F1
レッドブルが”最強PU”であることに間違いない! FIA、ADUO計測値に自信。しかし将来には微調整の必要もある?
FIAのニコラス・トンバジスは、F1のADUOシステムは微調整が必要になるかもしれないと認めつつも、エンジンのパフォーマンスの計測値は正確だと主張する。

Ronald Vording
編集: 2026/08/15 3:47
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今シーズンのF1前半戦で、ADUO(追加開発アップグレード機会)ほど政治的な議論を巻き起こした話題はないだろう。
この制度は、新レギュレーション導入時に大きく遅れたパワーユニット(PU)メーカーを救済するために導入されたものだ。シーズン中定められた時期に各PUのパフォーマンスを計測し、後れを取っているメーカーに追加の開発を認めるというものである。
しかし実際には政治的な争点となった。
今季は開幕当初から、メルセデスが圧倒的な強さを見せた。そのため、メルセデスのPUが最強だと誰もが考えた。しかし実際には、レッドブル・フォード・パワートレインズが最強であると判定され、人々は驚いた。
これにはふたつの理由がある。
ひとつは、ADUO対象を決めるための測定は、エンジンのパワーのみに限定されているということだ。PUは、エンジンと電気モーターを兼ね備えた、いわゆるハイブリッドシステムであり、そのPU全体のパフォーマンスと、ADUOの測定結果の間の乖離が生じている。
そしてもうひとつ。それはメルセデスやフェラーリを含む複数のメーカーが、PUの全力を出し切らず、パフォーマンス向上が許されるADUOトークンを獲得するため、巧みに戦略を練ったという。その確証はないが、パドックではそんな噂が飛び交っている。
最初の計測結果に関してレッドブルは大いに不満を抱いており、その結果はまだ公表されていない。その理由も、ふたつ目の理由と直結しているとされる。
FIAのシングルシーター部門ディレクターを務めるニコラス・トンバジスは以前、FIAとしてはADUOの測定をするためにエンジンのパワーだけでなく、ターボのサイズなどより多くの項目も対象とする準備を整えていたと語っていた。しかしメーカーとチームは、このADUOをよりシンプルなモノにすることを求めたため、エンジンパワーの計測のみに留めた。
ADUOの騒動に関して、FIAは驚いているのか? そう尋ねられたトンバジスは、次のように語った。
「F1では、ほとんど全てのことが非常にデリケートな問題だ。だから11チームと5〜6社のPUメーカーが『素晴らしい! 全員賛成だ』と言うことは滅多にない」
「皆が同意している唯一の点は、8月の夏休みは良いということだと思う。そしてこれは、元々私のアイデアだったということを改めてお伝えしておく」
「しかし皆が同意しているのはそれだけだ。他のことは、全て難しい問題だ。それにこの件でさえ、皆が合意するまでに時間がかかった。フランツ・トストがまだチーム(アルファタウリ)にいた頃、彼はこの夏休みを望んでいなかったくらいだ」
トンバジスによれば、ADUOを評価する際には、ふたつの異なる側面を区別する必要があるという。それは測定の精度と、システムが当初の意図の通りに機能しているかどうかだ。
レッドブルは測定値が間違っていると主張し、事実確認をするように求めた。しかしFIAの測定値が正確であることが証明されたと、トンバジスは主張する。
「誰もが非常に競争心が強く、他チームとの相対的な序列にばかり気を取られているため、全てのことがとてもデリケートな問題になっている。だから、非常に大変な挑戦だった」
そうトンバジスは言う。
「私の見解では、我々の測定は非常に正確であることが証明されたと思う」
「とはいえ、全てがうまくいったかというと、そうではない。当然ながら不満を抱えている人もいるし、今後改善策を検討する必要があるだろう」
明らかな欠点のひとつは、他のメーカーがレッドブルを事実上追い詰めることができるという点だ。他メーカーにとっては、内燃機関の開発を行なわなければ、理論的にはレッドブルのエンジンを最強のままにしつつ、自社のPUを強化することができる。ADUOの対象となるかどうかはエンジンのパワーだけで測られるが、ADUO対象となったメーカーは、電動部分をアップデートすることもできるからだ。
しかしトンバジスは、状況がそこまで悪化するとは考えていない。
「常に出力を抑え、チャンスを得続けるというのは得策ではないと思う。最終的にトップに立つことが目的ではないのであれば、チャンスを得る意味がないからね」
とはいえ今後数年は、システムの見直しが必要であるとトンバジスも認める。
「システムは設計通りに機能していると思う。しかし、将来的には対処すべき弱点もいくつかあると考えている。またより時間のかからない、そして議論の的になりにくいシステムにするためには、今後改善していく必要がある」
論理的な提案のひとつは、エンジンだけでなくPU全体を計測対象にすべきだということだ。しかしトンバジスは、現時点で具体的なアイデアについては議論したくないと語った。
■ADUOは今季のホンダにとって福音。しかしF1全体を見ると?
今シーズン開幕時に出遅れたホンダも、当然ADUOの対象メーカーとなり、夏休み明け初戦のオランダGPで、このADUOを活かしたアップデート版のPUを投入予定である。
こういうホンダのように出遅れたメーカーを支援するのが、そもそもこのADUOの本来の目的だ。
ホンダF1のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアの折原伸太郎は、このADUOはホンダにとっては有益だったとしながらも、F1全体の利益のためには、再考すべき部分もあると考えている。
「FIAから提示された数値は妥当だと思います。公平な数字と言えるでしょう。それに、ADUOのおかげで、エンジン開発に懸命に取り組めています」
そう折原エンジニアは語った。
「ただ、現時点でADUOのシステムが正しく機能しているかどうかを判断するのは難しいです。しかし、少なくともホンダにとっては、ADUOのシステムのおかげでエンジン開発の可能性を最大限に高めることができています」
「ただ、F1におけるADUOシステムの運用については、モニタリングした上で、調整するべきかもしれません。ホンダにとってはうまく機能していますが、全てのメーカーにとってどう機能するかを、継続的に監視する必要があると思います。公平であるべきです」
「現時点では、ホンダにとっては公平に見えます。でも、引き続き見ていく必要があると思います」
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