コラム
F1
人材流出相次いだレッドブル。ミハエル・シューマッハーが抜けたベネトンのような建て直しが必要?
人材流出が続いたレッドブル。成功を収めた後に低迷が始まる様子は、ミハエル・シューマッハーを失ったベネトンを彷彿とさせる。

Jake Boxall-Legge
編集: 2026/04/30 11:14
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日本語には盛者必衰という四字熟語があるが、英語にも「上がったものは必ず下がる(what goes up must come down)」というフレーズがある。この表現は、投げられた物体の軌道や飛行機の離着陸、あるいは成功の後に低迷するスポーツチームを語る際の導入など、あらゆる場面に当てはめられる。
少し前のニュースになるが、レッドブルで長年マックス・フェルスタッペンのレースエンジニアを務めてきたジャンピエロ・ランビアーゼが、遅くとも2028年までにマクラーレンへ移籍することが発表された。
マクラーレンは声明の中で、「ランビアーゼのようなトップ人材を引き付け、確保できていること、そして以前にロブ・マーシャルやウィル・コートネイといった長年レッドブルに在籍していたエンジニアの獲得は、ザク・ブラウン(マクラーレン・レーシングCEO)とステラのリーダーシップのもと、マクラーレンF1チームに根付く戦略的ビジョンと文化の証と言える」と述べ、獲得した元レッドブルスタッフの名前を並べた。
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マーシャルとコートネイは、セバスチャン・ベッテルが4連覇を果たした2010~2013年、そしてフェルスタッペンが4連覇した2021~2024年の黄金期において重要な役割を果たした人物だ。
一方ランビアーゼは、ベッテルが活躍していた時代はフォースインディアにいたものの、レッドブル加入後はフェルスタッペンの強みを引き出す、不可欠な存在となった。
しかし、ふたつの成功期を支えた主要メンバーの多くはすでにチームを去っている。元チーム代表のクリスチャン・ホーナーは解任され、言わずとしれた伝説的デザイナーのエイドリアン・ニューウェイはアストンマーティンへ、スポーティング・ディレクターのジョナサン・ウィートリーはザウバー/アウディへ移籍(すでに離脱)し、ヘルムート・マルコも昨季限りで退任した。
とはいえ、レッドブルに人材が不足しているわけではない。ピエール・ワシェは引き続き技術部門を率い、ベン・ウォーターハウスは役割を拡大、チーフデザイナーのクレイグ・スキナーとチーフエンジニアのポール・モナハンも2006年から在籍している。
それでもこの世代交代は、ミハエル・シューマッハーの連覇後に主要スタッフを失ったベネトンの状況と比較される。ベネトンはその後10年ほどで再びタイトルを(ルノーF1として)獲得するが、主力を失った後は長い低迷期を経験した。
Schumacher reunited with Brawn at Ferrari in 1997
Photo by: Ercole Colombo / Studio Colombo / Getty Images
シューマッハーのフェラーリ移籍は1995年8月に発表されたが、ベネトンからの人材流出が本格化したのは1996年末以降だった。ロス・ブラウンやロリー・バーンらがシューマッハーに続いてフェラーリへ移り、技術チームを再結集した。引退を考えていたバーンも、シューマッハーに説得されてフェラーリ行きを決めた。
ジャン・トッドの下でフェラーリは設計部門とエンジン部門の統合を進め、空力担当のニコラス・トンバジスや電子制御の専門家タッド・チャプスキもフェラーリに加わったが、パット・シモンズの引き抜きはベネトン側が技術責任者のポストを提示したことで阻止された。
再建期に入ったベネトン。フラビオ・ブリアトーレは1997年末に去り、プロドライブのデビッド・リチャーズが後任となった。しかしフォードとの提携案がオーナーに拒否され、リチャーズも1年で離脱。チームは旧ルノーV10エンジンの改良版を使いながら中団に留まった。
ドライバー面ではジャン・アレジやゲルハルト・ベルガーを迎えたが期待通りの成果は出ず、その後ジャンカルロ・フィジケラやアレックス・ブルツといった若手にシフト。しかし予算縮小の中で、フェラーリやマクラーレン、ウィリアムズ、ジョーダンに対抗できるマシンを作るのは難しかった。
転機は2000年末、ルノーによる買収だった。ブリアトーレが復帰し、マイク・ガスコイン、ボブ・ベル、ジョン・トムリンソン、ディノ・トソらを招き、さらにフェラーリからチャプスキやジェームス・アリソンも呼び戻した。内部昇格と外部補強を組み合わせた結果、ルノーはフェルナンド・アロンソと共に、2005年と2006年にタイトルを獲得する。
この歴史は、レッドブルにとって警鐘であると同時に希望でもある。ワシェやウォーターハウス、スキナー、そして空力責任者エンリコ・バルボといった人材が残り、さらにレーシングブルズからアンドレア・ランディも加わっている。F1パドックの人材流動性を考えれば、ランビアーゼの後任を含め、必要な補強は今後も進められるだろう。
そもそもF1とはそういうものだ。栄枯盛衰のサイクルは、トップの人事変動とともに訪れる。フェラーリも2006~2007年にトッド、ブラウン、バーン、シューマッハーが去った際、同様の変革を経験している。人材流出が段階的に起こる場合もあれば、一気に進むこともある。
シーズン序盤が厳しくても、レッドブルが過度に慌てる必要はない。1000人以上のスタッフとパワートレイン部門を擁する組織は、経営層の数名の離脱を十分に乗り越えられるはずだ。
重要人物の流出に対する最初の衝撃や、「またかよ」という内輪ネタ的な反応はやがて落ち着く。それよりも、これは内部の人材がステップアップし、チームを現在の困難からの脱出に導くチャンスでもある。
結局のところ、どこの職場でも起こりうる話だ。F1というのは──時速300kmで展開される”エンターテイメント”に過ぎないのかもしれない。
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