WEC、ポルティマオ戦のBoP変更はグリッケンハウスデビューに伴う”初期調整”。トヨタ「合意されたプロセスの一部」と納得
トヨタは、WEC第2戦ポルティマオ8時間レースを前に行なわれたハイパーカーの性能調整について、不満はないという。
FIA世界耐久選手権(WEC)第2戦ポルティマオ8時間レースに向けて、トヨタのハイパーカー『GR010』は最低重量が26kg増の1066kgに。1スティント中に使用できるエネルギー量が2MJ減らされた他、最大出力も5kW減の515kWに変更されている。
TOYOTA GAZOO Racing ヨーロッパのテクニカルディレクターであるパスカル・バセロンは、この性能調整(BoP)の変更について「完全に受け入れられるものであり、我々が異議を唱えることの出来ないプロセスの一部だ」と語った。
バセロンは今回の調整について、グリッケンハウスがハイパーカー『007 LMH』をWECデビューさせることを踏まえたものだと説明した。バセロンは今回の性能調整を含む”開幕時のBoP”と、レースで得られたデータに基づくBoPを区別して考えているわけだ。
「今回の調整は、まさにBoPの一部だ。ホモロゲーションデータに基づく、いわゆる初期バランスもそれに含まれている」
「(WECのルールを共に定めている)FIAやフランス西部自動車クラブ(ACO)は、ザウバーの本格的な風洞で測定された空力特性やエンジンデータなど、我々のクルマに関する多くのデータを持っている」
「ホモロゲーションのデータを何らかの形で補正し、望ましいバランスを達成できるようにする。それが計画だった。これは避けられないことであり、合意されたプロセスの一部だった」
# 709 Glickenhaus Racing Glickenhaus 007 LMH
Photo by: JEP / Motorsport Images
ACOのテクニカルディレクターであるティエリー・ブーベは、トヨタおよびアルピーヌのLMP1マシン『A480』に施された性能調整は、グリッケンハウスが欠場した先月のWEC開幕戦スパの結果を反映したものではないと説明した。
「LMH(ル・マン・ハイパーカー)のレギュレーションには、パフォーマンスウインドウがあるが、これはすでにかなり小さい」
「しかしその小さいウィンドウの中で、クルマ(のパフォーマンス)が少しずつ離れていくことがある。我々が検討しているのは、その違いをどう修正するかということだ」
ただ今回のBoP変更により、トヨタと同じくハイパーカークラスであるアルピーヌのマシンもパフォーマンスを下げる方向で調整されている。バセロンは、5月のスパでも大きな話題となったLMP2クラスとのパフォーマンス差が、ますます縮まることになると認めている。
「今回のBoPにより我々は遅くなる。(1周につき)0.6秒ほどだろう。スパのレースアベレージでは、LMP2クラスよりも我々の方が1周1.3秒速かった」
「LMP2との差がさらに縮まることになる。なにか問題が起きるかもしれない」
今季、LMP2マシンはパフォーマンスを下げる施策の一環として、ローダウンフォース仕様のエアロキットを全レースで使用することになっている。バセロンはスパよりも今回のアルガルヴェ・サーキットの方がダウンフォース不足の影響が大きいと考えているものの、1周の長さが約7kmのスパと比べ、アルガルヴェは1周約4.7kmと短くなるため「BoP調整により差は縮まるだろう」と指摘している。
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