スーパーGT 第3戦:鈴鹿

スプラッシュ作戦の天下は今回まで? GT300の450kmレースを席巻する奇策は今後も見られるのか

スーパーGTの直近2レースでは、GT300クラスで“スプラッシュ&ゴー”を駆使するチームが上位に食い込んだ。ただ今後の450kmレースでも同じ戦略が通じるとは限らないとドライバーたちは語る。

戎井健一郎

公開日時: 2023/06/06 3:18

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT

 鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーGT第3戦鈴鹿。GT300クラスの表彰台の顔ぶれは、優勝が7号車Studie BMW M4、2位に2号車muta Racing GR86 GT、3位に52号車埼玉トヨペットGB GR Supra GTで、これらはいずれもレース序盤の数周で1回目のピットストップを実施するという変則的な作戦を採ったチームであった。

 450kmというレース距離が設定されていた今回の鈴鹿戦では、レース中2回の給油が義務付けられていた。つまり、少なくとも2回以上のピットストップが必要であり、スティントは最低でも3つに分かれる。通常であれば、各スティントを3等分……例えば90周のレースであれば各スティント30周前後とするのが定石だが、今回上位に入ったチームは、レース開始直後に短い給油だけのピットストップ、いわゆる“スプラッシュ&ゴー”を敢行し、レース中盤にドライバー交代とタイヤ交換そして2度目の給油を実施し、実質的な2スティントとする作戦を採ったのだ。

 この作戦のメリットとして挙げられるのは、1回目のピットストップを終えた時点で集団から離れた位置での走行となるため、遅い集団のペースに付き合うことなく自分たちのペースで走れるという点。反面、1スティントが長くなるため、燃料を多く積んだ重いマシンでの走行を強いられ、ペースはもちろんタイヤライフへの影響も心配される。

 GT300は車両やタイヤのパッケージも様々であるため、全ての車両がこのような戦略を採れるわけではないが、今季初の450kmレースとなった第2戦富士では2号車mutaが2位、52号車埼玉トヨペットがスプラッシュ作戦で3位に。そして今回の鈴鹿でも、7号車Studieと2号車、52号車が同様の作戦で表彰台を占めたのだ。

 特に今回の鈴鹿戦においては、7号車Studieが16番手から優勝、52号車埼玉トヨペットが20番手から3位と大幅ジャンプアップを果たした。もちろんこれは、序盤のセーフティカー出動がスプラッシュ組の追い風になったという側面もあるが、燃費やタイヤの負荷も異なる富士と鈴鹿の両方でこの戦略が通用していることを考えれば、残る3つの450kmレース(第4戦富士、第5戦鈴鹿、第7戦オートポリス)でもスプラッシュ戦略を採ったチームが優位にレースを進めるのではと推測してしまう。

 これについて優勝した7号車Studieの荒聖治は「(作戦の成功可否は)マシンの重量やサーキットの特性、気候次第ですが、有効な作戦であることは確か」とコメント。相方の柳田真孝も「ポジションを上げるという意味では有効」としたが、やはり展開次第であり一概には言えないという見解を示した。

トップ3台は団子状態に

トップ3台は団子状態に

Photo by: Masahide Kamio

 今回のレースはとりわけ“タラレバ”が多かった。レースは終盤の大クラッシュにより赤旗が出され、20周弱を残してそのまま終了。その直前、上位3台は7号車Studieを先頭に団子状態となっていたが、後ろからはオーソドックスな“スティント均等割り作戦”の56号車リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R、11号車GAINER TANAX GT-R、61号車SUBARU BRZ R&D SPORTがハイペースで迫っていた。そのペースは1周につき2〜3秒速く、レースが予定通り進んでいれば違った展開が待っていた可能性がある。実際、52号車埼玉トヨペットの川合孝汰も、レースが途中終了になっていなければ「抜かれていた想定」をしているという。

「今まではそれ(スプラッシュ戦略)が通用していましたが、この作戦は軽さがあったからこそ活きていた作戦です」と川合は言う。

「僕たちのウエイトは、(サクセスウエイトに)BoP重量も加えるとGT3車両と変わらないレベルになってきています。その中で、タイヤも今までと全然違うものを選んできています。僕らも3スティント(均等割り)の作戦も含めて、作戦の幅を考えていかなければいけないと思っています」

特に56号車リアライズは正攻法でスプラッシュ組を追い詰めていた

特に56号車リアライズは正攻法でスプラッシュ組を追い詰めていた

Photo by: Masahide Kamio

「前半戦はこの作戦をとりましたが、次からも同じ作戦で行くかと言われると……予選の順位も関係ありますしね。今回は僕のミスもあり予選で後方に下がってしまったので、やらざるを得なかったというのが正直なところです」

 また、4番グリッドスタートから優勝を狙うために「攻めの」スプラッシュ戦略を採用したという2号車mutaの平良響も、次回以降の採用は微妙なところだと話す。6月頭の路面温度30〜40℃前後でのレース開催、45kgのサクセスウエイトという条件は、こうした戦略を採る上で「まだ大丈夫」な範囲だというが、第4戦と第5戦はいずれも真夏の8月に開催される。さらにサクセスウエイトは第3戦終了時点で上限近くの90kgまで膨れ上がった。(ちなみに52号車埼玉トヨペットは84kg)

「夏で気温が上がってきて、クルマの重量が重いとタイヤへの攻撃性は上がってくると思います。スプラッシュ&ゴーだとロングスティント2回になるので、タイヤが持たないと話になりません。行けるかな? でも(勝ちに)行きたいなというところです」

 このように、ドライバーのコメントからは8月の富士戦、鈴鹿戦の戦略がこれまでとは違った展開になる可能性を漂わせている。

 

関連ニュース:

あなたの意見が聞きたい!

Motorsport.comで何を見たいですか?

5分間のアンケートにご協力ください。

- Motorsport.comチーム

関連ニュース :

記事をシェアもしくは保存

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

前の記事 実に7年ぶりの勝利。GT500で“勝てる”ポテンシャルをまざまざと見せつけたヨコハマタイヤ、会心のレースに国本雄資も「本当に楽しい週末だった」

次の記事 スーパーGT第3戦で大クラッシュの松田次生が事故後初めてSNSを更新。ICUから病棟に移りリハビリに専念へ

More from

戎井健一郎



「こんなもんでいいんだよ」ベテラン野尻智紀が、初優勝を渇望する相方・佐藤蓮に与えたかった“気付き”

スーパーGT

スーパーGT

第5戦:鈴鹿

1 日前

「こんなもんでいいんだよ」ベテラン野尻智紀が、初優勝を渇望する相方・佐藤蓮に与えたかった“気付き”



“エンジョイ中”の日本に残る? それともフォーミュラE行きか? 去就注目のオサリバン「今はFEチームの決定を待っているところ」

スーパーGT

スーパーGT

2 日前

“エンジョイ中”の日本に残る? それともフォーミュラE行きか? 去就注目のオサリバン「今はFEチームの決定を待っているところ」



表彰台独占のホンダGT500、ランキング上位に躍進。これでライバルと搭載ウエイトほぼ横並び……「同じ条件になった時の戦闘力が重要」とHRC

スーパーGT

スーパーGT

第5戦:鈴鹿

2 日前

表彰台独占のホンダGT500、ランキング上位に躍進。これでライバルと搭載ウエイトほぼ横並び……「同じ条件になった時の戦闘力が重要」とHRC

最新ニュース



好調マクラーレンで苦しむピアストリ「なぜか自分はポテンシャルを引き出せていない」

F1

F1 F1

オランダGP

14 分前

好調マクラーレンで苦しむピアストリ「なぜか自分はポテンシャルを引き出せていない」



ライバルみたいに新パーツ連発は無理! メルセデスF1、予算に余裕なし「できないもんはできん」

F1

F1 F1

オランダGP

4 時間前

ライバルみたいに新パーツ連発は無理! メルセデスF1、予算に余裕なし「できないもんはできん」



レッドブルRB22で7位入賞のローソン、2戦で更迭された昨年のマシンとの比較は難しいと語るも「今回は乗ってすぐに慣れることができた」

F1

F1 F1

オランダGP

4 時間前

レッドブルRB22で7位入賞のローソン、2戦で更迭された昨年のマシンとの比較は難しいと語るも「今回は乗ってすぐに慣れることができた」



先行き不透明な中東情勢……2026年のF1最終戦は、イモラで開催されるカタールGPに?

F1

F1 F1

カタールGP

5 時間前

先行き不透明な中東情勢……2026年のF1最終戦は、イモラで開催されるカタールGPに?

Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.

フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。

次の 2 つのオプションがあります。

購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします

広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード

お知らせの管理

登録