突然のペースダウンにペナルティ……優勝候補の100号車STANLEYは歯車噛み合わず12位「反省を活かしレースで強いクルマを作る」
スーパーGT開幕戦岡山の序盤で優勝争いに絡むも、最終的に12位に終わった100号車STANLEY NSX-GT。苦しい展開となったレースを星学文エンジニアが振り返った。
目まぐるしく変わる天候により大波乱となったスーパーGT開幕戦岡山。レースの主役が現れては消え、また現れて……100号車STANLEY NSX-GTも、レース序盤の“主役”だった1台だ。
3月の岡山テストでは好調だった100号車STANLEYは、雨の予選で8番手となり、グリッド4列目からスタート。前半スティント担当の牧野任祐はオープニングラップで4番手に上がると、3周目には3番手となり、前を行く23号車MOTUL AUTECH Z、3号車Niterra MOTUL Zの日産勢を猛然と追い上げた。
ファステストラップを刻みながらプッシュし、前の2台に追い付いた牧野。しかし15周目前後から雨が降り始めると、これが100号車も含めレース全体の流れを大きく変えることになる。
100号車は16周目終了時、コースアウト車両によるイエローフラッグがFCY(フルコースイエロー)に変わるタイミングでピットイン。ウエットタイヤに交換した。これで100号車はトップでレース再開を迎えることができたため、非常に絶妙なタイミングでのピットインだったと思われていた。
ただ、牧野は路面が少しずつ乾きゆくコンディションの中でなかなかペースを上げられない。28周目に首位陥落すると、次々とライバルのオーバーテイクを許し、6番手までポジションダウンした。
Photo by: Masahide Kamio
そんな100号車に追い打ちをかけるように、ペナルティの裁定が下る。FCYのタイミングでのピットストップが、FCYボード提示後、つまりピットレーンクローズ後だったと判定されたのだ。これにより100号車は60秒のペナルティストップを科されることになり、上位争いから脱落した。
最終的には12位に終わった100号車。星学文エンジニアに、ペナルティとペースダウンの要因について聞いた。
まずFCY中のピットインについては、そもそもあのタイミングはちょうど雨量が多くなり始めていた頃であり、星エンジニアはドライバーとピットに16周終了時のピットインを指示していたという。しかしそんなタイミングで不運にもFCYが出されてしまったのだ。
牧野はレース後にSNSで「自分のFCY時の判断ミスでレースを台無しにしてしまいました」として、関係者に謝罪の言葉を述べていたが、星エンジニアは「本来は無線交信をしながらも、きちんと(チームとして)判断をしないといけないですし、チームのオペレーションの問題でもあったと思います」と話す。
また中盤のウエット路面でペースに苦しんだことについては、決勝レースを終えたばかりの段階ではチームも確固たる原因を特定できていない様子だった。
「まだ細かく話を聞けていませんが、GT300のトラフィックに引っかかり始めるタイミングだったので、そういったところが関係しているのではないかと思います。ゴム付き(ピックアップ)の状況も聞く必要があります」
「我々はソフト側のタイヤを選んでいました。もしかすると、他のチームはハード側を選んでいて、そこ(100号車がペースダウンしたタイミング)から良くなっていったのかもしれません」
Photo by: Masahide Kamio
岡山テストの結果から、特にドライコンディションにおいては強さを見せられるという自信があったというTEAM KUNIMITSU。今後に向けて、“レースで強いクルマ”を作っていきたいと星エンジニアは語った。
「特にドライコンディションでは自信がありましたが、ウエットコンディションにおいてはタイヤメーカーの差もまだまだあると感じますし、クルマの方もウエットに合わせて作り込んでいかないといけません」
「この先もレース中にコンディションが変わることがあると思うので、この反省を活かしてレースで強いクルマを作りたいです」
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