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スーパーフォーミュラ 第3戦:鈴鹿
蓋を開ければ“やっぱり”な展開だったスーパーフォーミュラ開幕ラウンド。ただテストが荒れた鈴鹿での第3戦はまだまだ予測不能?
2023年のスーパーフォーミュラ富士開幕ラウンドでは、昨年同様にTEAM MUGENの野尻智紀やVANTELIN TEAM TOM’Sの宮田莉朋らが速さを見せ、勢力図に大きな変化は見られなかった。しかしながら、第3戦の鈴鹿でも同じ傾向になるという保証はなさそうだ。
戎井健一郎
公開日時: 2023/04/21 12:54
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新型車両での事前テストが鈴鹿サーキットでの2日間のみという状況の中、富士スピードウェイで開幕を迎えた2023年のスーパーフォーミュラ。既報の通り、鈴鹿テストの段階ではその勢力図が大きく変わる可能性を匂わせていたが、富士での開幕2レースでは比較的昨年と同じような顔ぶれが上位に揃った。
富士ラウンドのフロントロウは、第1戦・第2戦共に野尻智紀(TEAM MUGEN)、宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)の組み合わせ。彼らふたりがフロントロウを占めるのは、昨シーズンから数えると実に4戦連続6回目となる。またリアム・ローソン(TEAM MUGEN)のデビューウィンは話題をさらったが、TEAM MUGENが強さを見せているのは昨年と同じ傾向であり、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がレースペースの良さを活かしてしぶとく上位に食い込むのも、既視感のある展開だ。
この2レースを見ると、車両がSF19からSF23に変わった今季も”やっぱり”勢力図は変わらないのか……そう考えてしまいがちだが、それは時期尚早かもしれない。少なくとも、開幕前テストが行なわれた鈴鹿での第3戦の結果を見てから判断するべきだろう。
■なぜ富士では“やっぱり”な勢力図になった?
3月の鈴鹿テストでは、昨年活躍した野尻や平川を含めた多くのドライバーが、後輪のグリップが低いオーバーステアな傾向を訴えており、その一方でTCS NAKAJIMA RACINGやKids com Team KCMGなど昨年苦戦気味だったチームの好調ぶりが目立った。これは車両がアンダーステア(前輪のグリップが低い)傾向のSF19からオーバーステア傾向のSF23になったことで、これまでアンダーステア傾向に悩まされていたチームがちょうどいいバランスでセットアップできるようになったのでは……そう見る向きもあった。
ではなぜ、開幕ラウンドでは大きく勢力図が変わらなかったのか? その理由には、富士スピードウェイというサーキットの特性が関係しているのではないかという意見も見られる。
Tomoki Nojiri, TEAM MUGEN
Photo by: Masahide Kamio
SF23はSF19と比べてダウンフォース量が下がったことが車両特性の変化した一因と思われるが、富士はそもそも鈴鹿と比べて求められるダウンフォースレベルが少ないサーキット。そのため、ダウンフォース減による影響が鈴鹿ほど大きくないため、勢力図がそれほど変わらなかったのでは、という考え方だ。
「富士はそもそも以前からローダウンフォースの空力(セッティング)で走っていたサーキットです。だから、鈴鹿よりもオーバーステアという話が聞かれないのかもしれません」
そう語るのはP.MU/CERUMO・INGINGの坪井翔だ。
「鈴鹿はフルダウンフォース(のセッティング)で走るサーキットなので、そこからダウンフォース量が減れば、当然その分オーバーステアになると思います」
またこれについて、リアム・ローソンを担当するTEAM MUGENの小池智彦エンジニアは、鈴鹿と比べて富士が「タイヤに厳しくない」という点も関係しているのではないかと分析する。
「鈴鹿の方が(富士と比べて)タイヤにきついサーキットですからね。今年のリヤタイヤは、データ上で“弱さ”が見えるのでオーバーステアが出やすい傾向にありますが、富士ではそこが多少マイルドになったのではないかと思います」
このような証言からも、やはり鈴鹿戦は富士戦とは異なる様相を呈する可能性がある。そんな鈴鹿戦に向けて、開幕戦の際にポジティブなコメントが聞こえてきたチームがいくつかある。
■好調NAKAJIMA RACINGらに注目
鈴鹿テストで好タイムを連発していたTCS NAKAJIMA RACINGは、富士ラウンドでも上々な走りを見せた。第1戦を4位で終えた山本尚貴は「まだ1回しかテストをしていませんが、この(テストで得た)ベースがあれば、セットアップを大外しすることはないのかなという感じはします」とコメントしており、さらに「(鈴鹿などの)ハイダウンフォースのサーキットに行った時は、今より分があると思います」と話しているため、注目のチームと言える。
Naoki Yamamoto, TCS NAKAJIMA RACING
Photo by: Masahide Kamio
P.MU/CERUMO・INGINGも、富士ラウンドでは2レース共2台揃って予選トップ8に入るなど、安定して高いパフォーマンスを発揮した。第2戦では2位に入った坪井は「今後に向けても楽しみ」と話しており、昨年は特に苦戦した阪口もセットアップの熟成に自信を見せ、「なんとなく速くなっている、ではなく、断言できる根拠があります。そこは僕たちのレベルアップと思っていいと思います」と語っていた。
ちなみに、実は彼らも昨年はアンダーステアに苦しんでいたと言われるチームのひとつ。そのため、車両がSF19からSF23になったことでの恩恵を受けたのではと考えてしまうが、坪井も阪口も口を揃えて「恩恵はなかった」と語るところは、興味深くもあると同時に、一元的な思考で語れないモータースポーツの奥深さを示しているようにも感じられる。
#38 P.MU/CERUMO・INGING
Photo by: Masahide Kamio
「確かに昨年はアンダーステアに苦しんでいた節はあったので、今年は(車両変更で)バチっとくるかなと思いましたが、そういう点では思ったより来ないなという印象です(笑)」と苦笑するのは坪井。彼は「セットアップ次第でアンダーステアにもオーバーステアにもなっちゃいますし、リヤグリップがないからといって、そこを増やしたら単純にタイムが上がるとも限りませんし……テストがなさすぎて分かりません」と話す。
また阪口は、車両変更が自分たちの追い風になったかという質問に対し、こう返した。
「無風です。何も変わらないと思います」
「鈴鹿で、SF19のセッティングのままでSF23に乗っても、僕の中では全く同じ感触でした。そこ(車両変更)で悪いところが消えてほしいという勝手な期待がありましたが、全く消えませんでした」
開幕2レースを終えてのチームランキングは、TEAM MUGENが61点でトップ独走中の一方で、2番手以下はP.MU/CERUMO・INGING(16点)ら5チームが5点差以内にひしめいている。王者MUGENとライバルの差は縮まるのか? さらに広がってしまうのか? そして混沌の2番手争いは? まだまだ予測不可能と言えそうだ。
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