ラッセルの予選Q3最終アタックのラップタイムは、なぜ抹消されなかったのか? ウルフ代表「彼は100メートルもアクセルを緩めた」
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)のクラッシュによって黄旗が振られている中、メルセデスのジョージ・ラッセルが最速タイムをマークした。なぜラッセルのアタックは認められたのだろうか?
メルセデスのジョージ・ラッセルは、F1オーストリアGPの予選Q3で、レッドブルのマックス・フェルスタッペンのクラッシュによって黄旗が振られている区間を通過しながら最速タイムを更新。ポールポジションを獲得した。
ラッセルのアタックは一時”記録”と表示されたが、最終的にFIAのレーススチュワードは「調査の必要なし」と判断した。なぜラッセルのタイムは認められたのだろうか?
レッドブルのフェルスタッペンは、予選Q3でメルセデス勢とポールポジションを争、最後のアタックに挑んだ。セクター2では最速タイムをマークし、ポールポジション獲得の可能性が高まったように見えた。しかしセクター3のターン9でスピンし、クラッシュしてしまった。
これで当該区間には黄旗が振られ、フェルスタッペンの後方でアタックしていたメルセデスのふたりのタイム更新の可能性は潰えたように見えた。この時点ではフェラーリのシャルル・ルクレールがトップタイムをマークしており、そのままポールポジションを獲得するものと思われた。
フェルスタッペンのすぐ後ろでアタックしていたアンドレア・キミ・アントネッリは最終アタックを諦めて大きく減速。自身のタイムを更新できずにコントロールラインを通過した。一方そのさらに後ろを走っていたラッセルは、一瞬減速し、コントロールラインを目指した。そして1分6秒113を記録してタイムシートのトップに立った。
ラッセルはアタック終了後、無線でイエローフラッグ区間で減速したと主張した。
「あのコーナーの進入でアクセルを緩めてしまった。かなりタイムを失った」
この無線は、エンジニアに宛てられたモノであったが、当然レースコントロールが聞くことも考慮したものだっただろう。
ラッセルが黄旗を違反した可能性は、レースコントロールによってただちに検知されたが、レーススチュワードは調査を行なわないことをすぐさま決定した。
レーススチュワードは、ラッセルの過去のベストタイムと最終アタックのタイムを比較。その結果、ラッセルは当該セクターでしっかり減速したと判断したようだ。しかもラッセルが通過した時点で当該の区間は、黄旗2本の振動ではなく、黄旗1本の表示だった。それもラッセルがペナルティを逃れた原因だったと言えるだろう。
F1のスポーティングレギュレーションB1.8.4条には、次のように記されている。
「黄旗が振動表示されるマーシャリングセクターを通過するドライバーは、減速し、進路変更の準備をしなければならない。競技審査委員会がこれらのドライバーがこれらの要件を遵守したと判断するためには、当該マーシャリングセクターにおいて、ドライバーは通常より早めにブレーキをかけ、かつ/または明確に減速することが求められる」
一方で黄旗2本の振動だった場合には、ラッセルのタイムは抹消されただろう。レギュレーションでは「速度を大幅に減速し、進路変更または停止の準備をしなければならない」と規定され、さらに「予選セッション中、2本の黄旗の振動表示のマーシャリングセクターを通過したドライバーのラップタイムは抹消される」と明示されているからだ。
「黄旗1本が振られ、100メートル分アクセルを緩めたから、ジョージは0.15秒ほどタイムを失った」
メルセデスのチーム代表であるトト・ウルフは、予選後にSkyのインタビューでそう語った。
「信じられないようなラップだった。データを見ればそれがわかる。それまでのラップと比べても、すごく減速している。彼はよくやったよ、本当に素晴らしい走りだった。どうやってあんなラップを走り切ったのか……本当に嬉しいよ」
ウルフ代表によれば、アントネッリは黄旗2本と勘違いしたことで、不必要に減速しすぎてしまったという。
「彼はダブルイエローだと思い込んでいたようだ」
ウルフ代表はそう語った。
ラッセルはこれで、前戦バルセロナ-カタルニアGPに続き2戦連続でポールポジションを獲得。彼は現在、チームメイトのアントネッリに50ポイント差をつけられている。これを少しでも縮めることを目指している。
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