F1

「甘くないことは理解しているが、何としても勝ちたい」アストンマーチンと組みF1復帰のホンダ/HRC、2026年からの挑戦に向け首脳陣が意気込み

2026年シーズンからアストンマーチンにパワーユニットを供給する形でF1に参戦するホンダ。HRC(ホンダ・レーシング)の渡辺康治社長と、F1プロジェクトを統括する角田哲史エグゼクティブ・チーフエンジニアが意気込みを語った。

戎井健一郎 田中 健一

編集: 2023/06/28 9:08

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渡辺康治/HRC社長、角田哲史/HRC F1プロジェクトLPL

 今年5月、2026年シーズンよりアストンマーチンのパワーユニット(PU)サプライヤーという形でF1に復帰することを発表したホンダ。来たるシーズンに向け、HRC(ホンダ・レーシング)の渡辺康治社長と、F1プロジェクトの開発責任者(LPL)である角田哲史エグゼクティブ・チーフエンジニアによる会見が実施された。

 2021年を最後にF1活動を終了させたホンダだが、2023年現在もHRCを介してレッドブルへPUの技術支援をするという形でF1に参画している。そしてPU開発の凍結が解除され、新規則が導入される2026年から、アストンマーチンを新たなパートナーとしてホンダはF1に復帰することを宣言。同チームにPUをワークス供給するということになる。

 渡辺社長は、新たな挑戦が簡単なものではないと自覚しつつも、なんとしても勝てる体制を築き上げたいと意気込んだ。

「そんなに甘いものではないことは理解していますが、なんとしても勝ちたいと思っています。新しい電動時代のF1においても、ホンダ、HRCが世界でナンバーワンを取ることを最大の目的としてチャレンジをしていきます」

「2026年からはレギュレーションが大幅に電動化され、高性能なモーターとバッテリーの開発が必要になりますが、親会社の本田技研工業としてもこれが将来のコア技術になると捉えています。F1を通じて会社の価値、ブランドを高めていきたいです」

 角田LPLも2026年からのホンダのF1挑戦について、次のように理由を語った。

「我々ホンダがF1を是非やりたいと思ったのには、3つ骨子があると思っています」

 そう角田LPLは語った。

「ひとつめは電動化の比率が大きくなったということです。これまではエンジンが出力の80%、電動が20%だったのが、2026年以降は半々くらいになる。世の中が電動化に進んでいく上で、このあたりがチャレンジングポイントになるかなと思っています」

「高出力になるのは当然なんですが、その中で効率を上げていかなければいけません。そして非常に大きなエネルギーを扱うことになりますので、発熱をどう処理していくのか……効率が良ければ発熱は収まるんですが、その発熱を処理しないと、ずっと走っていられない。そういう部分がポイントになると思います」

「MGU-Kの駆動系には(ホンダのF1挑戦第)4期が始まった頃に非常に苦労しました。それを完全に解決するのに2年以上かかったという痛い思い出があります。モーターが大きくなると、そのイナーシャ(慣性モーメント)が大きくなる。クランクシャフトとモーターは違う動きをしているんですが、それを繋いだところに瞬間的にものすごい力がかかってトラブルが発生しました。それを2026年に向けて解決しなきゃいかんということで、大きなポイントだと捉えています。またバッテリーの低抵抗化と劣化の低減も進めていきます」

「今よりもバッテリーもMGU-Kも大きくなるので、これを効率良くしまって、車体の邪魔をせず、力を発揮するというところを実現したいです」

 また、2026年からのF1は、既報のとおり100%カーボンニュートラル燃料を使うことが義務づけられる。これも大きな挑戦になると、角田LPLは言う。

「この先本当に全部(すべての自動車)を電動化できるのかという課題があります。それに備えてエネルギーのマルチパス化をすると言う意味で、カーボンニュートラル燃料の導入は大きいと思います。今後を考えた時に、こういうモノが必要なのではないかと、ひとりのエンジニアとして感じています。こちらについてもチャレンジングな開発ポイントになると思います」

「エネルギー流量や圧縮比も変わるので、今までと同じような燃焼がすぐにできるわけではないというのも、我々のチャレンジングポイントのひとつです」

 なおF1には2021年から各チームの予算上限額が設定されている。しかし2026年からは、PUにも予算上限が課されるため、ホンダとしても開発・製造コストを大幅に引き下げねばならない。

「我々が苦手としているポイントであるコストキャップも挑戦です」と角田LPLは言う。

「車体の方では取り組みが始まっていますが、PUのコストキャップの中で我々がどうやっていくかということも、チャレンジングになると思います」

 

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