ストーブリーグは今年もアツい! F1の2022年シーズン、どのドライバーがどのチームへ行く?

今年も、来季に向けドライバーの移籍や引退の噂がF1界を飛び交う季節がやってきた。どのドライバーが2022年シーズンのシートを確約しているのか、そしてどのドライバーに移籍の可能性があるのかを見てみよう。

ストーブリーグは今年もアツい! F1の2022年シーズン、どのドライバーがどのチームへ行く?

 今年も、来季に向けドライバーの移籍や引退の噂がF1界を飛び交う季節がやってきた。多くのスポーツではシーズンが終わった冬季、つまり“ストーブ”が必要な時期に選手の移籍などが行なわれることから「ストーブリーグ」などと言われてきた。しかしシーズン中はおろか、シーズン開始前から移籍やクビの噂が飛び交うのがF1である。

 馬鹿げたシーズン(Silly season)と言われるほどストーブリーグが今年も加熱する中、2022年に向けて複数名のドライバーがF1のシートを確保している一方で、まだ正式に決まっていないシートも多数残されている。来年のF1グリッドはどのようになるのか見てみよう。

メルセデス

 間違いなく、メルセデスの来季のドライバーラインナップに注目が集まっている。ハイブリッドV6ターボ時代に突入して以降、昨年まで全てのドライバーズ・コンストラクターズタイトルを獲得しているだけあって、“最もタイトルに近いシート”であるのは間違いない。

 メルセデスの若手ドライバープログラムに所属するジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)がメルセデスに招集されるのではないかという噂が、数年前からパドックを賑わせてきた。しかしこれまでのところは、バルテリ・ボッタスが単年契約を重ねてシートを手にしている。

 新型コロナウイルスの感染により欠場したルイス・ハミルトンの代役として2020年のサクヒールGPでメルセデスのマシンを走らせたラッセルは、チームのミスや不運によって優勝こそ逃したものの、高い評価を得た。そしてラッセルが今季もウイリアムズで活躍し、ボッタスなかなか思うような成績を残せていないことから、2022年のメルセデスの一席はラッセルのものになるかもしれない。

■契約済みのドライバー

  • ドライバー1:ルイス・ハミルトン ハミルトンは、2022年から2023年までの契約を更新しており、少なくとも2年以上チームに留まることが決まっている。
  • ドライバー2:未確定

■シート獲得の可能性があるドライバー

  • バルテリ・ボッタス:ボッタスの現在の契約は、メルセデスと5シーズン目となる今年で終了する。ハミルトンとは異なり、ボッタスとチームの契約はほとんどが単年契約で、ここ3年の契約はすべて単年だった。
  • ジョージ・ラッセル:ウイリアムズとの3年契約が今シーズン末に切れるため、今後数週間のうちにメルセデスへの移籍が発表されるのではないかと言われている。現在もメルセデスの若手ドライバープログラムに所属するラッセルは、今シーズンの前半戦を締めくくるハンガリーGPでは、ウイリアムズで初ポイントを獲得するなど、マシン性能が劣る環境下でも大きな可能性を示している。

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George Russell, Mercedes-AMG F1 and Valtteri Bottas, Mercedes-AMG F1

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Photo by: Steve Etherington / Motorsport Images

レッドブル

 レッドブルは、メルセデスと同じような立場にいる。マックス・フェルスタッペンという才能に肩を並べるチームメイトを見つけるという不愉快な作業を、数シーズンに渡って続けているのだ。フェルスタッペンは少なくとも今後2シーズンはチームに留まることになっているが、ダニエル・リカルド(現マクラーレン)がチームを去って以降、レッドブルの“悪名高い”セカンドシートに複数シーズン留まったドライバーはいない。

 姉妹チームのアルファタウリのふたりも含め、現在リザーブドライバーを務めるアレクサンダー・アルボンやレッドブル・ジュニアを見渡しても、現在セカンドシートに収まるセルジオ・ペレスを来季も起用することが最も安全な賭けになりそうだ。しかしそのペレスの契約も、今シーズン終了後に切れることになっている。

■契約済みのドライバー

  • ドライバー1:マックス・フェルスタッペン 2020年1月に結ばれたフェルスタッペンの現在の契約は、2022年と2023年までとなっている。
  • ドライバー2:未確定

■シート獲得の可能性があるドライバー

  • セルジオ・ペレス:単年契約を結んでいるペレスは、アゼルバイジャンGPで勝利を挙げるなど来季のシート獲得に充分な働きをしているという評価であり、チーム代表のクリスチャン・ホーナーも契約延長の可能性を示唆している。またメキシコ人の彼がチームに母国からのスポンサーを持ち込むなど、商業的な利点もある。

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マクラーレン

 来季に向けたマクラーレンの2席は既に埋まっており、ランド・ノリスとリカルドの両名は少なくとも2023年まではチームに残るとされている。ドライバーラインナップに一貫性を持たせることで、近年のマクラーレンに見られるような改善を継続することができるのだ。

■契約済みのドライバー

  • ドライバー1:ランド・ノリス 今年5月にノリスは、来季以降の“複数年”契約延長を結んでいる。
  • ドライバー2:ダニエル・リカルド 今季からチームに加入したリカルドは、厳しいシーズン序盤を過ごしているものの、契約自体は2023年のシーズン末まで継続される。
Daniel Ricciardo, McLaren MCL35M, Lando Norris, McLaren MCL35M

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Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

アストンマーチン

 アストンマーチンの来季のドライバーラインナップも既に決定しており、セバスチャン・ベッテルとランス・ストロールがマシンをドライブする。

■契約済みのドライバー

  • ドライバー1:セバスチャン・ベッテル 4度のF1世界チャンピオンであるベッテルの契約は来季まで継続しており、契約延長の噂も出ている。
  • ドライバー2:ランス・ストロール 実の父親であるローレンス・ストロールがチームオーナーを務めるアストンマーチンでは、当面の間ストロールのシートは安泰と見られている。

アルピーヌ

 アルピーヌも来季のシートが既に埋まっているチームのひとつだ。今年のハンガリーGPでF1初優勝を遂げたエステバン・オコンとは6月に、2024年末までの契約を結んでいる。フェルナンド・アロンソの起用は、新型コロナウイルスの影響により2021年から2022年に延期された新レギュレーションの導入にも関係している。

■契約済みのドライバー

  • ドライバー1:フェルナンド・アロンソ チームと2020年7月に交わされた当初の契約には、契約延長のオプションが付いていた。双方が契約内容に満足し、2年目となる2020年シーズンの契約を結ぶことになった。
  • ドライバー2:エステバン・オコン アルピーヌは6月に、オコンは少なくとも2024年までチームに残ることを発表した。
Fernando Alonso, Alpine F1, celebrates with Esteban Ocon, Alpine F1, 1st position, in Parc Ferme

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Photo by: Glenn Dunbar / Motorsport Images

フェラーリ

 フェラーリは、アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)とミック・シューマッハー(ハース)を始め多くの育成ドライバーを抱えているが、2022年シーズンのシートは既に埋まっている。

■契約済みのドライバー

  • ドライバー1:シャルル・ルクレール 2019年の12月に、フェラーリは2024年までルクレールがチームに残ると異例の大型契約を発表した。
  • ドライバー2:カルロス・サインツJr. 今季からフェラーリに加入したサインツJr.は2022年までの2年契約を結んでいる。

アルファタウリ

 レッドブル傘下のアルファタウリは、2022年のドライバーが確定していない4チームのひとつであり、F1とFIA F2の双方に様々な選択肢を持っている。しかし、ピエール・ガスリーと角田裕毅の現在のコンビが、来季のシートを獲得する可能性はとても高い。とはいえ大胆なドライバー選択をすることで”悪名高い”レッドブル陣営からまだ正式発表はない。

■契約済みのドライバー

  • ドライバー1:未確定
  • ドライバー2:未確定

■シート獲得の可能性があるドライバー

  • ピエール・ガスリー:ガスリーとレッドブルとの契約は2023年末まで継続する見込みであり、2022年シーズンに向けた正式発表はされていないものの、アルファタウリでのシートは安泰であろう。親チームへの復帰が見込めないことからライバルチームへの移籍が囁かれていたガスリーだが、チーム代表を務めるフランツ・トストはレッドブル陣営がアルファタウリから彼を簡単には放出しないだろうと語った。レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコも、2021年7月に「ガスリーは今まで見てきた中で最高に仕上がっている」とコメントを残している。
  • 角田裕毅:レッドブルと長期契約を結んでいる角田は、今季アルファタウリからF1デビューを果たし、勢いがある。シーズン前半には何度かクラッシュを喫したものの、トスト代表は来季も角田を起用することに満足していると語り、2022年に向けて現在のランナップを「変える理由は見当たらない」としている。
  • ユーリ・ヴィップス:FIA F2で現在ランキング5番手、レッドブル・ジュニアドライバー内でトップのヴィップスは、角田に先を越されたものの、彼の起用もあり得なくはない。

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Yuki Tsunoda, AlphaTauri AT02

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Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

アルファロメオ

 アルファロメオは厳しい選択肢を迫られており、10チーム内では唯一ルーキードライバーのみで2022年シーズンを迎える可能性がある。現在のキミ・ライコネンとジョビナッツィ両名共に2022年以降の契約を結んでいないため、誰が来季のシートに収まるのかという噂が飛び交っている。

■契約済みのドライバー

  • ドライバー1:未確定
  • ドライバー2:未確定

■シート獲得の可能性があるドライバー

  • キミ・ライコネン:41歳になったライコネンには、間違いなくキャリアエンドが近づいている。今年が最後のシーズンになるかもしれないと言われているものの、チームや彼自身も来季以降については何も判断を下していないのが現状だ。
  • アントニオ・ジョビナッツィ:ジョビナッツィの母国イタリアの自動車メーカーであるアルファロメオがチームとのパートナー契約を延長したからと言って、彼のシートが保証されたワケではない。チーム在籍3年目になる今シーズンは、ライコネンを予選・決勝で上回るなど確かな仕事ぶりをみせているが、依然としてシートは育成ドライバーなどの脅威にさらされている。
  • カラム・アイロット:昨年FIA F2でランキング2位を獲得しアルファロメオのリザーブドライバーを務めるアイロットは、今シーズンのFP1を担当するなどチームに好印象を与えている。しかし、イタリア人のジョビナッツィと比較すると、イギリス人の彼をイタリアブランド下で走らせる商業的価値は低い。
  • バルテリ・ボッタス:メルセデスと来季の契約を結べなかった場合、F1内でボッタスにはふたつの選択肢が残されている。ひとつはウイリアムズ、もうひとつはアルファロメオである。メルセデスで複数回勝利を挙げている彼が持つ上位チームの運営に関するノウハウは、チームにとっても当然ながら有益であろう。また、彼はアルファロメオのフレデリック・バスール代表のもとでGP3(現FIA F3)へ参戦していた経験がある。
  • ロバート・シュワルツマン:アイロット同様に、アルファロメオのパートナー契約延長はシュワルツマンにとっても良く働かない要因のひとつだ。今もフェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)に所属しており、現在FIA F2でも3番手に着けている。
  • ミック・シューマッハー:2シーズン目もハースへ留まるとの見方が強いが、フェラーリがハースからの移動を求めればアルファロメオへ移籍する可能性もある。

Callum Ilott, Alfa Romeo Racing

Callum Ilott, Alfa Romeo Racing

Photo by: Alfa Romeo

ハース

 ハースは現在、来季に向けたシートは2つとも空席となっているが、シューマッハーやニキータ・マゼピンが今シーズン限りでそれぞれのシートを明け渡すとは考えにくい。

■契約済みのドライバー

  • ドライバー1:未確定
  • ドライバー2:未確定

■シート獲得の可能性があるドライバー

  • ニキータ・マゼピン:ルーキーのマゼピンは今シーズンを学習の年と定め、チームに複数年留まる計画を立てているが、2022年に関する正式発表はまだ出されていない。
  • ミック・シューマッハー:マゼピンと同様、ルーキーイヤーを学習に当てるシューマッハーも、ハースに残留するとの見方が強いが、正式発表はまだない。先述にもある通り、アルファロメオへ移籍する可能性もあり得る。

ウイリアムズ

 メルセデスと並んで、2022年のウイリアムズのドライバーラインナップにも熱い視線が注がれている。その最大の理由は、やはりラッセルの動向だ。ウイリアムズに残留するのか? それともメルセデスに昇格するのか? 彼が昇格した場合、彼の後任はだれか? 2020年にドリルトン・キャピタルがウイリアムズを買収して以降、資金繰りが改善したチームは、どれだけ資金を持ち込めるかという“ペイドライバー”に頼る必要性が減った。2022年に向けたサプライズが待っているかもしれない。

■契約済みのドライバー

  • ドライバー1:未確定
  • ドライバー2:未確定

■シート獲得の可能性があるドライバー

  • ジョージ・ラッセル:ラッセルはハミルトンの僚友としてメルセデスに移籍すると有力視されているが、昇格が発表されなければウイリアムズで4年目を迎えることになる。
  • ニコラス・ラティフィ:ペイドライバーにもう頼らないとチームは語っているが、大型スポンサーを持ち込むラティフィにまだ頼らざるを得ないかもしれない。ハンガリーGPではラッセルを上回る7位入賞を果たすなど、資金力に加え速さがあることを示している。
  • バルテリ・ボッタス:ボッタスがメルセデスとの契約を更新出来なかった場合、2016年まで乗ったウイリアムズへ戻るという選択肢も残されている。グリッド最後方をひた走っていた2年前よりも、ウイリアムズは選択肢として魅力的になっていると言えよう。
  • ニコ・ヒュルケンベルグ:ヒュルケンベルグは、昨年レーシングポイントのスーパーサブとして代役参戦を果たし、今シーズンはアストンマーチンのリザーブドライバーとしてチームに参加している。2010年にウイリアムズからデビューした彼は、チーム代表であるヨースト・カピトにとっても魅力的なドライバーのひとりだろう。
  • ジャック・エイトケン:2019年のFIA F2で5位を獲得し、今年はウイリアムズのリザーブドライバーを務めるエイトケンは、昨年のサクヒールGPでラッセルの代役として参戦した。スパ24時間で負った怪我の回復次第では、今シーズンのいずれかのレースでFP1を担当する予定だという。
  • ダニエル・クビアト:レッドブルとの関係を断ったクビアトは、現在アルピーヌのリザーブドライバーを務めている。彼は昨年までアルファタウリでF1に参戦しており、F1経験者という選択肢内でも上位につけている。

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Photo by: Jerry Andre / Motorsport Images

 
 

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