F1 日本GP

不振アストンが鬼才に“泣きつく”まで残り何日? 新加入ニューウェイ、次世代F1マシン開発に全集中とはいかないかも……

F1におけるチャンピオン請負人としてアストンマーティンでの新章をスタートさせたエイドリアン・ニューウェイだが、チームが今年もトラブル続きのシーズン序盤を送っていることから、その関わり方も変わってくるかもしれない。

Stuart Codling

Stuart Codling

公開日時: 2025/04/10 3:19

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

Adrian Newey, Aston Martin

Adrian Newey, Aston Martin

写真:: Aston Martin

 億万長者は要求が多く、せっかちな生き物だ。アストンマーティンの前身チームでは、オーナーが入れ替わったとしても人材の継続性が特徴だった。しかしローレンス・ストロールがオーナーになってからは、そうとも言えない。イギリス・シルバーストンの豪華な新ファクトリーに回転ドアを設置しなかったのは、おそらく間違いだっただろう。

 チームのマシンがブリティッシュ・レーシング・グリーンに包まれるようになって以降、一時的に上位争いに食い込むことはあったものの、レース勝利を狙えるチームに成長できたとは言えず、クビも相次いでいる。昨年7月、アストンマーティンはフェラーリからエンリコ・カルディレをテクニカルオフィサーに迎えると発表し、彼が移籍を前にガーデニング休暇を取っている間に、エンジニアリング部門では少なくとも2回のリストラが行なわれた。

 そしてフェラーリはカルディレのアストンマーティン加入時期を遅らせようとまだ画策しており、カルディレとしては庭弄りで暇を潰すこととなっている。

 その間、アストンマーティンでは空力の鬼才ことエイドリアン・ニューウェイがマネージング・テクニカルパートナーとして稼働を開始。3月、アストンマーティンのファクトリーを訪れたニューウェイは、チームを学ぶこと、そして来る2026年のレギュレーション変更に集中することが優先事項だと明言していた。

 以前、マクラーレン、そしてレッドブルへ移籍した際には、既存マシンの“トラブルシューティング”作業には極力携わらなかったニューウェイだが、2025年シーズンのアストンマーティンの不本意なスタートを考えると、その選択肢はないかもしれない。

 アストンマーティンは開幕戦オーストラリアGPの予選で2台ともQ2敗退となった。荒れた展開となった決勝ではフェルナンド・アロンソがクラッシュを喫したが、ランス・ストロールが6位入賞を果たした。

 ただ続く中国GPでも難しい展開は変わらず、F1スプリントで無得点。決勝ではストロールが9位に食い込み、アロンソは中盤でのブレーキトラブルでリタイアを強いられた。

 日本GPではストロールが予選最下位。ソフトタイヤで決勝をスタートしたが、その作戦は上手くいかずに無得点に終わった。アロンソは初日こそスピードを示したものの、2日目以降は流れが途切れ、Q3に駒を進めることはできず。決勝でもポイントには届かなかった。

Fernando Alonso, Aston Martin Racing

Fernando Alonso, Aston Martin Racing

Photo by: Andy Hone / Motorsport Images

「トップ10に入るだけの速さはない」と11位でフィニッシュしたアロンソは語った。

「11位というのはちょっとした奇跡だよ。僕が言ったように、マシンのフィーリングは終始安定していたからね。グリップはなかった。ストレートでは最も遅いマシンだった」

 アロンソのアストンマーティンの現状についての発言の中には、日本GPの11位を最高のレースのひとつに挙げるなど誇張に満ちたモノもあったが、直線で遅いという点に関しては大きな間違いはなかった。スピードトラップで最も遅かったのは、予選ではガブリエル・ボルトレト(ザウバー)、決勝ではジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)だったが、アストンマーティンのドライバーはどちらもそれほど速くはなく、スピードトラップ最速のジョージ・ラッセル(メルセデス)から8km/h以上も遅かった。

 開幕2戦も似たような傾向だったが、それほど極端なモノではなかった。ただ、AMR25は空力効率に欠け、チームはコーナリングパフォーマンスを得るためにストレートスピードを犠牲にせざるを得ない。その上、風向きの変化にも非常に敏感で、フリー走行でアロンソがデグナーのグラベルに飛び出したのもそれが一因のようだ。

 motorsport.comの調べでは、不本意な結果となったレース週末後の月曜日のファクトリー内は、オーナーが不運な従業員に火を吹くように叱り飛ばす、居心地の悪い状況になっているという。それゆえ、ある時点でチーム側がニューウェイに2025年プロジェクトへの関与を求めることは避けられないだろう。

 それがどのような形で行なわれるのかは不明だ。アフリカのサバンナでは、若いライオンが群れの長になった時、前任者の子孫を皆殺しにすることが最初のタスクだが、F1のエンジニアリングでそのルールが適用されることはない。

 ニューウェイは2007年のインタビューで、前年にレッドブルへ加入した際、次のマシンをまっさらな状態からスタートさせることに全力を注ぐ前に「既存マシンを理解するために時間をかけた」と語っていた。そして自伝の中で、自身が何を発見したのか、なぜマクラーレンの最新コンセプトを開発の出発点としたのか、なぜレッドブルの2006年マシンには改善の余地がなかったのか、さらに丁寧に語った。

Robert Doornbos, Red Bull Racing RB2 Third Driver

Robert Doornbos, Red Bull Racing RB2 Third Driver

Photo by: Edd Hartley

「私が描いたマシンは、当時の2006年マシンよりも良いベースだった」とニューウェイは記した。

「(レッドブル側のベースは)オーバーヒートし、ダウンフォースが弱く、ハンドリングが悪く、ギヤボックスの信頼性もなかった。それを除けば問題なかったよ!」

 1997年半ばにウイリアムズでのガーデニング休暇をめぐる法的紛争が解決されマクラーレンへ移ったニューウェイは、すぐにハンガリーGPに帯同するよう強要された。そこでニューウェイはより柔らかいスプリングを使うことを提案し、製図台から離れることを考え始めた。

 ここにアストンマーティンが抱える問題がある。ニューウェイは本質的にクリエイティブな人間であり、先見の明がある。既存のコンセプト開発に引き込むことは、才能の無駄遣いであり、特にそのコンセプトに根本的な欠陥がある場合はなおさらだ。

「私はいつも情熱をもって描くようにしている」とニューウェイは自伝に記した。

「つまり、今描いているモノが次のステップに進むと信じることができている必要がある。自分が描いているモノを信じられない時は、上手くいった試しがない」

「難しいのは、常に自分自身に正直であろうとすること、そして、いつ枯れ馬に鞭を打つのをやめて、違うモノに移るかを知ることだ。結果が出ないことが明白になりつつあるのに、その道を貫こうとしすぎている同僚をよく見かける」

 おそらく、死に体のAMR25をスクラップ送りにし、ニューウェイの天才的なクリエイティビティや能力を2026年マシンに注いだほうが、アストンマーティンにとっては長期的に見てプラスに働くはずだ。しかし、それには組織のトップに不足している忍耐力が必要だ……。

関連ニュース:

 

あなたの意見が聞きたい!

Motorsport.comで何を見たいですか?

5分間のアンケートにご協力ください。

- Motorsport.comチーム

関連ニュース :

記事をシェアもしくは保存

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

前の記事 FIAと英モータースポーツ統括団体の対立続く。FIAの返答に中身なく「乗り越えられないわけではないが、現状は不適切」

次の記事 シーズン中ドライバー交代の可能性が明かされたトヨタSF育成チーム。一見レッドブルっぽいやり方……でもコンセプトは違う?

More from

Stuart Codling



2歩進んで1歩下がる……苦しい現状のマクラーレンにとって「今が大事な時期」とピアストリ

F1

F1

メキシコシティGP

4 日前

2歩進んで1歩下がる……苦しい現状のマクラーレンにとって「今が大事な時期」とピアストリ



アロンソの”F1ドライバーのレベルが低い”発言が思わぬ波紋。ローソン主張「そもそも、F1に辿り着くのが難しすぎるのが問題だ」

F1

F1

メキシコシティGP

6 日前

アロンソの”F1ドライバーのレベルが低い”発言が思わぬ波紋。ローソン主張「そもそも、F1に辿り着くのが難しすぎるのが問題だ」



ボッタスのキャデラック離脱はもはや既定路線? ブコウスキー代表「シートが決まっていない全員から連絡をもらっている」 しかし最優先は”アメリカ人”

F1

F1

アメリカGP

12 日前

ボッタスのキャデラック離脱はもはや既定路線? ブコウスキー代表「シートが決まっていない全員から連絡をもらっている」 しかし最優先は”アメリカ人”

More from

アストンマーティン



メキシコシティGPはわずか5周で終戦、大惨敗アストンマーティン・ホンダ。気になる2年前”RB20”との乖離……キーワードは『運転限界』

F1

F1

メキシコシティGP

1 日前

メキシコシティGPはわずか5周で終戦、大惨敗アストンマーティン・ホンダ。気になる2年前”RB20”との乖離……キーワードは『運転限界』



今週末のサンパウロGPは雨の可能性も? ホンダF1折原エンジニア「激しい雨も想定して準備中」

F1

F1

メキシコシティGP

2 日前

今週末のサンパウロGPは雨の可能性も? ホンダF1折原エンジニア「激しい雨も想定して準備中」



アストンマーティン・ホンダにとってメキシコシティGPは厳しい1戦に。ホンダ折原エンジニア「ERS冷却システムに想定以上の負荷がかかった」

F1

F1

メキシコシティGP

4 日前

アストンマーティン・ホンダにとってメキシコシティGPは厳しい1戦に。ホンダ折原エンジニア「ERS冷却システムに想定以上の負荷がかかった」

最新ニュース



終盤戦のラストチャンス? ザルコ、カタールGPに期待感「トップライダーの数も少なくなるしね」

MotoGP

MGP MotoGP

カタールGP

45 分前

終盤戦のラストチャンス? ザルコ、カタールGPに期待感「トップライダーの数も少なくなるしね」



ハミルトンは黙らない! フェラーリの”不利益”を避けるため、ルクレールとの話し合いを改めて要求「優勝を逃した……対策を講じなきゃ」

F1

F1 F1

サンパウロGP

1 時間前

ハミルトンは黙らない! フェラーリの”不利益”を避けるため、ルクレールとの話し合いを改めて要求「優勝を逃した……対策を講じなきゃ」



カタールGPで今度こそ復帰目指すマルティン、今後の目標は「タイトル争いを最終戦まで持ち込むこと」

MotoGP

MGP MotoGP

カタールGP

2 時間前

カタールGPで今度こそ復帰目指すマルティン、今後の目標は「タイトル争いを最終戦まで持ち込むこと」



ついに走り出したGR GT3 concept、こだわってきた“扱いやすさ”に手応え。スーパーGT特認参戦に石浦「王者争いにリスペクト持って」

スーパーGT

SGT スーパーGT

第3戦・第8戦もてぎ

2 時間前

ついに走り出したGR GT3 concept、こだわってきた“扱いやすさ”に手応え。スーパーGT特認参戦に石浦「王者争いにリスペクト持って」

Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.

フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。

次の 2 つのオプションがあります。

購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします

広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード

お知らせの管理

登録