F1分析|スペインGPでの2回目のピットストップに見る、”復活”へ向けたメルセデスの自信
F1スペインGPで2-3位フィニッシュを果たしたメルセデス。あえてポジションを落としながらも、2回目のピットストップを行なったところに、復活へ向けた自信が見えるようだ。
写真:: Andy Hone / Motorsport Images
F1スペインGPは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが完勝。通算40勝目、今季5勝目を挙げ、ドライバーズランキングでも圧倒的なリードを築くこととなった。
フリー走行から、ライバルをまったく寄せ付けない速さを見せつけたフェルスタッペンは予選、決勝ともにその勢いを持続。レース中のペースを見ると、後続のペースに合わせて自身のラップタイムをコントロールしていた感がある。それでも、2位となったメルセデスのルイス・ハミルトンに24秒もの差をつけてフィニッシュした。
さて今回のスペインGPでの驚きは、そのハミルトンを含めたメルセデス勢の飛躍ぶりだと言えるだろう。今シーズン開幕から苦しんできたメルセデスだが、前戦モナコGPでアップデートを投入。モナコではその真価は分からなかったものの、今回のスペインGPではその効果をいかんなく発揮した形となり、ハミルトンが2位、そのチームメイトであるジョージ・ラッセルが3位に入った。
レース中のペースも実に優れたものだった。前述の通りフェルスタッペンはペースをコントロールしていたとしても、予選2番手だったフェラーリのカルロス・サインツJr.や、今季好調のアストンマーチンのフェルナンド・アロンソを全く相手にせず、後方からの追い上げのレースとなったレッドブルのセルジオ・ペレスと遜色ないペースで周回を重ねた。
メルセデス勢の2回目のピットストップにも、その自信が感じられるようにも見える。
F1スペインGP決勝レースペース分析
Photo by: Motorsport.com / Japan
メルセデス勢の2台は、良好なペースを維持したまま、レースの終盤を迎えようとしていた。ライバルがタイヤのデグラデーションに苦しみ、2ストップでのレースを強いられる中、2台は1ストップでも走り切れるような、そんなペースだった。しかも3番手ラッセルは、4番手のペレスに7〜8秒のセーフティリードを築いており、さらにペレスがペースを上げる気配もないため、メルセデスのダブル表彰台は確実であるかのように見えた。
しかし66周レースの45周目、そのラッセルがピットインする。今回のレースでのピットストップのロスタイムは、24秒程度。当然ペレスに先行されてしまうことになった。
定石通りであれば、ポジションを明け渡すというリスクを冒さず、もしペレスがピットストップすれば、それに合わせてラッセルもピットに入ればいい。先行しているドライバーが、先に動く必要などないのだ。しかもラッセルだけでなく、ハミルトンもペレスより先にピットインした。
ラッセルのピットストップ後のペースを見ると、ペレスよりも1周につき1秒以上速かった。その時点でギャップは13秒ほど。残りの周回数は20周ほどだったため、そのまま走り続ければ逆転するのは明らかだった。
今回のメルセデスは、そのまま1ストップで走り切ってもポジションを守れるにも関わらず、あえて2回目のストップを行なってペレスに対峙した。もちろん、左タイヤに厳しいコースであるため、安全策を採ったという意味合いもあるだろうが、一度ポジションを失っても取り戻す自信があったということだろう。
結局ペレスも、このまま走り続けてもメルセデスに先行されると覚悟し、再度ピットストップをすることを選んだ。
まだまだ、フェルスタッペンが駆るRB19とは大きな差があるメルセデス。しかし、モナコでのアップデートは、改善への道筋の大きな一歩を踏み出したのは間違いないようだ。
昨年も開幕直後は苦労したメルセデスだったが、シーズン終盤のサンパウロGPでは、勝利を手にする位置まで戻って見せた。今季も昨年のような上昇曲線を描けるだろうか? それに向けた最初の一歩が見えた、スペインGPだった。
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