これがルイス・ハミルトンだ! 全盛期に劣らぬ圧倒的強さで完勝。アストンマーティン・ホンダは全滅|F1バルセロナ-カタルニアGP決勝
さすが7回王者。ルイス・ハミルトンが圧倒的な強さを発揮し、フェラーリ加入後初の勝利を手にした。
Lewis Hamilton, Ferrari
写真:: Alastair Staley / LAT Images via Getty Images
F1第7戦バルセロナ-カタルニアGPの決勝レースが行なわれ、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)が優勝。フェラーリ加入後初優勝を、まさに完勝劇で飾った。強いハミルトンが戻ってきたと言えよう。
ベルギーとの隔年開催となることが決まったため、来季の開催はないバルセロナ-カタルニアGP。3日間好天に恵まれた。決勝スタート時は気温31度、路面温度51度という真夏のようなコンディションとなった。
今回のグランプリはタイヤのデグラデーション(性能劣化)が大きいため、複数回のピットストップが必須と思われた。それを表すかのように、スタート時のタイヤ選択は大きく分かれた。
ポールポジションのジョージ・ラッセル(メルセデス)をはじめ上位勢の多くがミディアムタイヤを履いたが、2番手のハミルトンや5番グリッドのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)らはソフトタイヤで一気に浮上することを狙った。
なお母国GPのフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、ピットレーンからのスタート選んだ。
スタートではラッセルが抜群の蹴り出しを見せてホールショットを決めた。シーズン序盤には苦手としていたスタート時の加速性能という問題は、かなり改善したようだ。
ラッセルはその後好ペースで飛ばし、一気にハミルトンとの差を1秒以上に開き、オーバーテイクモードの発動を封じた。
ラッセルはハミルトンとの差を一気に3秒に開き、それをキープ。ペースコントロールにかかった。もう一台のメルセデス、アンドレア・キミ・アントネッリはハミルトンの後方2秒のところにいた。
最も早く動いたのはハミルトン。11周を走り終えた段階でピットインし、ハードタイヤに履き替えて7番手でコースに復帰した。これを見たラッセルは「これじゃあ彼は3ストップだよ」と無線で語ったが、すぐに反応。12周を走り終えた段階でピットインしてハードタイヤを履いた。フェルスタッペンもこのタイミングでピットインしている。
その後もこれに反応するように続々とピットイン。上位勢ではミディアムタイヤでスタートしたシャルル・ルクレール(フェラーリ)が、上位では一番遅い、16周終了時点で最初のピットストップを済ませた。
なおタイヤを変えたマシンと変えていないマシンのペース差は、3秒〜5秒と比較的大きく、いかにデグラデーションが大きいかという状況が見てとれた。
フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)はハード、アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)はミディアムを履いて、他のマシンよりも1回目のピットインを先送りにした。しかしペースの落ち幅は大きく、アロンソは21周、リンドブラッドは22周を走り切ったところでたまらずピットイン。1ストップではとても走りきれないのは明らかな状況であった。
ハミルトンは27周を走り切った段階で2回目のピットインを行ない、ミディアムタイヤを装着した。まだハードタイヤの新品が1セット残った状況であり、3ストップ作戦であるのは間違いないと思われた。実にアグレッシブな戦略だ。
ラッセルはこのハミルトンの作戦には乗らず、ステイアウトを選択。ハミルトンはコースに戻ると、同一周回を走るオスカー・ピアストリ(マクラーレン)を一発でズバリとオーバーテイク。前を追った。
ハミルトンがピットインした後、アントネッリはスルスルとラッセルに近付き、1秒以内の差まで近付いた。
ラッセルは真後ろに近づいたアントネッリを徹底的に抑え込む。アントネッリとしても、トラックリミット違反をこの時点で既に複数回犯しており、5秒のタイム加算ペナルティを受けるのに王手という状況であった。「無理はするな」とチームから無線が飛んだ。
35周を終えた段階で、3番手を走っていたランド・ノリス(マクラーレン)がピットイン。メルセデス勢はこのノリスを直接のライバルだと見込んでおり、36周を走り切ったところで反応して、ラッセルからピットに飛び込ませた。アントネッリはその次の周に2回目のピットイン。ただ、この時点で先にタイヤ交換を済ませたハミルトンは4秒後方にまで接近していた。ルクレールも39周を走り切ったところでピットに入った。
これで上位勢の並びはハミルトン、ラッセル、アントネッリ、ノリスの順。ハミルトンには「このタイヤであと7周走る。ここからはすごく重要だ」と無線が飛ぶ。
すると41周目、アロンソがターン9のイン側でストップ。これでバーチャル・セーフティカー(VSC)が宣言された。ハミルトンはこのVSCのタイミングを使ってピットイン。無線での指示よりは早いタイミングであったが、これを好機と見てタイヤ交換を決断し、先頭のままコースに戻った。フェラーリ加入後初優勝の、千載一遇のチャンスが巡ってきた。
ハミルトンは「皆んなよくやってくれた!」と無線で語り、「あとは俺に任せろ」と言わんばかりのペースで後続のラッセルとの差を広げにかかった。
ただハミルトンには「黄旗違反の疑いで記録」という情報が飛んだ。しかしながら結局は「違反なし」の裁定が下る。その頃にはハミルトンとラッセルの差は7秒にまで広がり、その後もどんどん広がっていった。
ラッセルの後方からはチームメイトのアントネッリがプレッシャーをかけ、「僕の方が速い!」とポジションを譲らせるよう懇願する。対するラッセルには「ペースを上げなさい」と無線でプレッシャーがかけられる。その後方からはノリスが接近。メルセデス勢としては厳しいレースになった。
アントネッリはたまらずに61周目のターン1でラッセルをオーバーテイク。遂に2番手を奪った。アントネッリに抜かれたラッセルはこれについていけず、徐々に引き離されていった。
アントネッリには「(フィニッシュまで)あと5周だよ」と無線が飛ぶが、その瞬間に突如マシントラブルが発生し、ストップしてしまうことになった。痛恨のリタイアだ。同じタイミングでルクレールにもパワーステアリングのトラブルが発生し、こちらもピットに戻ってリタイアすることになった。
VSCが解除された後もハミルトンのペースは衰えず。最終的には2位ラッセルに19.5秒の差をつけ、トップチェッカーを受けた。
ハミルトンにとってはこれがフェラーリ加入後初優勝。通算では106勝ということになった。また、今季のメルセデスの開幕からの連勝は6で止まった。
2位にはラッセル、3位にはノリスが入り、表彰台はイギリス人ドライバーが独占することになった。
4位にはフェルスタッペン、5位にはピアストリ、6位にはアイザック・ハジャー(レッドブル)というトップ6。7位と8位にはアルピーヌ勢、9位と10位にはレーシングブルズ勢が入り、それぞれダブル入賞となった。
結局リタイア8台というサバイバルレース。なおアストンマーティンのストロールはギヤボックス、アロンソはバッテリーのトラブルにより、それぞれリタイアとなった。
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