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ミシュランのGT500活動休止で、スーパーGTのタイヤ戦争はどうなっていくのか?:英国人ジャーナリスト”ジェイミー”の日本レース探訪記

日本を拠点に活動するmotorsport.comグローバル版のニュース・エディター、ジェイミーがお届けするコラム。今回のテーマは、スーパーGTにおけるタイヤ戦争の未来について。

Jamie Klein

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編集: 2023/06/14 11:38

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Michelin tyre

 スーパーGTで衝撃的な発表が行なわれることはそれほど多くありませんが、ミシュランが今季限りでGT500クラスでのタイヤ供給を休止すると発表したことは、まさに衝撃でした。

 雨の開幕戦岡山では、ミシュランタイヤを履くNISMOとNDDP RACINGがワンツーフィニッシュを飾るなど、彼らは特にウエットコンディションで圧倒的な強さを見せていました。そんなミシュランは今季限りでGT500から離れますが、NDDP RACINGとの実質的な2台体制を敷くNISMO陣営の来季タイヤサプライヤーがどこになるのかは、残りのシーズンでもパドックの話題となることは間違いありません。

 GT500において圧倒的なシェアを誇るブリヂストンは、実績の面でもシリーズ7連覇中と、他を圧倒しています。NISMOはかつてブリヂストンタイヤを履いていたことを考えても、来年はNISMOの23号車とNDDPの3号車がブリヂストンユーザーとなっても不思議ではありません。

 しかしながら、最近はヨコハマタイヤが進化を見せており、今季は19号車WedsSport ADVAN GR Supraが第3戦鈴鹿で優勝、24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zも上位争いに加わっています。したがってヨコハマはNISMOにとっては有力な選択肢と言えます。

 客観的に見ると、GT500の15台中10台にタイヤを供給するブリヂストンより、ヨコハマタイヤを履いたNISMOを見てみたい気がします。ミシュランはここ数年、ブリヂストンにとって最大のライバルとなっていましたが、ヨコハマもNISMOのような実績あるチームと組むことで、ミシュランの立ち位置を引き継げるかもしれません。

 いずれにしても、GT500のタイヤ戦争は4メーカーから3メーカーに減ることで面白味が欠けてしまうかもしれません。ミシュランの穴を埋める新たなタイヤメーカーが現れるのを期待したいところですが、気になるのは「スーパーGTのタイヤ戦争はいつまで続くのか?」という点です。

 タイヤ戦争が全面的に許されているシリーズは世界を見渡してもスーパーGTくらいなものです。GTAの坂東正明代表はタイヤのコンペティションを続けていく意向を示していますが、いつかスーパーGTもF1やMotoGPのようにタイヤ戦争を止める日がくるかもしれません。

 タイヤの開発競争には非常にお金がかかります。スーパーGTのような選手権で競争力を維持するため、新たなコンパウンドや構造を開発するのは多くのリソースが必要になります。特に1シーズンに使用できるタイヤスペックが無制限な場合、例えレースウィークに持ち込めるタイヤセット数が限られていたとしても、かかる費用は青天井です。

 そんな中でもブリヂストン、ミシュラン、ヨコハマ、ダンロップ(住友ゴム)の4メーカーは、スーパーGTに参戦することで得られる開発のノウハウやマーケティング効果などがコストに見合うものだと判断したからこそ、参戦を続けていたのでしょう。しかしミシュランはタイヤ開発において求められるものが世界的に変化したことなどを受け、活動休止を決めました。ミシュランは唯一の海外メーカーですが、今後残りの3社が同じような結論に至る可能性がないとは言い切れません。

 近年のマーケティングにおいては、サステナビリティ(持続可能性)に関する取り組みは避けて通れません。ヨコハマはスーパーフォーミュラで再生可能原料を33%使用したタイヤをワンメイク供給しており、ミシュランやピレリ、ハンコックも同様の取り組みを行なっています。歴史の浅いタイヤブランドがレースカテゴリーに参入するならば、GT500のようなカテゴリーに参戦するよりも、ワンメイク供給で“環境に優しい”側面をアピールできるカテゴリーの方が魅力的に映るのかもしれません。

 現代のモータースポーツにおいて、複数メーカーによるタイヤ開発競争が行なわれているトップレベルのカテゴリーは数えるほどしかありません。ニュルブルクリンク耐久シリーズ(NLS)と、それをベースにした非選手権レースのニュルブルクリンク24時間レースくらいと言えるでしょう。

 今年のニュルブルクリンク24時間では、GT3車両による最高峰クラスのSP9にミシュラン、ヨコハマ、グッドイヤー、ファルケン(住友ゴム)、ピレリが参戦しました。ただNLSではシーズン中に使用できるタイヤスペックが制限されているため、コストを抑えられます。また各メーカーが他メーカーのタイヤを購入してライバルの動向を知ることの出来る仕組みもあり、過剰な競争に歯止めがかかっています。

 この仕組みがスーパーGTに導入されたとしても、ブリヂストンの勢いを急激に衰えさせることはないと思いますが、規模の小さいブランドも関心を持てる仕組みと言えますし、タイヤメーカー間の性能差を縮めるチャンスもあります。

 個人的には、スーパーGTでこれからもずっとタイヤ戦争が続くことを切に願っています。GT500のトヨタ、日産、ホンダによる三つ巴の争いに、タイヤ戦争がさらなるスパイスを加える……これはこのシリーズならではの面白さです。

 

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