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トスト元代表「黙ってろ!」と一蹴した過去……破局マクラーレンF1のお節介「君たちホンダと何するつもり?」

かつてトロロッソを率いたフランツ・トスト代表は、2018年からホンダF1とタッグを組むことが決定する前に、マクラーレンからとある”お節介”を受けていたと明かした。

Zak Brown, McLaren CEO, Yusuke Hasegawa, Senior Managing Officer, Honda, Franz Tost, Team Principal, Scuderia Toro Rosso

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写真:: Red Bull Content Pool

 レッドブルとホンダがF1で築いた黄金時代は、トロロッソと呼ばれた姉妹チーム(現在のレーシングブルズ)が栃木県さくら市で作られたパワーユニット(PU)を搭載した2018年が礎となった。

 当時トロロッソのチーム代表を務めていたフランツ・トストは、それまでホンダと手を組み成績が低迷していたマクラーレンからとあるお節介を受けていたという。

 マクラーレン・ホンダは80年代から90年代にかけてF1の頂点を極めた、2015年からそのコンビが”復活”を遂げ、大いに注目を集めた。しかし両者が思い描いていたような結果を残すことはできず……それどころか、度重なる信頼性トラブルやパワー不足、さらには車体側のパフォーマンス不足により関係は悪化し、たった3年でパートナーシップを解消。マクラーレンは2018年からルノー製PUを搭載することを選んだ。

 当時マクラーレンはホンダに対する不満を隠さず、イギリス・ウォーキングで開発されたシャシーはグリッド随一の出来だとさえ公言していた。ちなみにフェルナンド・アロンソ(現アストンマーティン)の悪名高き”GP2エンジン”発言から、今年の9月でちょうど10年だ。

 そうした背景から、マクラーレンはホンダとPU提携に向けて交渉を進めていたトロロッソに”お節介”の言葉をかけていたという。ただ2018年シーズンが開幕すると、ホンダが信頼性とパワーを高めてトロロッソ陣営と円滑な関係を築く一方、マクラーレンはマシンの開発目標を達成できずレーシングディレクターのエリック・ブーリエが辞職に追い込まれた。

「我々はホンダと素晴らしい協力関係を築いた」

 9月8日(月)にオーストリアで行なわれたServusTVのイベントSport & Talk aus dem Hangar-7に登壇したトスト元代表はそう語り、ホンダとのパートナーシップ締結をこう振り返った。

「今でも覚えているが、2017年のことだった。ロンドンでショーランイベントがあり、当時既にホンダと話し合いを進めていた。するとマクラーレンの関係者が私に近づいてきた『彼らと何をしたいんだ?』と尋ねてきたのだ」

「そこで私は『黙ってろ、5年後にまた話そう』と答えた。ところが、その面々は5年後にはもういなかったのだ。そしてホンダはF1で非常に大きな成功を収めることとなった」

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 レッドブルの若手育成を担うトロロッソ。元よりF1タイトルを目指すという目標を掲げていないことから、ホンダ提携初年度の2018年は積極的なPU開発に協力。年間使用基数の上限超過によりグリッド降格ペナルティを受けるとしても、改良が施されたPUを次々に投入する方針を選んだ。

 そうした恩恵もあり、ホンダは翌2019年からレッドブルへのPU供給も開始。同年のオーストリアGPで初勝利を上げると、2021年にメルセデスのルイス・ハミルトンとの激闘の末マックス・フェルスタッペンが初のドライバーズチャンピオンに輝いた。以降3年連続でタイトルを獲得。コンストラクターズタイトルも2度獲得した。

「当時ホンダに、私はこう伝えていた。2018年は試行錯誤の年にならざるを得ない。PUを変更することで最後尾からのレーススタートを余儀なくされても、毎戦アップデートが必要だとね」とトスト元代表は言う。

Brendon Hartley, Scuderia Toro Rosso STR13, Fernando Alonso, McLaren MCL33

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写真: Andrew Hone / Motorsport Images

「それは問題ではない。重要なのは賢明に働くことだ。そうすればレッドブルもPUを採用し、タイトルを争う可能性が出てくるからね」

「彼らは『そうだ、君たちもタイトルを狙えるかもしれない』と言ったが、私は『いや我々にはそのためのインフラがない。トップ争いに必要なドライバーもシミュレーションツールもない。だがレッドブル・レーシングなら実現できる』と返答した。そしてまさにその通りになった。非常に規律正しく、一歩一歩着実に進んでいったのだ」

 2025年イタリアGPをフェルスタッペンが制したことで、レッドブル陣営とホンダは7年間で通算67勝を記録。両者のパートナーシップはホンダが一度F1撤退の道を選んだことがキッカケで、2025年限りで幕を下ろすが、残る8戦でさらなる勝利を重ねることができるかもしれない。

 F1に新たなテクニカルレギュレーションが導入される2026年以降はホンダがアストンマーティンにPUをワークス供給、レッドブルはフォードと提携を結んでPUの独自開発に挑むこととなる。

 トスト元代表は、当時のマクラーレンとのアプローチの違いを強調した上で、ホンダとの共闘の日々をこう振り返った。

「日本人との仕事は本当に楽しかった。彼らは信頼できる人々で、細部まで気を配る働き者。必要なノウハウも備えている」

「マクラーレンでは上手く行かなかった。真の協力関係がなく、情報の流れもなかったからだ。イギリス人たちは全てを自分たちでコントロールしようとしていた。我々とは全てがすぐに噛み合った。2018年は苦労したが、2019年には初優勝を挙げた。そしてレッドブルとのその後の物語は知っての通りだ」

「私にとってホンダは、特にモータースポーツにおいて最高の企業のひとつだ。モータースポーツが企業理念に根ざしているからね」

「これは創業者から直接受け継がれた理念であり、モータースポーツを高度に競争的な環境でエンジニアを鍛える手段として活用し、その後ファクトリーに戻すというプロセスがある。その理念は今日まで受け継がれている」

「率直に言って本当に素晴らしい協力だった。今回渡辺(康治/ホンダ・レーシング社長)と田辺(豊治/元ホンダF1テクニカルディレクター)がここへ来てくれたことを心から嬉しく思う」

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