”強制ピットイン”は避けられたはず! 手順の見直しを求めるトヨタ「より良い解決策を見つけなければ」
トヨタは、WEC第2戦ポルティマオで7号車がFIAのセンサートラブルで上位を争うチャンスを失ったことを受け、手続きの変更を要求した。
FIA世界耐久選手権第2戦ポルティマオ6時間レースは、トヨタの8号車が優勝したものの、僚機の7号車はトルクセンサーの故障で修復作業を強いられた。テクニカルディレクターのパスカル・バセロンは、7号車がピットストップを強いられたことは不当だと主張している。
このトルクセンサーは、FIAとACO(WECプロモーターのフランス西部自動車クラブ)が搭載を義務付けており、ドライブシャフトから伝達されるパワーを測定し、データをFIAに送るモノだ。
7号車はこのセンサーが故障したことで、ピットストップして左リヤのドライブシャフトのアッセンブリ交換を強いられることになった。約11分間の迅速な作業で交換は終わったものの、7周遅れとなった7号車に上位入賞のチャンスはなくなった。
2021年のハイパーカークラス初年度からこのセンサーが搭載されているが、今回のトラブルが最初の故障だと理解されている。
出力の監視はハイパーカークラスにおいて重要な要素ではあるものの、バセロンはピットインしなくとも必要なデータを取得できるような手段が存在していたと指摘している。
バセロンは、このデフォルトモードで走行できるかレースコントロールに問い合わせたものの、許可されなかったことを明らかにした。そのため、チームは7号車をピットに入れざるを得なかったのだという。
「チームとは何の関係もないセンサーの故障のために、クルマを強制的に止めたり、修理させたりしないよう、より良い解決策を見つけなければならない」
「走行を続けることも可能だったはずなのに、我々に修理を命じたのは、厳しい判断だと言わざるを得ない」
「パワーデリバリーをモニターする方法は他にもある。相関できるデフォルトのセンサーが存在するのだ。しかしそれは却下された」
FIAもACOもこの件についてコメントしていないが、トヨタがデフォルトモードへの移行を許可しなかったのは、故障発生までに蓄積されたデータの量に左右されたものと思われる。
5位となったプジョーの94号車も、レース後半にFIAのセンサーがひとつ不具合を起こしたものの、BoP(性能調整)で定められたトルクカーブの範囲内に収まるよう、パワーとペースを落としながらも走行を継続することが出来た。
7号車はレーススタート前から異常が起きていたのに対し、94号車に不具合が起きたのはレース後半。既に十分なデータが蓄積されており、デフォルトモードに切り替えてもトルクの監視が可能だと判断された可能性がある。
バセロンは、この問題は「非常に深刻」だと主張した。なぜなら、彼が”驚くべき”と表現した、わずか11分で左リヤのドライブシャフトを交換した素晴らしい修復作業でさえ、7号車の「レースが終わった」ことを意味するからである。
彼はこの問題に関連する技術ワーキンググループの一員であるため、現在の手順について「責任の一端を負わなければならない」と認めたが、変更を求めていくつもりだという。
「センサーが故障した場合でもマシンを走らせることができるようにするために、技術ワーキンググループでより良い準備をしなければならない」
バセロンは、6月10~11日に開催されるル・マン24時間レースに向けて、新しい手順を導入することはまだ可能であると訴えている。
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