F1
HRCを介した”プロジェクト”で、ホンダのF1活動はより健全な形になった……HRC渡辺社長「以前よりもF1を継続しやすい形を組み立てたつもり」
2026年からF1に正式に復帰することになったホンダ。これまでホンダは、F1への参戦と撤退を繰り返してきたが、HRCが参戦を担うこと、そしてアストンマーチンとの契約により、今後F1活動を継続しやすい形を構築することができたという。
田中 健一
編集: 2023/06/29 6:19
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2026年からアストンマーチンと組み、F1に本格復帰することになったホンダ。ホンダは現在、子会社であるHRC(ホンダ・レーシング)を通じて、レッドブル・パワートレインズにF1用パワーユニット(PU)を供給しているが、2021年限りで正式にはF1活動を終了させている。それから5年を経て、F1に正式に復帰することになるわけだ。
ホンダのF1活動は2015〜2021年までで4回目、2026年からは”第5期”と呼ばれることになるはずだ。つまりホンダはF1参戦と撤退を繰り返してきたわけで、ここには批判的な声も上がっている。
HRCの渡辺康治社長は、HRCに四輪モータースポーツの機能を組み込んだこと、そして今回アストンマーチンと結んだ契約内容により、F1の活動を継続していきやすい形にすることができたはずだと説明する。
「将来に向け、絶対に辞めないという約束はできません」
渡辺社長はそう語り、さらに次のように続けた。
「しかし、できるだけ継続してやりたいと思っています」
「これまで、F1は本田技術研究所内の”プロジェクト”という形を採ってきましたが、これには継続性の問題がありました。F1をやるためにプロジェクトリーダー(LPL)を定め、そこに社内の精鋭たちを集めてきました。しかし、いざF1の活動自体をやめてしまうと、F1に関わっていたスタッフが全員いなくなり、予算もなくなってしまうということになります」
「今回はHRCというレース専門会社の中でF1をやることになります。我々はHRCは、将来のモータースポーツの技術研究をやらせてもらうということを、親会社から許可されています。つまり、F1をやめたとしても、人や予算がゼロになることはないということが保証された。それが大きいと思っています」
「さらに予算のあり方についてもガラス張りになり、ホンダの経営陣にレポートされる形になりました。経営面でもしっかりと把握するという部分でも、継続性が高まったと思います」
■PUサプライヤーとしての権利を確保した、アストンマーチンとの契約
さらにチームとの関係性も見直すことで、継続性が高まったと見ている。26年からのアストンマーチンとの契約は、その点に焦点が当てられたと渡辺社長は言う。
「PUサプライヤーとしての権利と地位は、これまで非常に弱かったんです」
渡辺社長はそう明かす。
「我々は開発費や製造費という側面で、多額の出費をします。しかし、収入は無いか、ものすごく少ない状況でした。そのため、会社全体の経営が苦しくなると、F1を止めるしかないという判断がどうしても出てきてしまいます」
「これまではチーム運営には何も言えなかったり、収支のバランスが非常に悪かったです。ですが今回のアストンマーチンとの契約では、PUサプライヤーとしての権限を、従来よりも増やすことができました」
「そういう部分が改善されることで、従来とは違う方向になりました」
「親会社の判断として、参戦を継続できないということは、今後もあるかもしれません。でも、以前に比べれば、状況は相当改善できたと思っています」
HRCは、そもそも2輪のレース部門という位置付けの会社だった。そのため、2輪側ではすでに様々な収入を得る手段が構築されている。4輪部門としても、収入を得るために様々な形を検討する予定であると、渡辺社長は言う。
「2輪では、スポンサー収入もありますし、マシンを貸し出すことによる収入ももちろんあります。商品やパーツの販売も、2輪の方が長くやっています。収支という面では、まだ支出の方が多いという側面もありますが、4輪よりも確実にバランスが取れています」
「4輪もそういう方向にならなければいけません。マーケティングや商品開発を、いろんな方向でやっていかなければいけないということになっています」
■カスタマーPUの供給は、参戦開始当初は検討せず
HRCのPUを使うカスタマーチームが増えれば、その分収入も増えるのではないか? そういう見方もある。26年からの参戦開始当初からカスタマーチームへの供給を行なうということについては考えられていないようだが、アストンマーチンとの契約においては、カスタマー供給も可能になっているという。
「アストンマーチンとの契約では、カスタマー供給も可能な形になっています」
渡辺HRC社長はそう説明する。
「将来ずっと(カスタマー供給を)やらないというつもりはありませんし、必要に応じてやるかもしれません。しかし参戦開始当初は、1チームに集中してやるべきだろうと考えています」
HRCのF1プロジェクト総責任者を務める角田哲史は、複数チームにPUを供給するのは、簡単なことではないと語る。
「色々と手数があれば、複数チームに供給した方が良いんでしょう。データが多いほど、エンジニアとしては助かりますからね。でも、全く新しいモノをたくさん作るというのは、難しいことなんです」
「見えない品質というのは、実際に走らせてみないと分かりません。そうすると、その体制を運営するために、ある程度の人数の人材を抱えなければいけません。ですから、まずはアストンマーチンに集中したいと思います」
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