スーパーフォーミュラ 第3戦:鈴鹿

接触リタイアとなった大湯都史樹に、当事者・野尻智紀を責める気持ちはなし。ただ「このレースに懸けていました」と無念至極|スーパーフォーミュラ第3戦

スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿で、野尻智紀との接触という形でレースを終えた大湯都史樹。最終的にペナルティを受けた野尻を責めるつもりはなく、何としても結果を残したいレースを落としたことへの悔しさに尽きると語った。

戎井健一郎

公開日時: 2023/04/23 13:38

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Tomoki Nojiri, TEAM MUGEN, Toshiki Oyu, TGM Grand Prix

 スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿の予選でポールポジションを獲得し、決勝レースでも優勝争いを展開していた大湯都史樹(TGM Grand Prix)。しかし彼のレースは、ピットアウト直後に野尻智紀(TEAM MUGEN)との接触という形で予想外の幕切れとなった。

「なんで……! なんでこうなるんだよ!」

 大湯は悲痛な声で無線を飛ばした。

 新興チームTGM Grand Prixへの加入が開幕前テスト開始の直前に発表されるなど、慌ただしいオフシーズンを過ごした大湯。今季のスーパーフォーミュラ参戦への道のりは平坦なものではなく、今後のためにも何としても結果を残したい……その思いが、まず予選のポールポジションという形で実を結んだ。

 ポールポジションからスタートした大湯は、まずまずのレース運びを見せた。開幕ラウンドではレースペースが厳しく、上位からポジションを落とす展開となっていたが、今回の大湯はトップをキープしたままレース中盤に突入。先にピットに入ったライバルは大湯よりかなり速いペースで周回していたため、大湯がピットに入ればライバルに順位を明け渡すのは必至という状況だったが、それでも大湯は粘りの走りを見せていたため、ピットアウト後にフレッシュタイヤでプッシュすれば、優勝争いに絡めるはず……そんな中で彼は19周目終了時にピットに入った。

 タイヤ交換もミスはなく、大湯はコースへ。ポジションを争っていた坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、リアム・ローソン(TEAM MUGEN)は先に1コーナーを通過していたが、野尻の目の前で戻ることに成功した。この時の大湯のタイヤはまだ温まっていなかったが、後ろから追いすがる野尻をなんとか抑えることができれば、そこからは逆に坪井やローソンを追いかけることができるはず。そう感じた大湯は必死の防戦を見せた。

 しかし、S字カーブを抜けて逆バンクに向かう手前の左カーブで、大湯のリヤに野尻のマシンがヒットした。2台は成す術なくスポンジバリアに吸い込まれ、レースを終えることになった。そして、冒頭の無線につながる訳だ。

 この接触に関しては野尻にペナルティが下されおり、野尻自身もこの接触に関しては自分に非があったとして、大湯やそのファン、チームに謝罪の意を示している。野尻は接触の状況について、逆バンクでオーバーテイクするために手前のコーナーで出来るだけ接近したいという意図があった中で距離感を見誤ったと説明。接近していたことから、空力的に大湯のマシンに“吸い込まれた”部分もあったかもしれないが、それも含めて自分のミスだと断じた。

 ただ大湯はそういった車両の空力特性も理解しているため、野尻を責めるつもりは一切ないとコメント。ただ、何としても結果を残したいレースをこういう形で失ったことは残念で仕方がないと話した。

「アクシデントまでは、自分自身としてもチームとしても、自分たちにやれるだけのことを完璧にできていましたが、ああいう形になってしまいました。ただ、これもレースです。野尻さんを責めるつもりはありません」

「特にSF23のエアロでは、かなり接戦の状況になった時にコントロールが難しくなってしまう部分もあると思うので、それについて責めるつもりはありません。ただ、今やれるだけのことをやって、良い流れだったので、悔しさは残ります」

「そこは運がなかったとしか言いようがありませんが、自分自身もチームとしても速さをつけて、ぶっちぎりで余裕のレースができていれば、ピットアウトしても集団に埋もれることもないかもしれないので、ポジティブに気持ちを切り替えていくしかないと思います」

 さらに大湯はこう続ける。

「野尻さんは謝ってくれましたし、みんなプロフェッショナルですから、レースなので仕方ないと思います。そこで(野尻に対して)どうこう思うことはありません」

「ただ、けっこう……このレースに懸けていました。今はレースを続けていく中で、ギリギリの状況の中で色々とアピールしていく必要があるので、結果は非常に大事でした。だからこそ、今回のように勝てる時に勝っておきたかった。その思いしかなかったです」

 野尻と大湯は、スーパーGTではARTAの8号車でコンビを組むチームメイト同士。1週間半後にはシリーズ第2戦富士が控えているため、野尻は「彼ともう一度しっかりと話をして、ひとつひとつ積み重ねていきながらわだかまりなくGTを戦いたいです」と話していた。ただ大湯のコメントにもある通り、彼は野尻に対するわだかまりはないと強調する。「何で運が巡ってこないんだろうって……(笑)」と大湯はいつもの調子で気丈に明るく話した。

 

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