「ターン1の無事な通過を祈らなきゃいけない状況は……」MotoGPハンガリーで起きた多重クラッシュの受け止められ方は?
MotoGPハンガリーGPの決勝で発生した多重クラッシュを受けて、ライダーたちが見解を語った。
写真:: Ferenc Isza / AFP via Getty Images
MotoGPハンガリーGPの決勝レースでは、1周目に多重クラッシュが発生してしまった。この件を受け、ライダーたちは要因となっている要素について考察した。
今回起きた多重クラッシュは、ホルヘ・マルティン(アプリリア)がターン1へのブレーキングでマシンをコントロールしきれず転倒し、チームメイトのマルコ・ベッツェッキ、ラウル・フェルナンデス(トラックハウス)、フェルミン・アルデゲル(グレシーニ)を巻き添えにクラッシュしたものだ。
マルティンとベッツェッキはともに打撲を負ったものの、初期検査では骨折は確認されなかった。しかし、こういったスタート直後の大事故はここ3戦で2度目だ。前回は5月のカタルニアGPで、1度目の再スタート時にヨハン・ザルコ(LCR)がクラッシュし、深刻な膝の負傷を負った。
またハンガリーGPの開催地であるバラトンパークに対しては、以前から安全性について懸念の声が挙がっていたという背景もある。特にターン1については、再舗装が行なわれたにもかかわらずグリップ不足が指摘されていた。
ホンダのルカ・マリーニは今回の事故を間近で目撃しており、マルティンたちのクラッシュは十分予想できたものだったと語った。オーバーテイクが難しいコースだけに、ライダーたちはスタート直後からポジションを上げようと必死になっているからだとマリーニは説明する。
「正直に言えば、これは予想できたことだったと思う」
マリーニはそう語った。
「昨日(スプリントレース)はみんなかなり慎重だった。でも今日は決勝レースだったからね。1周目をトップ3で終えられれば良い結果につながると分かっている以上、あそこ(ターン1)で全てを賭けることになるんだ」
さらにマリーニは、コースレイアウトそのものにも問題があると指摘した。
「コースレイアウトも助けになっていない。あそこでは40km/h程度まで減速しなければならないんだ」
「しかも、そこでひとつポジションを上げれば、残り27周の間に抜かなければならないライダーがひとり減ることになる。そういった要素が重なっている」
「それに舗装工事も良い仕事だったとは言えない。僕たちはMotoGP側と何度も話し合ったけれど、MotoGPとサーキット側の間で認識の食い違いがあった。そして結果として良い形にはならなかった」
Jorge Martin, Aprilia Racing Team, Pedro Acosta, Red Bull KTM Factory Racing, Fabio Di Giannantonio, VR46 Racing Team, Fermin Aldeguer, Gresini Racing
Photo by: Ferenc Isza / AFP via Getty Images
リタイアこそ免れたものの、マルティンの転倒に巻き込まれて大きくポジションを落とし12位フィニッシュとなったファビオ・ディ・ジャンアントニオ(VR46)は、スタート時のライダーたちのアグレッシブさについて厳しく批判した。
「ホルヘに何が起きたにせよ、こうしたことは避けなければならない」
「これは僕自身にも言えることだけど、僕たちは毎回リスクを負い過ぎている。単に転倒したりフロントタイヤを滑らせたりするリスクではなくね」
「全ライダーの命を危険にさらしているんだ。今日はもっとひどい結果になっていてもおかしくなかった。それはこのスポーツにとっても、僕たち自身にとっても良いことではない」
「もし適切なペナルティで理解できないのであれば、もっと厳しい処分が必要だと思う」
「レース前に祈らなければならないのが、良いレースをするためではなく、1コーナーを無事に通過できるようにということなんだ。そんな状況は本当に異常だと思う」
なおハンガリーGP決勝前には、MotoGPが今後スタート時の安全性向上のため、グリッドの間隔を広げる案を検討していることが明らかになっていた。
ジャンアントニオは、そうした案が今回のようなクラッシュ防止に役立つかと問われ、一定の効果があると考えていると答えた。
「確かに僕たちは1コーナーにかなり接近した状態で飛び込んでいる。もし誰かが無理をすれば、大きなリスクを負うことになるし、その見返りも非常に大きい」
「でももしライダー同士の距離がもっと開いていれば、大きなリスクを負っても得られるのはせいぜい2ポジションくらいかもしれない。そうなれば、割に合わないと感じて無理をしなくなる可能性がある」
「だからスペースを増やせるのであれば、その方が良いと思う」
「僕たちは世界最高のライダーなのだから、本来ならこうした状況に対処できるはずだ」
「でも、もし自分たちだけで解決できないのであれば、スペースを広げるとか、スタートラインを1コーナーに近づけるとか、何らかの対策が必要だと思う」
一方、プラマックのジャック・ミラーは、今回の事故の原因はマルティンがホールショットデバイスの解除に手間取ったことにあるのではないかと推測。そしてデバイスの即時廃止を訴えた。なお、デバイスは2027年に禁止予定だったが、すでに2026年の夏休み明けのレースから禁止が前倒しされる方針となっている。
「見た限りでは、ホルヘはデバイスを解除しようとしていたようだった」
ミラーはそう語った。
「バイクが跳ね始めて、一度そうなると止めるのは難しい。僕はずっと言い続けてきた。バルセロナで同じような1コーナーの事故を見て以来、『もう外すべきだ』とね」
「結局のところ、僕たちは不自然な操作をしている。特にここバラトンではターン1のグリップが低かった。新しい舗装では、フロントをロックさせずに十分な荷重移動を起こしてデバイスを解除するのが本当に難しかったんだ」
「だから今回もデバイスが関係したクラッシュだったと思っている」
「デバイスが無ければ、負担は軽くなるし同じ条件で走れるようになる。今、僕らは一丸となって走っているけど、今のバイクは前よりも30km/hも速くなっているんだ」
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