驚き! フォーミュラEの優れた効率性。ポルシェ首脳語る「我々はF1より18%遅い……でも僅か4リットルのガソリンでレースを走り切るようなモノなんだ」
ポルシェでフォーミュラE開発を率いるフロリアン・モドリンジャー氏が、FEの優れた効率性を、F1との比較で語った。
ポルシェのフォーミュラE開発を率いるフロリアン・モドリンジャーが、フォーミュラEマシンの効率の良さを、F1マシンの比較によって説明した。
近年の自動車業界は、100年に一度の変革期とも言われることが多い。自動運転技術が進歩し、動力源もエンジンから電気モーターへ……そんな流れが作られつつあった。
しかし最近では、電気モーターを動力源とするEVの普及速度は、以前と比べても鈍っているように見える。そのため、EVに注力すると明言していた自動車メーカーの中には、その方針を捨て、ハイブリッド車に回帰する動きも少なくない。
先日TDKのテクニカルセンターで行なわれた「TDKのモビリティへの貢献と、ポルシェ・モータースポーツの技術コラボレーション」の説明会に登壇したポルシェのディレクター・ファクトリー・モータースポーツ・フォーミュラEのフロリアン・モドリンジャーは、F1とフォーミュラEを比較することで、EVがいかに効率的かを説いた。
「確かに世界中で、完全電気自動車の台数増加の速度は、停滞気味である。しかしその利点は、今後多くの認識を生み出すと確信している」
モドリンジャーはそう語った。
「私は、F1と比較することでその結論に至っている。F1は私に、いくつかの数値をもたらしてくれたからだ」
「現在のフォーミュラEは、モナコではF1と全く同じレイアウトを使っている。そしてF1の方が、今は明らかに速い。昨年のラップタイムを比較すると、F1はフォーミュラEよりも18%も予選で速いんだ」
「この数年間で、我々はかなりF1との差を縮めた。しかしそれでも、まだ依然として18%の差があるんだ」
Taylor Barnard, NEOM McLaren Formula E Team
写真: Andreas Beil
2025年のF1モナコGPのポールポジションタイムは、1分9秒954(ランド・ノリス/マクラーレン)だったのに対し、昨年のフォーミュラEモナコE-Prixの予選最速タイムは1分26秒315(テイラー・バーナード/マクラーレン)であった。確かにF1の方が、18%ほど速い。
モドリンジャー氏が言うように、パフォーマンスという面では、まだまだフォーミュラEはF1の足元にも及ばない。しかし重要なのはパフォーマンスではない。モドリンジャー氏は説明する。
「しかしここに、興味深い事実がある。フォーミュラEでは、38.5kWhのエネルギーを使うことができる。このエネルギーだけで、昨年のモナコE-Prixでは52分間のレースを走ったのだ」
「38.5kWhというのは、ガソリンで言えばおよそ4リットルに相当するエネルギー量だ。その燃料でF1マシンでレースをすると、ほんの数周しか走ることはできないだろう」
Lando Norris, McLaren
写真: Sam Bagnall / Motorsport Images via Getty Images
エネルギーには様々な単位があるので、実にややこしい。そのため整理してみよう。38.5kWhは、138.6MJに相当する。F1で今季から使われているバッテリーは4MJ、1周で使える電気エネルギーの量は8.5MJであるから、それと比べればフォーミュラEのバッテリーは相当に大きいと言える。しかしガソリンが持つエネルギー量は1リットルあたり33.3MJであり、それと比べればかなり小さい。
計算すれば、フォーミュラEは確かにガソリン換算で4リットル強のエネルギー量でレースを走り切るということになるわけだ。そう考えると、確かにEVは効率の良さは驚異的だ。逆を言えば、わずか1リットル(700gほど)の中にそれだけ多くのエネルギーが詰め込まれているガソリンの凄さも実感する。
モドリンジャー氏は続ける。
「マシンの総合的な効率性という観点から見ると、この技術の圧倒的な優位性が明らかになる。この優位性が将来より明確に認識され、道路を走るEVの数も増えていくと私は考えている」
「これは私の個人的な意見だがね」
そういう意味では、もっと電気を気軽に充電できたり、あるいは火力発電ではない形で調達できるようになれば、EVの優位性が高まるかもしれない。
説明会にモドリンジャーと共に登壇したTDKのミッションエグゼクティブであるマイケル・ポチャッコ氏は、次のように説明する。
「TDKは自動車だけでなく、再生可能エネルギー技術にも力を入れている」
そうポチャッコ氏は語る。
「充電ステーションの整備を支援したり、充電効率の向上にも取り組んでいる」
「中東の状況を考えてみてほしい。ガソリンを購入する必要がなくなれば、それは大きなメリットになるだろう。このこと自体が、雄弁に物語っていると思う」
「我々の課題は、さらに改善していくことなのだ」
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