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F1エンジン”圧縮比”問題、開幕後の抗議を避けるため解決策の議論継続中。合意できる選択肢はあるのか?

バルセロナでのシェイクダウンテストで、メルセデスPUの優位性が確認されたことから、開幕後の妥協点を見出すため、各メーカーがFIAと協議を行なっているようだ。

Andrea Kimi Antonelli, Mercedes W17

Andrea Kimi Antonelli, Mercedes W17

写真:: Formula 1

 F1オーストラリアGPでの2026年シーズン開幕戦を前に、エンジンの圧縮比問題は依然として大きなトピックであり、難題となっている。

 2026年のレギュレーション変更に伴い、MGU-Hが取り除かれ、電動パワーが強化されるなどパワーユニット(PU)も大きく変化している。その一環として、エンジンの圧縮比も18:1から16:1へと引き下げられている。

 しかし新車が走り出す前から、メルセデスがその抜け穴を見つけ、スタッフの移動に伴い、その手法を学んだレッドブル・パワートレインズ(RBPT)もそれに追随したことが物議を醸している。冷間時は圧縮比が16:1を超えないものの、エンジンが動き温度が上がると、圧縮比が引き上げられるというのだ。

 FIAのシングルシーター技術責任者ニコラス・トンバジスは、この問題について、開幕戦までに解決すべきだと示唆した。これが解決されない場合、抗議が相次ぐ中でシーズンが始まるリスクがあるからだ。F1新時代の幕開けとしては、それは歓迎すべきことではないだろう。

「選手権開幕時に、各チームが規則を微妙に異なる解釈で運用する事態は絶対に避けたい」とトンバジスは説明した。

「規則に全員に明確でない領域が存在するのは事実だ。第一の目的は、開幕戦前に問題を完全に解決し、議論の余地をなくすことだ。既存のガバナンスプロセスを全て踏襲することで明確性を提供したい。その後、抗議したい者がいればそれは彼らの自由だ。解決策については現在も検討中である」

 バルセロナでのシェイクダウンは、マシンパフォーマンスを追求する場ではなかったことを考慮にいれても、いくつかの示唆が得られた。初期トラブルに見舞われたアウディと、走り出しが遅れたホンダを除けば、他のPUはかなりの走行距離を積み重ねた。これにより、トラブルが相次いだ2014年のPU初導入時を再現することになるのではないかという懸念は払拭された。

 メルセデスは3チームで合計1134周を完走、フェラーリも3チームで991周を走った。RBPTは2チームで624周のデータを収集した。これらのデータは、メルセデスPUに優位性があることを示唆していたようだ。

 そもそも、FIAはメルセデスのソリューションに承認を与えている。だからこそメルセデスは開発を進め、室温ではレギュレーションに違反していないPUを生み出した。

 それでも、ホンダ、フェラーリ、アウディ、そしてどうやらRBPTもそうしたソリューションの合法性の保証を求めている。

 フェラーリのエンジン部門責任者エンリコ・グアルティエリは次のように明言している。

「我々はFIAとこの問題の解決を継続している。技術会議は既に開催済みで、近日中に再度開催予定だ。したがって、この件は引き続き協議中である。規定に定められた手順とガバナンスを検証し、問題が適切な方法で処理されると確信している」

Honda RA626H power unit

Honda RA626H power unit

写真: Honda

 ではどのような介入であれば、合意に到れるのだろうか。燃焼室へのセンサー導入が最も単純な解決策だが、これには全チームの全会一致が必要であり、合意に至らない可能性は容易に想像できる。

 ひとつの選択肢としては、ADUO(追加開発&アップグレードチャンス)が設定するパフォーマンス評価の前に、エンジン開発を許可することだ。

 開幕前に各PUの仕様は承認(ホモロゲーション)を受け、その後の開発は基本的には許されない。しかしこのADUOというシステムでは、2026年シーズンは第6戦(マイアミGP)、第12戦(ベルギーGP)、第18戦(シンガポールGP)の各GP終了時に各社のPUのパフォーマンスの評価が行なわれ、最高出力が2〜4%劣っていたメーカーは追加のアップグレードが認められ、4%以上劣っていたメーカーは2回のアップデートが認められることになっている。

 特例で早期の追加開発を認める場合、予算制限外でアップデートを許可することになるだろう。フェラーリはこの選択肢に否定的ではないようだが、承認される可能性は低い。

 別の選択肢として、メルセデスの燃料エネルギー流量を”ペナルティ”の対象とし、性能均衡を図る案が浮上している。FIAがADUOによる追加開発を承認するまでの暫定措置として、燃料流量計を追加することが検討されている。

 しかし、信頼性のあるデータなしにメルセデスのアドバンテージをどう測定するのかという疑問は残る。第三の選択肢として、メルセデスに対しPUがあらゆる使用条件下で規定に適合していることを書面で表明する自己認証を求める可能性もあるだろう。

 どのような解決策に落ち着くのかFIAの最終決定を待つしかないが、2026年シーズンのエンジン始動前からパドックを二分しかねないこの問題の妥協案が見出される可能性は高い。しかし全ての関係者を満足させるのは困難だろう……。

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