ドゥカティ、技術開発競争でまた一歩リードか。走行中も前後の車高調整が自在に?
2022年シーズンに向けて、マレーシアでプレシーズンテストが開始。ここでドゥカティは、最新のライドハイト調整デバイスをテストしているようだ。
マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで、MotoGPの公式プレシーズンテストが開始された。テストライダーやルーキーのために事前に行なわれた3日間のシェイクダウンを除けば、MotoGPの公式セッションは、昨年11月にヘレスで行なわれたポストシーズンテスト以来となる。
このテストで、各メーカーがこの冬に水面下で行なってきた取り組みを垣間見ることができ、技術的な戦場がどこになるのかを予測することができる。
そういった意味で、ドゥカティは近年のMotoGPでトレンドを作り続けてきた。2015年の大型ウイングレットもそのひとつで、今ではどのメーカーも空力効果を持つフェアリングの開発に努力を費やしている。コスト高騰を防ぐため、空力フェアリングの変更を年1回に制限しているほどだ。
2018年には、ドゥカティがホールショット・デバイスを導入した。これはライダーが機械的にリヤの車高を下げる(電子的な調整は禁止されている)ことができるデバイスだ。
このホールショット・デバイスはサスペンションの働きを調整し、バイクの重心を下げることで加速中にフロントタイヤが浮き上がるのを防ぎ、スムーズに加速するためのモノ。フェアリングによるダウンフォースと車高を下げることで、アンチウィリーなどの電子制御の介入を減らし、ストレートでより高いトップスピードが得られるようになったのだ。
そしてドゥカティはこのデバイスを、コーナーの立ち上がりで作動する車高調整装置に発展させた。他のチームも、過去2シーズンの間に独自のシステムを開発。今や全メーカーが何らかの方法で車高を調整している。
ところが、ドゥカティはさらに一歩先を行っているようだ。セパンのシェイクダウンで、ドゥカティが機械的に作動する新しいフロント・ライドハイト・デバイスを試しているのが目撃されたのだ。
走行中のジャック・ミラー。フロント部分はかなり沈んでいるように見える。
Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images
これまで、フロントフォークを固定するフロント・ホールショット・デバイスは、スタート直後限定(ブレーキをかけると固定が解除される)で使われていたが、ドゥカティはラップ中にフロントとリヤの車高を下げることができるシステムを試していたのだ。
プラマックのヨハン・ザルコはこの件について口を閉ざしていたが、テスト初日の5日(土)に次のように明かした。
「そう、それを実現するために少し取り組んでいるんだ。少し時間がかかる」
このデバイスを開発する背景にあるのは、シンプルにさらなるトップスピードの追求である。
ドゥカティはすでにグリッド上で最もパワフルなエンジンを搭載しているが、最近ゼネラル・マネージャーのジジ・ダッリーニャがさらなる改良を加えたことを示唆した。
ドゥカティの新システムがレースで使えるほど洗練されているかどうかはまだ分からないが、誰にも気づかれないうちにすでにグランプリデビューを果たしている可能性は十分にある。
このデバイスは、2022年以降の技術競争の中心となってくる可能性が高いだろう。
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