F1分析|狭く大混乱となったモナコでも、アントネッリに死角なし。終始安定したペースで走破
メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリは、F1モナコGPでも完勝。そのレースペースを見ても、付け入る隙は見当たらない。
F1モナコGPの決勝レースを制したのは、メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリだった。一度も首位を譲ることのない完勝劇。レースは大荒れとなったが、アントネッリだけはそんなことどこ吹く風……他を圧倒するペースで走り切り、これで初優勝から5連勝となった。まさに前人未到の領域を切り開きつつある。
そのアントネッリのペースはまさに圧倒的。レース中のレースペースの推移を見ても、そのことは丸わかりである。
2026年F1モナコGP決勝レースペース推移
写真: Motorsport.com Japan
こちらがF1モナコGPの決勝レース中の、上位勢のレースペース推移。濃い黄緑色の折れ線で示したのがアントネッリのペース推移である。赤で示したフェラーリ勢に大きく差を開いているのが分かる。
フェラーリのルイス・ハミルトンにとっては、スタートだけがアントネッリを攻略するためのチャンスであった。しかも、赤旗中断となったことで、スタンディングスタートが2度もあった。しかし、ハミルトンはそのいずれもモノにすることができず……その後のペースの面ではまったく太刀打ちできなかった。
なお、唯一アントネッリに肉薄できそうだったのは、やはりチームメイトのジョージ・ラッセルだけであった。実際赤丸で示した2箇所では、アントネッリに匹敵するペースで走っている。ただこのペースを終始発揮できなかったのには理由があった。それは、遅いマシンに引っかかってしまったことだ。
2026年F1モナコGP決勝レースギャップ推移
写真: Motorsport.com Japan
こちらのグラフは、モナコGP決勝レース中の首位アントネッリと各車の差の推移を折れ線で示したものである。薄い黄緑で示したのが、やはりラッセルが走っていた位置だ。
これを見ると、レース中の大半で遅いマシンの後方に抑えられていたことがわかるだろう。赤丸の部分ではアイザック・ハジャー(レッドブル)に、青丸の部分ではランド・ノリス(マクラーレン)に、完璧に押さえ込まれた。モナコは大きなペース差があっても、そう簡単にはオーバーテイクできないのだ。
前を抑えられていない箇所でのラッセルの折れ線は、水平になっているのもお分かりいただけるだろう(たとえば黄緑の丸で囲った部分)。これは、首位アントネッリとの差が開いていないということ……つまり、同じようなペースで走れていたわけだ。
しかもその上でラッセルには、”疑惑”とも言えるピットレーンのスピード違反(わずか0.1km/hオーバー!)を取られ、そしてピットのミスでペナルティ消化に失敗してドライブスルーペナルティとまさに踏んだり蹴ったり、殴ったり投げ飛ばしたりと、考えうるほとんどの困難が降り注いだ。結局12位無得点と、まさかの結果に終わった。
ただ本来のペースは、少なくともアントネッリに次ぐ位置にいたのは間違いない。次戦バルセロナ-カタルニアGPでの復活・奮起を期待したいところだ。ここで終戦では、あまりにも早すぎる。
ちなみにフェラーリ勢ふたりのペース傾向を比較するのも面白い。2位になったのはハミルトンの方であったが、チームメイトのシャルル・ルクレールの方が優れたペースで走るシーンも多かった。
なおスティントの序盤や絶対的なラップタイムの面では、ハミルトンの方が優れていた。しかしデグラデーション(タイヤの劣化に伴うペースの低下)に関しては、ハミルトンの方が明らかに大きかった。一方でルクレールの方が、基本的には安定したペースで走っていたことがグラフからは読み取れる。
それだけに、レース最終盤のクラッシュは実に悔やまれる。
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