トヨタ、早くもGR010の後継となるLMHマシンを開発中か。ルール変更による妥協がきっかけに?

トヨタは、2022年にデビューしたLMH車両であるGR010 HYBRIDに代わる、全く新しいLMH車両の投入を検討しているようだ。

トヨタ、早くもGR010の後継となるLMHマシンを開発中か。ルール変更による妥協がきっかけに?
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 TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、現行のLMH車両であるGR010 HYBRIDに代わる、全く新しい車両の開発をすでに進めているようだ。

 トヨタは、2012年からハイブリッドのプロトタイプ車両でFIA世界耐久選手権(WEC)に参戦。2016年に投入されたTS050 HYBRIDでは、悲願のル・マン24時間レース優勝を果たした。

 2021年からは、それまでのLMP1規定に代わりLMH規定が導入。トヨタはGR010 HYBRIDを開発し、参戦を継続している。

 LMHの技術規則では、マシンの開発が厳しく制限されている一方で、5シーズン(2021年1月から2025年12月)までの間に、最大2台のホモロゲーションを取得することができるとされている。

 そして情報筋によると、トヨタは昨年デビューしたGR010の後継車の設計・開発をすでにかなり進めているという。だが、新車の投入時期が2023年か24年かは不明であるようだ。

 トヨタは、その開発計画についてコメントを拒否している。TGRヨーロッパの広報担当者は、次のように語っている。

「マシンの技術的な詳細を含む2023年のプログラムの詳細は、今シーズンが終了した後に発表する予定だ」

 トヨタがGR010の後継車を開発する理由は、今季GR010のタイヤサイズが変更されたことから推察できる。

 当初、GR010の前後のタイヤサイズは同じで、幅13インチだった。ところが今季に入って、フロントは幅12.5インチ、リヤは幅14インチに変更されているのだ。つまりフロントはタイヤのパフォーマンスが減少、リヤは増加しているわけだ。

 2023年に車両がデビューする予定のLMDh規定と整合性を図る過程で、LMHのルールに変更が加えられたことでGR010のデザインには妥協が生じた。テクニカルディレクターのパスカル・バセロンによると、2020年5月にLMHの最小重量と最大出力の数値が引き下げられたことが、タイヤサイズ変更のきっかけになったと説明している。

 最低重量が1100kgから1030kgに引き下げられたことで、トヨタはフロントにワイドなタイヤを装着するのに適した重量配分ができなくなったのだ。

「5月に最低重量が70kg減らされた。そして(新車は)7月にロールアウトする予定だったので、すでにクルマは設計され、生産されていたんだ」と、バセロンは語った。

「その結果、重量配分が狂ってしまいタイヤに合わなくなってしまった。だから重量配分を見ながら、適切なタイヤに変更しなければならなかったんだ」

「それ(最低重量の変更)が主なきっかけになった」

 レギュレーション上、LMH車両の開発は厳しく制限されている。デビューした車両の性能変更には、”エボ・ジョーカー”と呼ばれる開発トークンが必要となる。これは5つ与えられており、これを使って変更できる範囲もレギュレーションで詳しく定められている。

 また、今季はフロントアクスルに搭載されたハイブリッドシステムの出力が可能となる速度が時速190kmまで引き上げられている。これはタイヤサイズに関連したものだという。

 その影響もあってかルールが変更され、2022年末までにホモロゲーションされたクルマだけが前後13インチというタイヤの組み合わせを使うことができることになった。なお、ハイブリッドシステムを搭載していないグリッケンハウス007 LMHと、10月にデビューするプジョーの9X8は前後13インチのタイヤを使用する。

 2023年にデビューするフェラーリのLMH車両やLMDh車両は現行のGR010と同じ、前12.5インチ、後ろ14インチのタイヤを使用することになる。

 LMH規定の初年度からマシンを投入したトヨタ。後発のLMH車両やLMDh車両は、トヨタのパフォーマンスをある程度基準にしながらマシン開発が進められているだろう。トヨタが土壇場での妥協を強いられたGR010のデータも踏まえ、後継車両を開発して新たに登場するライバルたちを迎え撃つというのは、理にかなった判断だと言えるはずだ。

 2023年シーズンにトヨタの新型LMHが導入されれば、少なくとも3年の寿命が与えられることになる。LMH規定は、現時点で2025年末まで適用されることが決まっているからだ。だが、LMDh規定に合わせて2027年末まで延長される可能性も高い。

 
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