F1

F1タイヤウォーマーは禁止されるのか、されないのか。決定における焦点となるのは「タイヤ戦略への影響」とピレリ

F1タイヤサプライヤーのピレリは、タイヤウォーマーの廃止について、戦略からアンダーカットが消滅する可能性が最終的な判断に関わってくると考えている。

Jonathan Noble

Jonathan Noble

公開日時: 2023/06/25 23:09

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Max Verstappen, Red Bull Racing RB19, makes a pit stop

 F1のタイヤサプライヤーであるピレリは現在、タイヤウォーマー(タイヤブランケット)による予熱を必要としないタイヤの開発に取り組んでおり、F1チームとFIAは7月に2024年からタイヤウォーマー廃止に踏み切るかどうかの投票を行なうこととなっている。

 そこで焦点となるのは、タイヤ戦略において重要視されてきた“アンダーカット”が消滅する可能性があることだとピレリ側は考えている。

 タイヤウォーマー廃止に向けた動きの中でこれまで議題となってきたのは、多くが安全性に関わる部分だった。ドライバーの多くは、タイヤウォーマーの運用費を節約するために、冷えたタイヤでクラッシュのリスクを負う価値があるのかと疑問視してきた。

 ピレリは自社のタイヤの安全性に自信を示しているが、それ以外にも真剣に考慮すべき要素があるとしている。

 その最たる例が、ウォーマーいらずのタイヤを導入することで、オーバーテイクやタイヤ戦略の選択肢など、レースにどれだけ悪影響を及ぼすかだ。

 ピレリでF1活動の責任者を務めるマリオ・イゾラは、導入による影響を調べるために、細かいシミュレーションが行なわれると語っている。

「我々の最優先事項は安全第一であり、安全ではないタイヤを提供するつもりはない」

 イゾラはそう語る。

「ただ、重要なのはショーとしての要素だ。(タイヤの)温まりだけでなく、デグラデーション(性能劣化)の度合いやピーク時のグリップなど様々な要素において、どんな影響があるのかを分析する必要がある」

「FIAやF1と共に、いくつかのレースやレース状況をシミュレーションして、戦略などを確認する必要がある。様々な理由から、みんなができるだけ1ストップ戦略で走ろうとしていることが分かるはずだ」

Pirelli tyres and wheels outside of the Alpine garage

Pirelli tyres and wheels outside of the Alpine garage

Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

「戦略について語る時、そこには様々な要素が絡み合っている。タイヤのデグラデーションやピットレーンでのロスタイム、オーバーテイク難度など……トラフィックは戦略に異なる影響を与えるからね」

「マシンやサーキットに作用するのはタイヤだけではないから、常にパッケージ全体で考える必要がある」

 デグラデーションの大きいタイヤを使用する現代F1においては、戦略上アンダーカットが重要視されてきた。前方を走るライバルよりも早くにピットインを行ない、新しいタイヤでラップタイムを稼ぐことによって、遅れてピットを済ませたライバルの前にトラックポジションを上げることができるため、チーム間の駆け引きが度々行なわれている。

 しかし、ウォーマーなしタイヤのグリップがピークに達するまで時間を要することとなれば、新品タイヤと古いタイヤでのタイム差は小さくなり、アンダーカットを狙うメリットは完全に消えてしまう。これにより、ドライバーはよりコンサバなピットストップを強いられることとなるだろう。

 そのため、現在ピレリはウォーマーなしタイヤ導入に向けた作業の一環として、アウトラップでタイヤが作動温度に達するまでの時間を計算しているとイゾラは言う。

「これは大きな変更だし、ドライバーはアプローチを変える必要があるから、彼らが不満を抱いていることは分かっている」

「アンダーカットは効かなくなることが分かっているから、状況は変わるだろう」

「開発テストでアウトラップをセクターごとにモニタリングしているのもそのためで、走り始めの段階で、1ラップあたりの秒数やセクターあたりの秒数にどのような変化があるのかを理解しようとしている」

「決定に向けて有益な情報を提供すべく、できる限り多くのデータを集めようとしている」

 またイゾラは、ウォーマーを必要としないタイヤにウォーマーで温められたタイヤと同じようなパフォーマンスを期待するのは非現実的だと言う。

「ウォーマーのないタイヤが現行タイヤと全く同じ性能を発揮することを目標に設定するのは、不可能だと言える」

「我々としては不可能だし、どのメーカーにもムリだ。冷えたタイヤでピットアウトした時、70度の熱が入った現行タイヤと同じグリップを得ることはできないからだ」

「バーレーンでは、攻撃性の高い路面と高い路面温度、そしてタイヤに熱が入りやすいレイアウトのおかげで、ターン1だけで済むかもしれない。でもモナコやシュピールベルク(レッドブル・リンク)では、もっと時間がかかる。アプローチが違うんだよ」

 2024年からF1がタイヤウォーマーを廃止するかどうかの最終判断は、イギリスGP終了後のタイヤテストの結果を経て行なわれる。

 

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