F1 オーストリアGP

F1分析|灼熱のオーストリアGPは2ストップが主流に? FP2のロングランペースを検証

F1オーストリアGPのフリー走行2回目のロングランペースを分析。2ストップ戦略が中心になりそうだ。

田中 健一

編集: 2026/06/27 10:01

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Andrea Kimi Antonelli, Mercedes

Andrea Kimi Antonelli, Mercedes

写真:: Pauline Ballet / Formula 1 via Getty Images

 灼熱のコンディションに見舞われている今年のオーストリアGP。気温は30度、路面温度は50度という灼熱のサーキットが、マシンやドライバーを容赦なく痛めつける。

 痛めつけられると言えば、タイヤも同様だ。タイヤの温度が高過ぎれば、性能は劣化してしまう。サーマルデグラデーションと呼ばれるモノだ。

 そう考えると、レッドブルリンクを71周する日曜日の決勝レースを何回ストップで走り切れるのか、非常に興味深いところだ。

 ピレリのチーフエンジニアであるシモーネ・ベッラは、初日の走行終了後にこう語った。

「初日は、パフォーマンス走行とロングランの両方で、全てのコンパウンドに関する膨大なデータを収集できた。非常に有意義な1日だった」

 ベッラはそう語る。

「ハードタイヤ2セットを温存するチームと、1セット使ったチームに分かれた。これは日曜日のレースに向けた様々な戦略の可能性を示唆しており、現時点ではかなり幅広い選択肢が考えられる」

 ちなみにマクラーレン、メルセデス、レッドブル、フェラーリの上位4チームは、ハードタイヤを1セットも使わず初日を終えた。ただそのうちレッドブルは、FP1でソフトタイヤを2セット使うことで、ミディアムタイヤも2セット残している。

 なおトップ4チーム以外はハードタイヤを1セット使うことで、ミディアムタイヤを新品のまま2セット残した。

「高温と路面の摩耗の高さによってタイヤのデグラデーションが加速していることを考慮すると、2ストップ戦略のグランプリとなる可能性が高いだろう」

「グリップに関しては、ハードとミディアムは非常に似た挙動を示した。でも路面の状態はまだ最適とは言えず、週末に向けては改善が見込まれる」

 では実際の走行状態はどうなのだろうか?

F1オーストリアGP FP2ロングラン分析

F1オーストリアGP FP2ロングラン分析

写真: Motorsport.com Japan

 これはFP2で上位チームの各車がミディアムタイヤで履いてロングランをした時の走行データである。

 このグラフをご覧いただくと、各車のペースの推移は右肩下がりになっているのが分かろう。つまり、デグラデーションが相当に大きいということだ。この8台の平均デグラデーション値は、1周あたり0.120秒であった。つまり10周走るとラップタイムは1.2秒も遅くなるということである。

 これをそのまま計算すると、1ストップで走り切る方がざっくりではあるものの30秒ほど遅い計算となるため、おそらく2ストップ以上が主流のレースということになるだろう。

 ハードタイヤのデグラデーションの傾向も、ミディアムタイヤとあまり変わらないはずだ。アルピーヌだけが唯一、FP2でピエール・ガスリーにミディアム、フランコ・コラピントにハードを履かせてロングランを行なった。この2台のペースのペースを比較しても、両方のタイヤに大きな差はなかった。

 そういう意味でも2ストップは必須ということになるだろう。

 ちなみに上位チームのロングランペースを見ると、気になることもある。それは絶対的ペースこそ各車同等であったものの、デグラデーションが小さいマシンがいくつか確認できたということだ。

 ひとつはメルセデス勢。他と比べてデグラデーションの値が非常に小さい。上位勢の多くは、1周あたり0.2秒ほどのデグラデーション値を示していた。しかしこのメルセデス勢は、アンドレア・キミ・アントネッリが0.137秒/周、ラッセルに至っては0.029秒/周であった。この2台のおかげで、前出の平均デグラデーションの値が引き下げられたのだ。

 さらに興味深いのは、トップ4チームの中でも絶対的ペースが優れなかったアイザック・ハジャー(レッドブル)とシャルル・ルクレール(フェラーリ)の2台は、デグラデーションが小さい。

 特にハジャーは、5周目からはフェルスタッペンのペースを上回る傾向にある。

 ここから考えると、ペースをマネジメントすればデグラデーションを抑え込める可能性があるということだろう。

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