F1 オーストリアGP

またもスパで痛ましい死亡事故。ストロール、対策を要求「何かを変えなければ、”火遊び”を続けることになる」

ランス・ストロールは、スパ・フランコルシャンで起きた死亡事故を受けて、F1ベルギーGPの前に対策が施されなければ、”火遊び”をすることになると語った。

Lance Stroll, Aston Martin F1 Team

 7月1日、ベルギーのスパ・フランコルシャンで開催されたフォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパ by アルピーヌ(FRECA)のレース2で、18歳のオランダ人ドライバー、ディラーノ・ファン・ト・ホフが亡くなる痛ましい事故が発生した。

 これを受けてランス・ストロール(アストンマーチン)は、7月28~30日に同じくスパで行なわれるF1ベルギーGPまでに何らかの変更が必要だと訴えている。

 ラディオンで発生したファン・ト・ホフの命を奪った事故は、ウエットコンディションの中で起きた多重クラッシュであり、2019年にF2ドライバーのアントワーヌ・ユベールの命を奪った事故と似た性質のものだった。

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亡くなったディラーノ・ファン・ト・ホフ

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 ふたりの若手ドライバーが命を落としていることから、ストロールはサーキットの同区間をより安全にするための変更を求めている。

 オーストリアGPのF1スプリントを4位で終えたストロールだが、「今日のストーリーはレースではない」と語った。

「今日はスパでひとりの若手ドライバーを失った。僕の想いは彼と彼の家族にある」

「あのコーナーは見直され、変更される必要がある。5年でふたりの若い才能を失ったのだから……」

「あのコーナーだけは変える必要がある。僕たちは数週間後にはそこに行く予定だ」

「今日は恐ろしいことが起こった。僕たちはレースファミリーの一員を失ってしまった。あのコーナーを通過するのは決して楽しいことではない」

「あそこを通るたびに、僕たちは命をかけている。今日は良くないことが起きてしまった」

 GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)のミーティングでこの問題が取り上げられたのか尋ねると、ストロールはmotorsport.comに次のように答えた。

「話し合ったよ。でも、それを変える必要があるという結論に落ち着いた」

「何かを変更しなければならない。数週間後には”火遊び”をすることになる。再びね。僕たちだけでなく、F2やF3のキッズたち、毎周あのコーナーを通るすべての人たちがそうなるんだ」

「たとえドライだったとしても、誰かがクルマのコントロールを失い、壁にぶつかってコースの真ん中に戻ってくる。ブラインドコーナーで時速300km以上でクルマが迫ってきたら、もうおしまいだ」

Pierre Gasly, AlphaTauri, lays flowers in memory of Anthoine Hubert

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Photo by: Jean Petin / Motorsport Images

 ユベールの親友で、以前からスパでの安全対策の改善を訴えていたピエール・ガスリー(アルピーヌ)は、ストロールの意見に共感した。

「僕たちは皆、ショックを受けているし、非常に悲しい」

「数年前のアントワーヌの件など、悲しい出来事を思い出させるモノだ。間違っているように思う。若い才能を失うようなことはあってはならないんだ」

「だから、何が起こったのかを正確に検証し、今後このようなシナリオが決して起こらないようにする必要があるのは明らかだ。このような形で才能を失うことはもうたくさんだと思うし、非常に悲しいことであることは明らかだからだ」

「決してあってはならないことだが、これが初めてではないから、安全性能やドライバーの安全確保に携わるすべての人たちが、何らかの行動を起こしてくれることを願っている」

「数年前の段階で、すでにこういう状況に陥らないようにしておくべきだったし、間違いなく見直しが必要だ」

 フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)は、ファン・ト・ホフの事故についてはウエットコンディションでの視界の悪さが重要な要素だったと強調。こうした状況では、スパに限らず他の高速サーキットも危険になると指摘した。

 ユベールの事故は、ラディオンでコントロールを失ったマシンを避けようとした結果、発生した接触によりコントロールを失ったユベールのマシンが、コース右側のランオフエリアにあるバリアに衝突。跳ね返ったマシンの側面に、後続車両が突っ込んでしまった形だった。

 ファン・ト・ホフのクラッシュはそれよりももう少し先の地点で起こっており、水煙による視界の悪化がなければ、後続車両が追突を回避できた可能性もある。

「コースのせいなのか、スピードのせいなのか、視界のせいなのか、本当のところはわからない」と、アロンソは話す。

「一番大きいのは視界だと思う。赤旗やディレイが続いたり、家にいるファンがイライラしているのを見ると、ウエットコンディションで走れないというわけにはいかない。そしてこういうことになるんだ」

「これが今のシングルシーターであり、視界が悪すぎてサーキットによって適したスピードで走れなくなるんだ」

「スパ自体の問題かどうかはわからない。例えばモンツァなら、ストレートの真ん中にクルマがいても見えない。それは単純に視界が悪いせいだ」

「今日のようなことは二度と許されない。今日が最後でなければならない」

 アロンソは、安全のために伝統的なオールージュ/ラディオンのレイアウトを失う覚悟はあるかと尋ねられ「ああ、もちろんだ」と明言した。

「誰も問題のある事故や危険な事故は見たくない」

「僕が言ったように、ストリートコースだと……例えばバクーでクラッシュしたら常にコース上にいることになる。コースに戻されても、時速120kmなら視界はOKだ。でも時速300kmだと何も見えない」

 
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