海外F1記者の視点|来季アルピーヌでガスリーのチームメイトを務めるのは誰? 角田か? それともコラピントか?
アルピーヌは、来季のピエール・ガスリーのチームメイトを決めかねている。一体誰が選ばれるのであろうか? motorsport.com各国のライター陣が分析する。
Pierre Gasly, Alpine, Franco Colapinto, Alpine
写真:: Jayce Illman / Getty Images
2026年のF1参戦ドライバーのラインアップは、ほぼほぼ決定。まだ正式に来季のドライバーを決めていないのは4チームである。
そのひとつはメルセデスだ。しかし彼らは、ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリという今季と同じコンビを維持するものと見られている。そうすると残りはレッドブル、レーシングブルズ、そしてアルピーヌだ。
レッドブルに関しては、日本GPから昇格を果たしたものの苦戦が続いている角田裕毅の後任として、アイザック・ハジャーが昇格し、マックス・フェルスタッペンとコンビを組む可能性が高いと言われている。そしてレーシングブルズには、F2参戦中のアーヴィッド・リンドブラッドが加入し、リアム・ローソンか角田のどちらかと組むことになると見られる。
一方でアルピーヌの状況は、これらのチームよりもはるかに不透明だ。ピエール・ガスリーとは2028年いっぱいまで契約しているものの、フランコ・コラピントは今季途中でジャック・ドゥーハンからシートを引き継いだ後、ここままで無得点。昨年ウイリアムズから突如デビューした時に放ったような輝きを見せられてはいない。
ではアルピーヌは、来季のドライバーをどうするべきなのだろうか? コラピントを残留させる? それとも他のドライバーを後継に据えるべきなのか?
もしレッドブルが角田を放出するのなら、アルピーヌは獲るべきだ!:ベン・ヴィネル
Yuki Tsunoda, AlphaTauri, Pierre Gasly, AlphaTauri
写真: Red Bull Content Pool
もし角田を獲得できるのであれば、アルピーヌにとっては当然選択肢となるだろう。私はそう信じている。
それは「もし」の話ではあるが、決してあり得ない話ではない。レッドブルは来季、リンドブラッドをF1デビューさせたいと考えているように見える。そして角田は、残念ながら今のところは、フェルスタッペンと並ぶレベルのパフォーマンスを発揮できていない。前任者たちと同じように。
角田は速い。そのことに疑いはない。しかし経験を積んだものの、まだ不安定な部分がある。そしてレッドブルで過ごしている時間はうまくはいっていないものの、この厳しい状況の中で多くのことを学んでいるのは確かだ。トップチームでの経験は、F1においては常に貴重。だからこそキャデラックは、デビュー1年目のドライバーに、バルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレスという、トップチームに所属した経験、そして優勝した経験を持つベテランふたりを起用したのだ。ふたりは全盛期を過ぎているかもしれないが、新しいチームを正しい方向に導くことができるだろう。
角田はガスリーとの関係も良い。これは見逃せないことだ。ふたりはアルファタウリで2年間にわたってコンビを組み、良好な関係を育んだ。今でもガスリーは、角田にとって兄貴のような存在であり、共にイタリア・ミラノに住んでいる。
確かに、ふたりのドライバーの関係がいいことと、チームの成否とはあまり関係はないかもしれない。しかしアルピーヌにとっては、良い後押しとなるだろう。
コラピントにもう1年チャンスを与えようよ:スチュアート・コドリング
Franco Colapinto, Alpine
Photo by: Sam Bloxham / LAT Images via Getty Images
F1は記憶力の短い人が集まるカテゴリーである。しかし私は、コラピントが最もエキサイティングな新星だった時のことを覚えている。幸いにも。
昨年の今ごろ、彼は経験豊富で高い評価を得ていたチームメイト、アレクサンダー・アルボンを、2戦目の予選で下した。このことを、熱狂的に指摘する人もいた(もっとも、チームがエアボックスのファンをつけたままコースインしてしまったため、アルボンは予選Q3を1周しか走れなかったが……)。
その後コラピントは、何度かクラッシュするシーンを演じた。それでも、速さを示すには十分だった。
今季からはアルピーヌに加入したコラピント。ミスを犯す傾向は依然として続いているが、その速さは扱いにくく、開発がほとんど進んでいないマシンによって覆い隠されている。そんな中でコラピントを追い出すのは、悪名高き”レッドブルの愚行”を真似ることになるだろう。レッドブルは、セカンドドライバーを何人も切った後、ようやくマシンの問題に気付いた。
チームのエクゼクティブ・アドバイザーを務めるフラビオ・ブリアトーレは、首脳陣からそろそろ結果を出すようにプレッシャーをかけられている。そんな中で、自分がしっかりと取り組んでいることを示すために、解任を決断するかもしれない。
彼の”アップグレード”と言えるドライバーは、市場に残っているだろうか? 今季のコラピントは、間違いなく昨年よりも成長したドライバーだ。もっと良いマシンを与えられていれば、昨年のウイリアムズでのような華々しい活躍を見られたはずだ。
だからこそ、もう1年チャンスを与えるべきである。
F2首位のフォルナローリは、次のボルトレトに?:ジェイク・ボクソール=レッジ
Race winner Leonardo Fornaroli, Invicta Racing
Photo by: Formula Motorsport Ltd
今季からF2に参戦し、ランキング首位を走っているレオナルド・フォルナローリ。彼にインタビューしたところ、そのF1デビューに向けた情熱がすぐにわかった。
現時点で彼は、いずれのF1チームのサポートも受けていない。しかしF2で安定したパフォーマンスを発揮し、ほどんどのレースでポイントを積み重ねている。控えめな性格で、アクシデントに巻き込まれることが少ない。派手なレーサーというわけではないが、ルーキーとしては驚くほど印象的な活躍だといえよう。
そういう意味ではフォルナローリは、来季のアルピーヌのドライバー候補として打ってつけだ。
今季ザウバーからデビューしたガブリエル・ボルトレトの活躍を見れば、フォルナローリが同じようなパフォーマンスを発揮できるドライバーであると見なされるべきであろう。
なおフォルナローリは、昨年のF3で未勝利ながらチャンピオンに輝いた。そのため、安定しているが勝てないという印象を持たれてしまいがちだが、今季ここまでにF2で4勝を挙げており、そのイメージを払拭した。
アルピーヌが必要なのは、ポイント獲得の可能性が高まった時に、正確にマシンをコントロールして、チェッカーまで確実に運ぶことができるドライバーだ。フォルナローリは、まさにその条件に当てはまる。一方でコラピントは、最近徐々に調子を上げているものの、安定した成績だとは言い難い。
ブリアトーレは、チームの育成ドライバーから昇格させたいと考えているかもしれない。しかしそのプログラムの外にも、ポテンシャルを秘めた存在が控えている。
混沌としたチームの環境が、コラピントを苦しめている:エド・ハーディ
Franco Colapinto, Alpine
Photo by: Sam Bagnall / Sutton Images via Getty Images
正直に言うと、コラピントはスーパースターではない。ジュニア時代は平凡なキャリアを送り、F3参戦2年目はランキング4位だった。F1進出を予想する人は誰もいなかった。しかし適切なタイミングで適切な場所にいたからこそ、F1にたどり着くことができた。
たしかにウイリアムズでデビューした頃は衝撃的だった。最初の4戦で2度の入賞を果たし、前任者のローガン・サージェントと比べると、大きな差を見せつけた。ただその成績を長く続けることはできなかった。実際、アルピーヌに加わってから、まだ1ポイントも手にできていないのだ。
しかしながら、それを全てコラピントのせいにしてしまうのはちょっと違う。アルピーヌのチーム自体が混乱しており、コラピント以上に根深い問題がある。
チームの運営体制は絶えず変化しており、クリスチャン・ホーナーによる買収の話が収まる気配もない。しかも多くのリザーブドライバーを抱えている。
この状況の中では、チームを安定させることが必要不可欠だ。そのためのひとつの方法は、ガスリーのためにも、チームメイトを頻繁に入れ替えないようにすることだ。もしコロコロとドライバーを変えてしまうことになれば、問題をさらに悪化させることになるだろう。
コラピントがアルピーヌにとって長期的な解決策となるのかどうか、それは疑問だ。しかしチームとして彼を全面的にサポートすれば、成績は向上するだろう。コラピントには、自信と自由にパフォーマンスを発揮できる環境が与えられていない。それがあれば、はるかに良い結果を残すことができるはずだ。
12ヵ月経っても苦戦しているならば、その時にあらためて判断してもいいはずだ。
ブラウニングは賭けるに値する存在:ケビン・ターナー
Podium: second place Luke Browning, Hitech TGR
Photo by: Peter Fox / Getty Images
現在ウイリアムズの育成アカデミーに所属するルーク・ブラウニングは、そろそろ次の選択を検討し始めなければいけないかもしれない。現在のウイリアムズは、カルロス・サインツJr.とアレクサンダー・アルボンという超強力なドライバーをふたり抱えているため、同チームからF1デビューするのは至難の業である。
F1での豊富な経験を持ちながら、まだ来季どのチームとも契約していないどいうドライバーは、今ではあまり多くない。そのためアルピーヌがF2上位ランカーに目を向けるのは理に適っている。
ただアルピーヌ育成のガブリエル・ミニとクシュ・マイニはF2で苦戦を強いられており、来季のF1昇格は難しいと言わざるを得ない。しかしウイリアムズ育成のブラウニングはF2でランキング3番手につけ、タイトル争いに加わっている。
2022年のGB3でチャンピオンに輝いたブラウニングは優れたレーサーであり、エンジニアやメカニックをすぐに味方につけることができる人格も持ち合わせている。資金が少なく、長く腰を据えてひとつのシリーズを戦うことなどできないものの、常に好成績を残してきた。
2022年には現在ハースF1のドライバーとして活躍するオリバー・ベアマンを抑え、オートスポーツBRDCヤングドライバー賞を受賞。アストンマーティンのF1マシンをドライブした。ウイリアムズでのF1走行も経験しており、パドックでの経験も積み重ね、F1の仕組みもすでに熟知している。
若いドライバーがF1デビューのチャンスを得た時に、どんな活躍を見せるのかは予測できない。しかしブラウニングのこれまでの経験と実績は、F1デビューするに値する実力が備わっていることを示唆している。
記事をシェアもしくは保存
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。