WEC Fuji
ジャッキー・スチュワートが考える、モータースポーツの新しいフィードバック方法「F1/モータースポーツの技術は、おそらく世界で最も速く進化している」
F1で3度チャンピオンに輝いた伝説的ドライバー、ジャッキー・スチュワートがWEC富士6時間レースの会場を訪れ、認知症撲滅を目指す慈善団体への支援を訴えた。
田中 健一
編集: 2026/09/26 5:07
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Jackie Stewart, Jacky Ickx
写真:: Motorsport.com / Japan
WECの富士6時間レースが行なわれている富士スピードウェイに、伝説的ドライバーであるジャッキー・スチュワートの姿があった。
スチュワートは今回、自身が設立した認知症研究を支援する慈善団体『Race Against Dementia』への支援を訴えるべく、WEC開催中の富士スピードウェイにやってきた。
スチュワートは1966年に同サーキットで行なわれたアメリカンレース”富士200マイル”に参戦し優勝。それが日本での最初のレースであったという。
「当時、インディ500がきっかけで日本にやってくることができたんだ。あれは、コースは今と似たようなモノだったけど、周回の方向が逆だった。今は右回りだけど、あのレースは左回りだったんだ」
スチュワート卿は当時のことをそう振り返る。
「そのレースには、ジム・クラークやグラハム・ヒルなども出場していた。しかし、私が優勝することができたんだ」
「日本に来るのはその時が初めての経験だった。だから、たくさんの思い出があるよ」
長くモータースポーツの世界に関わり続けるスチュワート卿。どんな部分が一番大きく変化したと思うかと尋ねられると、こう語った。
「モータースポーツにおける技術革新は、おそらく他のどんな活動よりも速いだろう。コンコルド(超音速旅客機)の開発には何年もかかった。でもそのプロジェクトが終わると、多くの関係者がモータースポーツの世界にやってきたんだ」
そうスチュワート卿は語る。
「F1の技術は、おそらく世界中のどんなモノよりも速いペースで進化している。そして今や、世界中の多くの人が自動車を日々運転するため、モータースポーツとの関わりがある分野が広がっている……そしてモータースポーツも、さらに広い視野を持つようになった」
「そしてモータースポーツは、以前よりも盛んになっている。今やF1は、世界中の数多くの国で開催されるようになったしね」
そしてこれこそが、認知症研究を支援する『Race Against Dementia』に繋がる。もちろん、モータースポーツの世界的な知名度を活用したいという狙いもある。しかしそれだけではなく、モータースポーツにおける開発スピードを、認知症研究に取り入れようとしているのだ。
スチュワートの息子であり、『Race Against Dementia』の会長を務めるマーク・スチュワート氏が説明する。
「認知症は、今はまだ完全な治療法のない病だ。そのため父は、若い研究者に5年間の支援を提供すべく、資金を集める団体を設立したんだ」
「これには、F1をはじめとしたモータースポーツの精神を応用している。今回も、各チームの問題解決能力を目の当たりにしたが、上位10〜14台が1秒以内の差で競り合っている。それほどまでに差が縮まった……だからこそ、クルマを改善する、その精神を育む何かを見つけ出さなければいけない」
「そしてその精神を、認知症の研究に持ち込みたいと考えている。すでにいくつかのチームと協力し、その問題解決技術や予測技術を、認知症研究で活用している。AIとも連携し、このアイデアを活かせるようにしている。希望の光が見えてきているんだ」
「認知症を撲滅するために、モータースポーツは支えになっている」
なおWEC富士戦の予選日は、生憎のウエットコンディションに見舞われている。現役時代、雨のドライビングに定評があったスチュワート卿は、走行するドライバーたちにこうアドバイスを送った。
「私はスコットランド出身だ。スコットランドは、まことに雨が多い。だから若かった頃は、当然ながら雨の中でたくさんドライブしたよ」
「スムーズな運転が求められるし、コースアウトは決して許されない。無鉄砲なドライブは禁物だ」
「私は雨の中ではスピードを落とし、事故を起こさないようにした。優勝するためには、まず完走しなければいけないんだ」
なおスチュワート卿は、自動車レースを始める前にはクレー射撃の選手であり、オリンピック候補生にもなった腕の持ち主。その経験が、モータースポーツで活きたとも語った。
「私は、クレー射撃の経験から多くのことを学んだ。射撃は、ミスをしても挽回できるからね」
「しかしモータースポーツでは、一度のミスも許されない。だからもっと経験を積む必要があったんだ」
なお会見の最後には、ジャッキー・イクスも会見場に登場。奇しくも、同じ”ジャッキー”という名前を持つレジェンド二人が、並んで写真撮影に応じるシーンもあった。
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