって4年ぶりとなる総合優勝を果たした。一方で8号車はレース終盤までトップ争いを繰り広げながらも、3位に終わった。
トヨタ勢は予選で後方に沈むも、レースではアンダーカット戦略も決めて早々に上位に食い込んだ。中でも8号車はキャデラックの38号車、12号車、BMWの20号車らとトップ争いを繰り広げており、優勝が現実的な位置に見えていた。一方の7号車は序盤のパンクでタイムロスし、さらにはセンサートラブルでパワーを出しきれない状況が続くなど苦戦しており、上記の争いからは一歩離れた位置にいた。
しかし残り6時間頃にその潮目が変わることになる。8号車はブレンドン・ハートレーから平川亮にドライバー交代する際のピットストップで、取り付け部に緩みが生じていた左フロントのブレーキドラムを交換したためタイムロス。7号車の後ろに回ることになる。そしてその直後にセーフティカーが出されて各車のギャップが縮まったことで、キャデラック12号車、BMW20号車、トヨタ7号車、トヨタ8号車の4台による優勝争いに変わった。
トヨタは7号車と8号車で戦略を分けながらライバルを追い詰めていったが、終盤には2番手を走る8号車のセバスチャン・ブエミが周回を重ねたタイヤでBMWを抑え込み、トップを走る7号車を逃すといった場面もあった。結果的には2台で上位争いに絡んだトヨタの総合力が優勝に直結した格好だが、8号車にとって悔しいレースとなったのは言うまでもない。
8号車のドライバーとして2022年のル・マンを制した平川にとっては、チームメイトの優勝を見届ける立場となったのは初めてのことでもあった。平川は総力戦でチームとして勝利を掴めたことは嬉しいとしながらも、様々な“タラレバ”もあることから、同じくらい悔しさもあると語った。
「そうですね……タラレバを言ってしまえば、色々とありますが、その中でも8号車はベストを尽くしました」
「左前にトラブルが出ましたが、それをメカニックが見つけてくれないとリタイアになっていた可能性もありますし、メカはそれを最小限のロスで直してくれました。その後セーフティカーが出たことで、そこの確認がしっかりできたということもありました」
「他にもFCYの(速度違反)ペナルティがあったりと、運もあったりなかったりで、アップダウンがあった24時間だったなと思います。最後はツイてなかったですけど」
「最後は2台のうち、どちらかが勝てばいいというチームの作戦もありました。そこに関しては、チームが勝てたので自分としても嬉しいです。自分としてはベストを尽くしたので何も悔いは残っていないですし、次のサンパウロでのレースに向けて何をすべきか考えているところです。悔しさ半分、嬉しさ半分という感じですね」
またTOYOTA RACINGの中嶋一貴チームディレクターは、8号車はツキに恵まれなかった部分があったとしつつも、2台がトップ争いに残っていたことが勝因になったと語った。
「レースは正直ツキの部分もありましたが、最後あそこ(トップ争い)に2台いたことが優勝に直結した1番の要因になったと思いますし、そういう意味ではチームの総合力でつかみ取れた優勝だったと思います」
「8号車には少し酷になってしまいますが、タイミングやそういったところで流れが(7号車に)傾いたのかなと。そこに8号車がいなかったらそういった(2台で分ける)戦略は取れなかったかもしれないですから、チームとしての成果だったと思います」
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