やっぱり今年のF1は危ない? イギリスGPスプリント序盤の激戦で再燃する”ヨーヨー”のようなレースへの批判
F1イギリスGPのスプリントでは、今シーズン前半に騒がれたような電気エネルギー残量の差による”ヨーヨー”のようなレース展開となり、ドライバーたちから不満の声が挙がっている。
F1イギリスGPのスタート直後は、抜きつ抜かれつのレース展開となり、順位が目まぐるしく入れ替わった。これはシーズン前半に話題になった、エネルギー残量の差によるバトルであり、複数のドライバーが不満を訴えた。
「1周目は各車のエネルギーの使い方がバラバラで、まさにカオスのような状況だった」
イギリスGPのスプリントで7位となったマクラーレンのオスカー・ピアストリはそう語った。
「正直に言って、危険な場面もあった。でも、これが今の僕らのマシンだ。その後は、後続のマシンを抑え込むのがとても難しかった」
「確かにいくつか確認すべき点はあるけど、少なくとも明日何が起きるかは分かっている。つまり、カオスな状況になるだろう」
コースレイアウトを考えると、イギリスGPは今季から導入された新レギュレーション下のマシンにとって、もっとも難しいレースになるだろうことは事前から予測されていた。つまりそれは、マシンによってエネルギー配分に関する戦略が異なるため、レース序盤は混乱するだろうというものだ。
そしてそれは現実のものとなった。
確かに抜きつ抜かれつのバトルは、スタンドに詰めかけた観客やテレビの視聴者を喜ばせただろう。しかしドライバーの多くは、自身のスキルや勇気よりも、バッテリーの残量によって展開が大きく左右されることに不満を抱いていた。
シルバーストン・サーキットのレイアウトは、長いストレートと高速コーナーで大部分が構成されている。そのため、エネルギー回生を行なえる箇所が限られており、本来ならば全開で走るような区間でも、リフト&コーストやスーパークリッピングで電気エネルギーを生み出さねばならない。ピアストリは1周目のほとんどを、「他のマシンに追突しないようにすることに費やした」と不満をもらした。
直近の4戦、つまりカナダ、モナコ、バルセロナ-カタルニア、オーストリアのコースレイアウトは、比較的エネルギーマネジメントに関する戦略が、各車とも一致する傾向にあった。そのため、今回のような問題は起きにくかったのだ。しかし選択肢が幅広くなるシルバーストンでは、問題が顕著になった。
「ペースはそれほど悪くなかった」
そう語るのはフェラーリのシャルル・ルクレールだった。彼は4番グリッドからスタートしたが、スタート直後に順位を落としたが、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とピアストリに激戦を制して5位フィニッシュを果たした。
「厄介なのは、バトルになると、僕らのマシンは他のマシンとは全く異なるデプロイ(エネルギーの使い方)をするから、非常に脆弱だったことだ。そして追い抜くのはとても難しかった」
「ターン15(ストウコーナー)に向かう途中では、僕らは周りのクルマと比べてすごく遅かったんだ。正直に言って、マックスはもっと遅かったね」
「でも、とにかく差が大きかった。これほどマシンによって違うレースは久しぶりで、バトルが難しくなった」
懸念のひとつは、接近速度だ。これは日本GPでも話題になったことだ。一部の評論家は、F1ドライバーは世界最高の才能の持ち主であるため、そういう状況にあっても素早い反応ができると語る。またF1のステファノ・ドメニカリCEOが今年のはじめに「オーバーテイクはオーバーテイクだ」と語ったように、オーバーテイクが多いレースは観客を楽しませ、テレビでも見栄えが良い。そういう意味では良いことだという見方もある。
ただこれらの状況を生んでいる要因は電気であり、外からは見えにくい。そういう意味では、安全性の観点では、机上の理論ではなく、実際に体験しているドライバーたちが判断すべき要素だとも言える。
ただ興味深いことに、序盤の混戦で好位置につけることができたドライバーたちは、それほど批判的な見方はしていないようだ。序盤に大きくポジションを上げ、3位でフィニッシュしたランド・ノリス(マクラーレン)は「予想以上に良いレースだったよ」と語った。
また、電動の比率は、今後2年かけて段階的に減らされることになっているため、今不満を言うのを諦めているドライバーもいる。そのひとりが、レッドブルのマックス・フェルスタッペンだ。
「この件については、もう何も言わないことにしたんだ」
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