レースレポート
WEC ポルティマオ6時間

トヨタ8号車が完勝、フェラーリ&ポルシェと表彰台分け合う。トヨタ7号車はトラブル|WEC第2戦ポルティマオ6時間

WEC第2戦ポルティマオ6時間レースは、TOYOTA GAZOO RacingのGR010ハイブリッド8号車が勝利を収めた。

#8 Toyota Gazoo Racing Toyota GR010 - Hybrid: Sébastien Buemi, Brendon Hartley, Ryo Hirakawa

 FIA世界耐久選手権(WEC)第2戦ポルティマオ6時間レースの決勝が行なわれ、TOYOTA GAZOO RacingのGR010ハイブリッド8号車(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)が優勝した。

 舞台は雲ひとつない青空が広がったアルガルヴェ・インターナショナル・サーキット。気温27度、路面温度41度というコンディションでレーススタート時刻を迎えた。

 予選ではブレンドン・ハートレーがアタックしたトヨタの8号車がポールポジション。トヨタがフロントロウを独占し、フェラーリの2台がグリッド2列目に並んだ。

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 プジョーの93号車がパワーステアリングのトラブルでピットレーンからのスタートとなる中、各車が2周のフォーメーションラップでタイヤを温め、6時間レースのスタートを切った。

 スタートではトヨタの7号車が首位に躍り出た一方、ポールシッターの8号車はフェラーリ51号車に抜かれて3番手に後退した。8号車の真後ろにはポルシェ6号車も迫った。

 ただレースペースではトヨタに分があるようで、首位7号車はみるみるリードを拡大。8号車はなかなか51号車を抜けずにいたが、51号車のわずかなミスを見逃さずにインに飛び込んだ8号車がオーバーテイク。レース開始から5分ほどで、トヨタがワンツー体制を取り戻した。

 レースペースで優るトヨタ2台はみるみる後続を引き離していく。この2台のギャップは最大で5秒ほどまで広がったが、レース開始から50分ほどのタイミングで7号車のマイク・コンウェイがトラフィックに詰まったか、8号車のセバスチャン・ブエミが一気に接近。チームからポジションをスワップするよう指示もあり、8号車が首位に立った。

 フェラーリもポルシェ6号車を交わして3-4番手になると、2台が接近。こちらは接触しかけるほどの激しいチームメイトバトルを展開し50号車が3番手に浮上した。

 最初のピットストップでは、ハイパーカーのほとんどのマシンがタイヤを交換しなかったものの、フェラーリ勢は消耗が激しいのかここでタイヤを交換した。これでポルシェ6号車の先行を許したが、ペース面で有利なのはやはりフェラーリ。タイヤの差もあり6号車をコース上で攻略した。

 そうした争いを尻目に快走を続けていたトヨタ勢のワンツー体制は盤石かと思われたが、7号車のマイク・コンウェイが無線でパワーロスを訴え緊急ピットイン。FIAにデータを送るトルクセンサーに異常があったようで、走行自体に支障はなかったもののリヤドライブシャフトのアッセンブリ交換を強いられた。わずか10分ほどの早業で作業を済ませ7号車は走行に復帰したものの、レース残り4時間半で7周遅れと、大きく後退することになってしまった。

 フェラーリも、51号車がブレーキ・バイ・ワイヤのトラブルに見舞われペースダウン。そのまま走行は続けたものの、レース折り返しを前にポルシェ6号車に3番手を奪われた。

 しばらく大きな動きはなく、各車が淡々と走行を続けていたが、レース残り2時間というところでポルシェ5号車がスローダウン。エスケープロードを通って何とかピットに帰還すると、ガス欠だったようで問題なく走行を再開した。しかし5号車はパワーステアリングにもトラブルを抱えていたようで、ガレージでの修復作業で大きくタイムロスすることになった。

 レース残り1時間40分には、最後尾から追い上げていたトヨタ7号車がピットレーンでストップ。ドライバーの小林可夢偉はECUエラーを訴え、マシンをリセット。自らのピットに戻り、走行を再開することができた。

 ここまで大きなクラッシュもなく、セーフティカー出動もないままレースが終わるかと思われたが、レース残り1時間を前にジャック・ビルヌーブがドライブしていたヴァンウォール4号車がスピン。どうやらブレーキトラブルが起きたようで、これでこのレース初めてのセーフティカー出動となった。

 残り54分ごろにレース再開。直後にトヨタ8号車を含め数台がピットに入り最後のピット作業を済ませた一方、フェラーリ勢やポルシェ6号車は1周後にピットに入った。ここでフェラーリ50号車のアントニオ・フオコはピット位置を間違えてしまうシーンも見られた。

 ブレーキ関連のトラブルを抱えながらも粘って上位を維持していたフェラーリ51号車は、右フロントのブレーキディスクが完全に壊れてしまったようでコースオフ。しかし、ペースを落としながらもその後も走行を続けた。

 最終的にトヨタの8号車は2位のフェラーリ51号車に1周差をつけて優勝。まさに無風の独走優勝となった。

 51号車のブレーキトラブルにより、ポジションを上げたポルシェ6号車がWECでの初表彰台を獲得した。給油システムに問題があったとしてレース残り10分を切ってからピットに入ったが、何とか表彰台を守った。

 キャデラック2号車は惜しくも表彰台に届かず4位。5位にはプジョー94号車が続いた。結果的にはハイパーカークラスのマシンに多くのトラブルが起きたこのレース、トップ5に異なるマシンが並ぶ結果となった。

 なお、フェラーリ51号車はトラブルが起きた後も何とか走行を続け6位。トヨタ7号車は一時最後尾まで落ちたものの、LMP2クラスの首位を上回る総合9位までリカバリーした。

 LMP2クラスは、開始30分でユナイテッド・オートスポーツの22号車と23号車がワンツー体制を築いたものの、そこにポールシッターのプレマ63号車も負けじと優勝争いに食らいついた。

 レース終盤、無線トラブルを抱えた23号車がピットストップ中の手順違反で5秒のタイム加算ペナルティを受け、ピットストップでそれを消化。これでプレマ63号車が首位に躍り出た。

 しかしセーフティカー出動で各車の差が縮まると、最後のピット作業を終えて首位に立ったのは23号車。22号車もそれに続き、結果的にユナイテッド・オートスポーツがワンツーフィニッシュ。コース上で63号車を交わしたチームWRTの41号車が3位に入っている。

 LM-GTE Amクラスは、コルベット・レーシング33号車がクラス優勝。ファイナルラップまでリシャールミル・AFコルセの83号車フェラーリとバトルを繰り広げたが、なんとか抑えきった。

 ケッセル・レーシングの57号車フェラーリは、木村武史のドライビング中にペナルティを受けた影響もあって、クラス10位でフィニッシュとなった。

 星野敏や藤井誠暢がドライブするDステーション・レーシングの777号車アストンマーチンはレース序盤からガレージに入ってしまい、リタイアとなっている。

 
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順位 # ドライバー クルマ クラス 周回数 タイム
1 8 Switzerland セバスチャン ブエミ
New Zealand ブレンドン ハートレー
Japan 平川 亮
Toyota GR010 - Hybrid HYPERCAR 222    
2 50 Italy アントニオ フォッコ
Spain Miguel Molina
Denmark Nicklas Nielsen
Ferrari 499P HYPERCAR 221 1 lap  
3 6 France Kevin Estre
Germany アンドレ ロッテラー
Belgium Laurens Vanthoor
Porsche 963 HYPERCAR 221 1 lap  
4 2 New Zealand アール バンバー
United Kingdom アレックス リン
United Kingdom Richard Westbrook
Cadillac V-Series.R HYPERCAR 220 2 laps  
5 94 France ロイック デュバル
United States グスタボ メネゼス
Switzerland ニコ ミュラー
Peugeot 9X8 HYPERCAR 220 2 laps  
6 51 Italy Alessandro Pier Guidi
United Kingdom James Calado
Italy アントニオ ジョビナッツィ
Ferrari 499P HYPERCAR 219 3 laps  
7 93 United Kingdom Paul di Resta
Denmark Mikkel Jensen
France ジャン-エリック ベルニュ
Peugeot 9X8 HYPERCAR 219 3 laps  
8 708 France ロマン デュマ
Australia Ryan Briscoe
France Olivier Pla
Glickenhaus 007 HYPERCAR 217 5 laps  
9 7 United Kingdom マイク コンウェイ
Japan 小林 可夢偉
Argentina ホセ・マリア ロペス
Toyota GR010 - Hybrid HYPERCAR 215 7 laps  

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