スーパーGT 第2戦:富士
GT300優勝にあと一歩まで迫った2号車muta Racing GR86 GT。450km富士戦で“スプラッシュ&ゴー”作戦がバッチリハマった理由
スーパーGT第2戦富士でGT300クラスの2位となった2号車muta Racing GR86 GT。ドライバーたちは優勝は逃したことに悔しさはあるものの、戦略はタイヤマネジメントはうまくいっていたと総括した。
戎井健一郎
公開日時: 2023/05/06 4:09
Copy link
Viberでシェア
Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

今季初の450kmレースとして開催されたスーパーGT第2戦富士。戦略の幅も広がるこのレースで特に目立ったパフォーマンスを見せたのが、GT300クラスで2位に入った2号車muta Racing GR86 GTだった。
GT300クラスの5番グリッドからスタートした2号車は、スタートドライバーの堤優威がわずか1周でピットに。短時間の燃料補給だけを行なう“スプラッシュ&ゴー”でコースに戻った。これは昨年から開催されている450kmレースにおいて、一部のGT300チームが採用している戦略のひとつで、今回3位に入った52号車埼玉トヨペットGB GR Supra GTも同様の戦略を採っていた。
富士スピードウェイを100周するこの450kmレースでは、レース中に2回の再給油が義務付けられている。言い換えると、最低でも2回はピットに入って給油をする必要があるのだが、タイヤ交換は任意、ドライバー交代もひとりの最大運転可能距離を超えない範囲であれば、必ずしもする必要はないのだ。
本来であれば、燃費やタイヤライフのことを考えると、2回のピットインのタイミングを均等割りし、3つのスティントをそれぞれ30周〜40周とするのが定石のように感じられる。しかし2号車はレース開始直後に早々に1回目の給油義務を消化し、50周近いロングスティントをこなした後に2度目のピットイン。そこで長めの給油とタイヤ交換、ドライバー交代を行なってレース後半を戦う……つまり事実上2スティントで戦うという変則的な戦略で優勝に近付いた。
確かに、GT500よりは燃費やタイヤライフへの懸念が少ないGT300では、2号車のような作戦を実行することも可能。では、なぜ2号車はこの戦略に優位性を見出したのか? 堤は次のように説明する。
「JAF-GT(GT300規定車両)はストレートでGT3勢に劣るので、彼らが前にいると自分たちのポテンシャルをフルに発揮できないというネガティブな部分がありました。だからこそ、1周目にピットに入って燃料を入れれば、クリーンエアで走ることで自分たちの最大限の走りができると考えました」
つまり、正攻法でレースを戦った場合、たとえ自分たちのレースペースが良くても、前にストレートの速いGT3車両がいればそこに引っかかってしまい、タイムをロスしてしまうと考えたのだ。
実際、1周目でピットインしてGT300の集団から少し離れたところでコースに復帰した2号車は、当初トップと50秒近いギャップがあったが、そこから離されることなく、30周を終えた時点では45秒まで差を縮めていた。
その後46周でピットインして平良響にドライバー交代した2号車は、67周目にレースリーダーの56号車リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rが2度目のピットインを終えた際、56号車の前に立ち、事実上のトップとなった。ただ、様々な戦略のチームが入り乱れるGT300において、2号車にとっても誤算な出来事が。まだ2度目のピットインを終えていない96号車K-tunes RC F GT3の高木真一に引っかかる形となってしまったのだ。
96号車K-tunesを抜きあぐねる平良
Photo by: Masahide Kamio
「あれがデカすぎましたね」と平良は振り返る。
「僕の気持ちとしては『すみません、譲ってほしいです……』という感じでしたが(笑)、もちろん高木真一選手も同一周回でしたし、向こうもレースをしていたので。あれで一気に追い付かれてしまいました」
76周目になんとか高木を攻略した平良だが、56号車リアライズの名取鉄平に追い付かれる格好となり、87周目にGT500車両に進路を譲った際に名取が急接近。1コーナーのブレーキングでオーバーテイクを許し、2号車は首位陥落となった。
56号車リアライズに逆転を許す
Photo by: Masahide Kamio
その後、50周近く走ったタイヤながらも56号車の名取に食らいついていった平良。「タイヤは最後こっちの方が優勢でした」と語るように、最終ラップの最終コーナーでは名取のインをうかがって見せたが、最後は0.579秒届かず2位に終わった。
「悔しいレースになりました。抜けるチャンスがあった中で抜ききれずだったので、僕の責任と言いますか、もうひと頑張りしないとなというところです」と平良は悔しがる。一方堤は「作戦はうまくいったし、タイヤも最大限マネジメントできました。非常に悔しいですが、チームも含めてミスなく全力を出しきれたと思います」と振り返った。
なお、今季は全8戦中5戦が450kmレースとなっており、具体的には今後の第3戦鈴鹿、第4戦富士、第5戦鈴鹿、第7戦オートポリスも450kmとなる。ただ富士以外のサーキットはタイヤへの攻撃性が高いため、今回のようなロングスティント戦略は有効ではないかもしれない。堤も「鈴鹿はデータを見る限り、(毎回のピットストップで)4輪交換した方が速いと思うので、予選で上位に行けるように頑張ります」と意気込んだ。
関連ニュース:
- 悔しくてしょうがない……24号車リアライズの平手、3番手走行中にGT300と不運な接触。しかしタイヤの進化には猛烈な手応え|スーパーGT第2戦富士
- フロントロウの31号車apr LC500h GTは序盤なぜ防戦一方に? 背景には新レギュレーションの影響も|スーパーGT第2戦富士
- 1号車IMPULのバゲット、富士での厳しいレースに語気強める「受け入れられない結果。前年王者がこんなに離されてはいけない」|スーパーGT第2戦
- ゴールデンウィーク恒例のスーパーGT第2戦富士は2日間で80,200人を動員。アフターコロナ感じさせる賑わいで観客数も回復傾向
- ARTA、2台揃って上位争うもまさかの共倒れ。3番手走行の8号車にはガス欠症状、16号車はピット作業でミス|スーパーGT第2戦富士
あなたの意見が聞きたい!
Motorsport.comで何を見たいですか?
5分間のアンケートにご協力ください。
- Motorsport.comチーム
関連ニュース :
記事をシェアもしくは保存
Copy link
Viberでシェア
前の記事 1号車IMPULのバゲット、富士での厳しいレースに語気強める「受け入れられない結果。前年王者がこんなに離されてはいけない」|スーパーGT第2戦
次の記事 ミシュラン、2023年シーズン限りでのスーパーGT・GT500クラス活動休止を発表「ミシュラングループがレースサポート体制を再考する中で決定」
More from
戎井健一郎

スーパーフォーミュラ初王座にまっしぐらの太田格之進。圧倒的強さの秘訣はLMDhでの経験?「“動くクルマ”を動かさずに速く乗れている」
スーパーフォーミュラ
スーパーフォーミュラ
第8戦:SUGO
5 日前
スーパーフォーミュラ初王座にまっしぐらの太田格之進。圧倒的強さの秘訣はLMDhでの経験?「“動くクルマ”を動かさずに速く乗れている」

現役GT500ドライバーが続々参戦表明の鈴鹿1000km。PONOSからエントリーの牧野任祐もワクワク「すごく盛り上がるレースになるのでは」
Intercontinental GT Challenge
Intercontinental GT Challenge
6 日前
現役GT500ドライバーが続々参戦表明の鈴鹿1000km。PONOSからエントリーの牧野任祐もワクワク「すごく盛り上がるレースになるのでは」

優勝争いに影響与え、波紋を呼んだセーフティカー。運用は規則通り……一方で“モヤモヤ”解消のため改善を求める声
スーパーフォーミュラ
スーパーフォーミュラ
第8戦:SUGO
7 日前
優勝争いに影響与え、波紋を呼んだセーフティカー。運用は規則通り……一方で“モヤモヤ”解消のため改善を求める声
最新ニュース

戴冠ウェーレイン、ジャガーのチーム戦術を猛批判「僕のレースとチャンピオンシップを壊そうとしていた」
フォーミュラE
FE フォーミュラE
ロンドンE-Prix レース2
1 時間前
戴冠ウェーレイン、ジャガーのチーム戦術を猛批判「僕のレースとチャンピオンシップを壊そうとしていた」

キャデラック最初の半年間、ポイントゼロでも成長は間違いない!「どんどん良くなってる」とボッタス
F1
F1 F1
オランダGP
3 時間前
キャデラック最初の半年間、ポイントゼロでも成長は間違いない!「どんどん良くなってる」とボッタス

大波乱のチャンピオン争い! 14位に終わったウェーレインが戴冠。バーナードが最年少優勝|フォーミュラE最終戦ロンドン
フォーミュラE
FE フォーミュラE
ロンドンE-Prix レース2
10 時間前
大波乱のチャンピオン争い! 14位に終わったウェーレインが戴冠。バーナードが最年少優勝|フォーミュラE最終戦ロンドン

フェルスタッペン、後半戦の”優先事項”は「週末の途中でパフォーマンスが落ちてしまう問題を解決する必要がある」
F1
F1 F1
オランダGP
14 時間前
フェルスタッペン、後半戦の”優先事項”は「週末の途中でパフォーマンスが落ちてしまう問題を解決する必要がある」
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
次の 2 つのオプションがあります。
- サブスクライバーになります。
- 広告ブロッカーを無効にします。
購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします
広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード
お知らせの管理
登録