F1 ハース富士TPC
ハース&トヨタのTPCは、日本のドライバーに”F1という夢”を感じさせる絶好の機会。福住仁嶺「難しいと思っていた夢が、また現実味を帯びてきた」
富士スピードウェイで行なわれたハースF1のTPC。このTPCで様々な過程を経てきたドライバーたちに、F1をドライブできるチャンスが巡ってきた。そのことが、若いドライバーたちに夢を実感させることになるだろうか……。
田中 健一
編集: 2026/07/30 1:20
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Haas F1 TPC at Fuji Speedway
写真:: Motorsport.com / Japan
トヨタがハースF1とテクニカルパートナーシップを結び、タイトルパートナーとなったことは、日本のドライバーたちが夢を掴むきっかけとなっている。
富士スピードウェイで行なわれたハースF1チームの旧車テスト(TPC)。昨年に続き2年連続で富士スピードウェイでの開催である。
昨年、ハースはトヨタとテクニカルパートナーシップを締結。今シーズンからは、TOYOTA GAZOO Racingが、ハースF1のタイトルパートナーとなっている。両者の関係は、年々強化されている。
トヨタはハースと提携することで、F1というトップレベルのモータースポーツの場で、ドライバーはもちろん、エンジニアやメカニックなど人材育成を行ないながら、トップレベルのデータ解析技術を学び、それを市販プロジェクトに活かしていくことを目指している。そのことは、ハースにとっても大きなメリットがあるという。
2009年にF1から撤退したトヨタ。しかしここ数年、F1との距離を縮めているのは間違いない。2009年に”F1撤退”を発表した際に社長を務めていた豊田章男会長は、「トヨタのF1復帰」ではないと強調しつつも、ハースと提携することで「若者や子供たちに夢や希望を与えたい」と語っていた。
そんな中で現状最も目立っているのが、トヨタ系のドライバーが、F1マシンをドライブするチャンスを手にできるようになったということだろう。平川亮を皮切りに、宮田莉朋、坪井翔がF1初ドライブを経験。そして今回は、福住仁嶺が初めてF1マシンに乗り込んだ。
■福住仁嶺「いつかは本番の舞台に」
福住はかつて、ホンダの育成ドライバーの有望株として渡欧し、GP3、FIA F2を戦った。ただF2では満足いく結果を残せず、日本に戻ってスーパーフォーミュラに参戦。2024年にはトヨタ系チームに移籍し、今季はdocomo business ROOKIEのドライバーに抜擢された。そして鈴鹿戦で優勝したことが、今回のTPCでのハースF1ドライブへと繋がった。
福住にとってF1は、諦めかけた夢だった。しかしトヨタがF1への関与を強めていることで、その夢が再び近づいてきたように感じているという。
「やっぱり(F1は)、現実的には難しいなと思っていた、ある意味夢みたいなところがありました。それがもしかしたら近づいているんじゃないかなという期待もすごく感じますし、実際にこういう感じでF1に乗せていただいているというのが、いつかは本番の舞台に、ということを感じさせてくれるような、そういう環境だと思っています」
そう語る福住は、自身がF1に出場することはできなかったとしても、今欧州で戦う若いドライバーたちやカートに参戦するドライバーたちに、大いなるチャンスが訪れるはずだと感じている。そして必要とあれば、自身の欧州での経験も共有するつもりだと語った。
「僕はもう、今年(※厳密には来年1月)30歳になってしまいますから、若手ではなく中堅になってきちゃっています。でもヨーロッパで頑張っている若手もいっぱいいますし、そういうドライバーたちにチャンスを与えることになるんじゃないかと感じています」
「僕も向こうで色々と経験したので、それを若手とか、いつか何かの役に立てるようなことができればと思っています」
■坪井「日本育ちでもF1を目指せる」
一方で坪井は、これまでずっと日本で戦ってきたドライバー。しかしF1ドライブまでたどり着いた。このことは、どんな土壌で育ってきたとしても、F1を目指せるということを示していると坪井は考えている。
「僕はヨーロッパとか海外の経験が全くない、珍しいタイプのドライバーだと思います。でも日本でしっかりと結果を出し続ければ、F1に乗れるというチャンスが来るんだよというひとつの証明にもなったかなと思います」
そう坪井は言う。
「今欧州で活躍している若手ドライバーだったり、今カートをやっている子供たちも、F1を身近に感じられることで、『夢はF1です』と言う時の現実味が変わると思います。何も体感していないで言うのと、実際に見て、感じて言うのとでは、絶対に違うと思うんです。ここでF1を走らせたことで、そういう子供たちの目標のひとつになることにつながったと思います」
「僕は30歳(※実際は31歳)ですが、夢は何歳になっても追いかけてもいいと思います。そういう意味では、F1をより身近に感じられるこの環境は、本当にありがたいと思っています」
■中嶋一貴「今後どうするかはドライバー次第」
TOYOTA Racingの副会長であり、元F1ドライバーでもある中嶋一貴は、できる限りのサポートはしていきたいとしつつも、これからどうなるかは、ドライバー自身の努力次第であるとも語った。
「今後については、ドライバーたち自身(の努力)による部分が大きいのかなとは思います」
中嶋はそう語る。
「ハースさんとは、TPCだけではないですが、いろいろなプログラムをやらせてもらっています。その中でもTPCに関して言うと、こうやっていろいろなドライバーがF1マシンに乗ることで、F1チームの人たちに直接自分たちの走りを見てもらい、評価してもらえる機会というのは、本当にありがたいことだと思います」
「平川がこのふたりの前にいて、坪井はずっと日本でやってきて、福住仁嶺は海外での経験があって日本に戻っている……それぞれのキャリアが違っても、こうやってフラットに評価してもらえる結果があるわけです。平川が良い例ですが、こうやってTPCで乗ることで評価してもらえると、その先のチャンスもある。今回乗ったふたりだけじゃなく、彼らに続くふたりだけでなく、それに続く若いドライバー、カートに参戦しているドライバーたちも含めて、すごく良いメッセージを送っているということになっていると思います」
「この先彼らがどうなっていくのかというところについてはなんとも言えないですが、こういう機会がある中で、自分たちもできる限りのサポートをしていきたいと思いますし、ドライバーが本当に夢を掴むための、すごくありがたい活動だと思います」
「そして、サポートしていくだけが全てではないと思います。我々は、自分たちの力でしっかり成長してもらうための環境を作っていくことが理想かなと思っています」
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