F1分析|今年の日本GPもワンストップになりそうだ。いずれのタイヤも性能劣化は小さく……ピレリの見解は?
2026年のF1日本GPも、1ストップで決勝レースを走り切るチームが主流となりそうだ。
Oscar Piastri, McLaren, Pierre Gasly, Alpine
写真:: Sam Bagnall / Sutton Images via Getty Images
今年のF1日本GPも、昨年同様F1ストップ戦略が主流となりそうだ。
鈴鹿サーキットで始まったF1日本GP。その初日、フリー走行2回目(FP2)では、各チームがロングランを行ない、タイヤの性能チェックを行なった。
FP2は日曜日に行なわれる決勝レースと、実施時間が一番近いため、週末3回のフリー走行の中でも特に重要なセッションであると言える。そのため各車は決勝レースを想定して連続して走行……つまりロングランを行なうのが常だ。
その走行結果を見ると、ミディアムタイヤもハードタイヤもデグラデーション(タイヤの性能劣化)はほぼゼロであった。
F1日本GPフリー走行2回目ロングランペース推移(ミディアムタイヤ)
写真: Motorsport.com Japan
このグラフは、FP2での各車のミディアムタイヤでのロングラン時のペース推移である。いずれのマシンも、ラップタイムを折れ線で繋げていくと傾きはなく、ほぼ水平になっているのがお分かりいただけるだろう。これは、タイヤの性能劣化がほとんどないということの証左である。
その中でもメルセデス(薄緑色)が最も速く、フェラーリ(赤)、マクラーレン(オレンジ色)、ハース(濃いピンク色)と続く状況だろうか。ただ絶対的な速さに関しては、各車の燃料搭載量が不明であるので、分からない部分も大きい。
F1日本GPフリー走行2回目ロングランペース推移(ハードタイヤ)
写真: Motorsport.com Japan
またこちらのグラフは、ハードタイヤ装着時のロングランペースの推移である。こちらも同様に、ペース推移はほぼ横ばい。レッドブル(青)とアルピーヌ(ピンク)が同じようなペースで走り、アウディ(朱色)が近い位置にいるのが分かる。ただアウディに関しては、もしかしたら若干デグラデーションの傾向が見て取れるかもしれない。
これらを考えると、決勝レースはミディアムとハードの1ストップで、楽に走り切ることができるだろう。
ピレリのチーフエンジニアであるシモーネ・ベッラは、金曜日の走行を終えて次のように説明している。
「デグラデーションはかなりコントロールしやすい状況であり、特に問題はない。非常に低いレベルだと言える。ハードとミディアムのデグラデーションは小さいし、ソフトタイヤでもそれほど悪くはない」
「日曜日のレースでは、全てのタイヤを使うことができるだろう」
「路面の状況はラバーが乗ることもあって今日よりもさらに(デグラデーションを)コントロールしやすくなるだろう。そのため、各チームとも1ストップ戦略を取ることになると予想している」
かつて鈴鹿サーキットは、タイヤにとってもっとも厳しいサーキットと言われることが多かった。路面の舗装が粗く、さらに中高速コーナーが連続するからだ。そのためピレリは、日本GPに最も硬い方から3種類のタイヤを持ち込むのが常である。事実今年も、5種類あるタイヤのうち最も硬い方から3種類のタイヤが持ち込まれている。
ただ昨年の日本GP前には東コース、今年の開催までには西コースが再舗装された。それにより、タイヤへの攻撃性が低くなっているようだ。ベッラは説明する。
「新しい路面特性は予想通り、非常に滑らかである。2〜3年前と比べると、これは大きな違いだ。これは熱劣化(サーマル・デグラデーション)やオーバーヒートに影響を与える。これは今日(FP2)のロングランで確認できたことだ」
昨年も今年と同じ組み合わせのタイヤが持ち込まれ、やはりデグラデーションが小さかった。そのためオーバーテイクのしにくさに拍車がかかり、レースはパレード状態に。批判の声も上がった。
そういう意味では、もう1段階柔らかいタイヤを持ち込んでも良かったのではないか? そう尋ねると、ベッラはこう説明してくれた。
「このサーキットでは、タイヤへの入力が非常に大きい。例えばC4タイヤ(今回持ち込まれているソフトタイヤより1段階柔らかいタイヤ)を持ち込んだとしたならば、セクター1の終盤で温度が上がりすぎてしまう可能性があることが、検証で分かった。そうなれば、1周走ってくる時の終盤で、パフォーマンスが落ちてしまうだろう」
「今日の段階でもすでに、何人かのドライバーやいくつかのチームは、走行中にミスをしてしまったりスライドさせてしまうと、タイヤの表面がオーバーヒートしてしまい、シケインや最終セクターでパフォーマンスを失ったと言っていた」
「つまり予選でも安定した走行は難しいし、レースでも大きなデグラデーションが発生してしまうだろう。そうなった場合は、複数回ストップする戦略をとったり、レース展開において様々なアプローチを講じる必要性が生じただろう」
「ただこのサーキットがタイヤにかける負荷の大きさを考えると、ドライバーが全力でプッシュできること、タイヤマネジメントの手間を減らすこと、そして安全性を担保するためには、最も硬い組み合わせを選択するのが最善だと思う」
前述の通り、昨年はほとんどオーバーテイクがないレースであった。しかし今年はエネルギーマネジメントの重要性が変わったし、マシンも小さくなった。それらによって、激しいバトルが生み出されることを期待したい。現にFP1では、1コーナーで3ワイドの”バトル”が展開された。
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