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ジェンソン・バトン、BARホンダとの”契約問題”を回顧「ウイリアムズを選んだのは間違いだった」

2009年のF1王者であるジェンソン・バトンは、2004年にBARを離れ、ウイリアムズ移籍を目指した時のことを回顧。BARに残ることが正しかったと振り返った。

Juan Pablo Montoya, Williams BMW FW26 and Jenson Button, BAR Honda 006 battle for position

写真:: Sutton Images

 一時、2004年にBARを離れてウイリアムズ入りを目指していたジェンソン・バトンは、当時BARに残ったことは正解だったと回顧している。

 2023年、マクラーレンからF1デビューを果たしたオスカー・ピアストリは、昨年まではアルピーヌのリザーブドライバーを務めていた。そして当然のごとくアルピーヌは、昨年限りでチームを離脱することとなったフェルナンド・アロンソの後任として、ピアストリをレギュラードライバーとして昇格させることを発表した。2022年の8月のことだ。

 しかしピアストリは、アルピーヌとの契約を拒否。この件については、契約の有効性を主張するアルピーヌとの間で論争となった。問題は契約認定委員会(CRB)に持ち込まれ、その裁定の結果、アルピーヌにはピアストリとの有効な契約がないことが認定されることとなり、ピアストリはマクラーレンに加入。ランド・ノリスのチームメイトを務めることになったわけだ。

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 こういう契約に関する問題は、F1ではこれが初めてではない。最近では、2004年のジェンソン・バトンとBARホンダを巡る問題が記憶に新しい。

 2004年のBARホンダは、バトンと佐藤琢磨のコンビで目覚ましい活躍を披露。ミハエル・シューマッハー擁するフェラーリには太刀打ちできなかったものの、コンストラクターズランキング2位となった。

 そんな中でバトンは、翌年からウイリアムズに移籍することを8月に表明したのだった。

 バトンは2003年にBARに加入し、ジャック・ビルヌーブとコンビを組んだ。契約が決まった2002年末、BARのチーム代表を務めていたデビッド・リチャーズはバトンとの契約期間について「2年のオプション付きの2年契約だ。しかし、最終的には4年契約になると考えているよ」と語っていた。

 つまりオプションを行使しなければ、2004年限りでバトンとBARの契約は切れることになる。そしてチームがそのオプションを行使するかどうかの期限は、7月31日に設定されていた。

 ただこのオプション契約を行使する条件の中には、正式なエンジン供給契約を結ぶことが含まれていた。当時BARが使っていたエンジンは当然ホンダだ。ホンダはこの年の11月にチームの株式の45%を購入する予定だったが、バトンのマネジメント側はBARとホンダの間で交わされた合意に満足しておらず、オプションを行使する条件を満たしていないと考えたのだ。そのため、8月になるのを待って、ウイリアムズが「バトン獲得」を大々的に発表したのだった。

 前述のとおり、2004年のBARホンダはコンストラクターズランキング2位。ウイリアムズはかつてのチャンピオンチームであるものの、同年のランキングは4位だった。

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 同年限りでウイリアムズを離れ、2005年からマクラーレンに加入することになるファン-パブロ・モントーヤも、このバトンの移籍に驚いたひとりだ。

「クレイジーだと思うけど、それは彼が選ぶことだ」

 そうモントーヤは語った。

「ウイリアムズは、そのうち好転するだろうけど、今年は完全に的外れだ。おそらく、BARには彼が好まない何かがあるんだろうね。チーム全体が、彼中心に作られているし、BARの結果は改善していた。ドイツでは、10グリッド降格ペナルティを受けたにもかかわらず2位になった。そんな状況で、どうやったら『他のチームに移籍しようぜ』なんて思うか……僕には理解できない」

 この問題はBARとバトンの間で対立を引き起こした。BARはバトンを手放すつもりはなく、契約上の権利を主張した。リチャーズ代表は、バトンを手放してその補償を得るよりも、たとえ法的措置を取らざるを得なくなったとしても、最初に結ばれた合意が最後まで尊重されるべきだと主張していた。

 リチャーズがそう各種メディアに語る中、バトンはチーム内での雰囲気、そしてリチャーズ代表との関係について、当時、次のように語っていた。

「雰囲気は大丈夫だ。問題ないよ。僕らはみんな、自分たちの仕事をしている」とバトンは言う。

「マスコミでは、あまりにも多くのことが報じられている。これ以上言っても意味がないと思うよ。デビッドはすでに多くのことを発信した。僕の意見では、それは必要なことじゃなかったと思う」

CRBの判決後、報道陣の前に立つデビッド・リチャーズとジェンソン・バトン

CRBの判決後、報道陣の前に立つデビッド・リチャーズとジェンソン・バトン

 この問題が契約認定委員会に持ち込まれるのは、避けられないことだった。10月にはイタリアのミラノで公聴会が行なわれ、その後で3日間にわたる審議が行なわれた。その結果、契約認定委員会は、BARの契約が有効であると判断。バトンが2005年にウイリアムズに加入するという権利は認められないと結論づけた。

 ただ翌年もこの問題は尾を引いた。2005年シーズン前半、BARホンダは前年のようなパフォーマンスを発揮することができなかったのだ。バトンも、チームメイトの佐藤も、第9戦を終えた時点で無得点。カナダGPではポールポジションを手にしていたものの、2004年の成績とは比べるべくもなかった。

 そのためバトンは、ウイリアムズと2006年からの契約を締結。当時バトンとBARの間には、オプション契約を行使するためにパフォーマンス条項が含まれており、この成績の体たらくでは、その条件を満たしていないと判断したのだ。

 ただ、ウイリアムズはBMWとの契約をこの年限りで解消。翌年以降の自動車メーカーとのワークス契約を失うことになったのだ。一方のBARは、ホンダとの関係がより強固になり、ホンダはチームの全株式を取得すべく準備していた。

 結局バトンはBARに残ることを選んだが、ウイリアムズとの契約は締結されていたため、この違約金をバトン自身が支払うことになった。その金額は3000万ユーロ(現在のレートで44億円!)だったと言われる。

 ただバトンのこの方向修正は正しかった。2005年シーズン後半からBARホンダは復調し、バトンは2度の表彰台を獲得。第10戦フランスGPから最終戦中国GPまで、実に10戦連続で入賞を果たした。チームが”ホンダF1”として生まれ変わった翌2006年には、ハンガリーGPで優勝。これがバトンにとってF1での初優勝ということになった。

 2007年と2008年には、ホンダが投入したマシンが革新的すぎたという面もあり、好成績には繋がらず。しかもホンダは2008年限りで急遽F1から撤退することになった。

 ただその翌年、ホンダのマシンやファクトリー、スタッフを引き継ぐ形で誕生したブラウンGPは圧倒的な速さを誇り、バトンに悲願のF1タイトルをもたらした。その後チームはメルセデスに引き継がれ、現在に至っている。

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 一方のウイリアムズは、2005年シーズン以降に勝利したのは1回のみ。つまり、バトンとしてはBARに残ったのは正しい選択だったと言えるだろう。

 ピアストリの一件について尋ねられたバトンは、ウイリアムズと契約を結んだのは間違いだったと認める。

「僕も以前、同じような状況に陥ったことがある。あるチームを離れて、別のチームに加入したかったのだ。そのチームに移籍することが、僕のキャリアにとって正しいことだと思っていたんだ。そういう間違いを犯したことがあるよ」

 そうバトンは語る。

「その間違いを犯した時、僕のF1キャリアはまだ始まってから数年しか経っていなかった。契約認定員会は僕の移籍を妨げ、BARに残った。でもそのチームはホンダになり、ブラウンGPになった。だから、その判断は正しかったんだ」

 
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