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ル・マンで使われるミシュランタイヤ……その網目のようなトレッドの模様は何のため? 小林可夢偉「差が小さすぎて、選ぶのが難しい」

WECのハイパーカークラスで使われているミシュランタイヤの接地面には、網目のような紋様が付けられている。これはサステナブル素材を視覚的に示すためにつけられたモノだという。

Michelin tyres detail

Michelin tyres detail

写真:: Jakob Ebrey / LAT Images via Getty Images

 今シーズンのWEC(世界耐久選手権)ハイパーカークラスのマシンに装着されるミシュランタイヤは、従来のレース用スリックタイヤとは異なり、接地面には特徴的なパターンが施されている。

 スリックタイヤは通常、路面との接地面積を最大限に確保するために、一般車のタイヤとは異なり、接地面(トレッド)がツルツルになっている。それをご存知の方は、今年のWEC用ミシュランタイヤを見た時に、「なぜドライコンディション用のスリックタイヤに、トレッドパターンがあるのか」という疑問を抱くはずだ。

 なおこのタイヤは、WECだけでなく、LMDh車両が出走するIMSAでも使われている。

 ミシュランでIMSA担当のコーポーレート・レーシング・マネージャーを務めるハンス・エメル氏は、このトレッドのデザインについて説明してくれた。

「ご覧いただいたのは、視覚的なトレッドパターンだ。このパターンは、まさに今その性能を発揮していると言える。このタイヤは、素材の50%が再生可能なリサイクル素材で出来ている。これは、耐久レース用のタイヤとしては初の試みだ」

 そうエメル氏は言う。

 このタイヤは、これまでにない量のバイオ由来およびリサイクル素材を使いながら、性能を一切損なっていないと説明されている。そして何より重要なのは、このタイヤがウエット路面用ではないということ。トレッド面の紋様は溝ではなく、タイヤの表面と完全に一体化している。

「このパターンは、金型に整形されている。つまりこのパターンに使われている素材は、レーシングタイヤのトレッド面のゴムと全く同じモノだ」

 トレッド面の表層にこのパターンが施されているため、マシンがガレージを出て負荷がかかると、すぐに変形する。そして徐々にトレッド面は均一な表面へと変化する。ではいつまでこのパターンは残るのか?

「どんなエンジニアリングでもそうだが、答えは『場合による』としか言えない。路面の特性、負荷、その他あらゆる要素によって変わる。デイトナでは、負荷が大きくかかる右側のパターンは、かなり早く摩耗してしまう」

「左側は、スティントの1/3から半分くらいで消えてしまう。ほんの僅かに痕跡が残る場合もあるかもしれないが、走行スティントが終わると、両側ともに完全に摩耗して消えてしまう。

 タイヤの摩耗が左右で均一なサルテ・サーキット(ル・マン24時間レースの舞台)では、3周も走るとトレッドパターンがほぼ消えてしまっていた。

 ただ見た目が印象的なだけではなく、しっかりとしたパフォーマンスを発揮できるタイヤになっていると、エメル氏は言う。

「見た目だけが全てではない。パフォーマンスは常に重要だ。ウォームアップの向上、安定性の向上、そしてタイヤの摩耗を改善したタイヤを供給できたことで、パドック全体で好意的なフィードバックを得ている」

■ル・マンでは3種類のタイヤに大きな差はない?

 なおこのミシュランタイヤを使うドライバーからも、興味深い話が聞こえていている。

 ドライ用タイヤはWECのシーズン中にソフト、ミディアム、ハードの3種類が用意されていて、ル・マン24時間レースではこの全てのタイヤを使うことができる(他のレースではこの3種類のうち2種類のみ)。しかしトヨタ・レーシングの代表兼ドライバーである小林可夢偉は、いずれのタイヤにも性能差はないと明かした。

「今年の網目がついたようなタイヤは結構特殊で、ハード、ミディアム、ソフトのどれを履いても、あんまり変わらないんです。どの温度で履いてもあまり変わりません」

 そう小林は言う。

「昨年は結構明確な差があったんですが、今年はクロスオーバーをジャッジするのはかなり難しい。だから気温や路面温度がどうなろうが、どのタイヤを履いても大外れはないのかなと思います」

 またタイヤの挙動自体も特殊であるようだ。小林はさらに続ける。

「今年のタイヤにはいわゆるカーボンニュートラル素材が入っているんですよね。それでゴムの性能を確保するために、トレッド面のゴムを増やしたようなんです」

「その結果、タイヤが動く部分がすごく大きくなりました。新品タイヤを履いた直後はいいんですが、温度が上がるとすぐにぐにゃぐにゃした感じになるんです。でも摩耗が進んだらまたタイヤが生き返ってくるという現象が起きています」

「今のところ、1セットで3スティントはいけると思います。もしかしたら、4スティント走るのも可能じゃないかという話が出ています」

「でもとにかく、タイヤの作動ウインドウ自体が重複してしまっているので、差が小さくて選ぶのが難しいなというのが正直なところです」

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