【F1新車】ついに出揃った2022年用ニューマシン。全10台を一挙紹介
新レギュレーションが導入される2022年のF1。その新時代1年目のシーズンを戦う10台のF1マシンが出揃った。その全てを一挙に紹介する。
アルピーヌがA522を2月21日に発表。これで2022年のF1マシンが全て出揃った。
■メルセデスW13 E Performance:王者の貫禄? オーソドックスに新規則に対応
Lewis Hamilton, Mercedes W13
Photo by: Mercedes AMG
コンストラクターズタイトル8連覇中のメルセデス。昨年はドライバーズタイトルこそ逃したが、特にシーズン後半は圧倒的な強さを見せた。
そのメルセデスが、F1の新時代となる2022年に用意したマシンは、昨年までの黒基調のカラーリングを廃し、銀色となった。
このメルセデスW13は、言って見ればオーソドックスなマシン。サイドポンツーンはアンダーカットが少なく、リヤが早めに落とし込まれる形状。ただサイドポンツーンの前端には、ショルダー部に沿うようにフィンが立てられている。
特筆すべきはフロアが実に複雑な3D形状をしており、これがどんな効果を狙っているのか、注目したいところだ。
■レッドブルRB18:能ある鷹は爪を隠す?
Red Bull Racing RB18
Photo by: Red Bull Content Pool
全チーム中最初にニューマシンを発表したレッドブル。昨年は悲願のドライバーズタイトルを”奪還”、今季こそダブルタイトル獲得を狙う。
ただレッドブルが公開したマシンは、どうも昨年F1が公開した新レギュレーション下のニューマシンのショーカーに実によく似ている。
フロントウイングは許されている最大の枚数である4枚ではなく、3枚のみ。さらにコクピット後方のインダクションポッドの形状も、ショーカーのモノと言えよう。
23日からスペインのカタルニア・サーキットで1回目のプレシーズンテストが行なわれるが、そこで登場するマシンは、発表されたモノとは大きく異なっているかもしれない……。
■フェラーリF1-75:超過激なデザイン! 名門復活なるか
Charles Leclerc, Ferrari F1-75
Photo by: Ferrari
フェラーリは実に過激なアプローチで、新レギュレーションに対応してきた。
ノーズは緩い曲線を描いて先端へ向かうが、その背面は抉り取られるような形になり、実に細く仕上げられている。そしてこのノーズは前後に分割できるようになっていて、クラッシュテストを経ずにノーズ先端のデザインを変更できる、クレバーな考え方を盛り込んできた。
サイドポンツーンは上面が窪み、そこに大きなルーバーが開けられている。さらに側面は平らだが、下部のアンダーカットは鋭く、まるでダブルフロアが復活したような格好だ。
フェラーリはこのニューマシンで久々の優勝、そしてトップチーム返り咲きを狙う。
■マクラーレンMCL36:唯一フロントにプルロッドを採用。サイドポンツーンは実にコンパクト
Lando Norris, McLaren MCL36
Photo by: McLaren
マクラーレンは、ニューマシンMCL36のフロントサスペンションにプルロッドを採用してきた唯一のチームとなった。
今季のレギュレーションではノーズが低くなるため、重心の面でメリットがあるプルロッドを採用するチームも多くあるのではないかと言われていた。しかし実際に採用してきたのは、このマクラーレン1チームのみ。この判断がどう出るのか、注目したいところだ。
サイドポンツーンはリヤエンドが低く薄く絞り込まれ、非常にコンパクトにまとまっている、さらにエンジンカウルには段差がつけられて、ここを通ってリヤウイングの方向に気流を流しているのだろう。
2月20日にはシェイクダウンも実施したようで、その時に走行したマシンは、発表したマシンとほぼ同じモノのように見える。
■アルピーヌA522:ルーバーを分割。マシンの形状以上に、新設計PUに注目
Alpine A522
Photo by: Alpine
全チーム中最後にそのマシンの姿を明らかにしたアルピーヌ。若干丸みを帯びたノーズ上面、そして複雑な3D形状のサイドポンツーンが目を引く。
そのサイドポンツーンはアンダーカットが少ないものの、リヤに向けて徐々に落とし込まれる形状。エンジンカウルには段差がつけられ、リヤウイングとディフューザーに向かう気流を分割しているようだ。そしてそれぞれにルーバーが開けられている。
なおA522に搭載されるルノーのパワーユニットは完全新設計。コンセプトから一新させたものだという。ただパフォーマンス追求に主眼を置いたため、信頼性には難がある可能性があるとも言われているが、そのあたりがどうなのかという点は気になる。
カラーリングの変更、組織変更も合わせて、浮上の第一歩となるか?
■アルファタウリAT03:角田裕毅F1での2年目の愛機。走行画像は未公開?
AlphaTauri AT03
Photo by: AlphaTauri
アルファタウリのニューマシンAT03は、低く長いノーズが特徴的で、サイドポンツーンは緩く後方に向けて傾斜し、エンジンカウルに段差がつけられている。これで気流が向かう方向をコントロールし、最適なパフォーマンスを目指していると言える。
サイドポンツーン前端の下部は絞り込まれているが、後方に向けてアンダーカットが続いているわけではない。インテークはほぼ真四角になっているのが特徴的である。
アルファタウリは、発表会の翌日である2月15日に、シェイクダウンを実施した模様。しかしその際の走行画像は一切公開されておらず、何かを隠しているのではないかとも考えられるが、果たして。
F1での2シーズン目を戦う角田裕毅の活躍にも期待したいところだ。
■アストンマーチンAMR21:巨大なルーバーが目を引くサイドポンツーン
Lance Stroll, Aston Martin AMR22
Photo by: Aston Martin Racing
アストンマーチンは2番目に2022年用マシンを発表したチームだ。サイドポンツーンは後方に向けて落とし込まれず、代わりにその下部にはきついアンダーカットが入れられ、ディフューザーに向けた気流の流路を確保している。
それ以上に目を引いたのは、サイドポンツーン上面の広範囲にわたって開けられたルーバーだった。これは排熱のためでもあるのだろうが、空力的な意味合いもあるだろう。
ただこのルーバーは、範囲こそ違うものの、その後発表されたマシンにも存在。今シーズンのトレンドのひとつとなっているようだ。
■ウイリアムズFW44:段差のないカウルが特徴的。さらなる躍進なるか
Alex Albon, Williams FW44
Photo by: Williams
数年間にわたって大低迷期を過ごしてきた、かつての名門ウイリアムズ。しかし昨シーズンは表彰台を獲得するなど、復活への足掛かり第一歩となった。そしてレギュレーション一新の2022年シーズンは、彼らにとってさらなる復活を期す絶好のタイミングと言えよう。
上面が丸く盛り上がったノーズは特徴的。さらにショルダー部分がほとんど存在せず、後端が急速に落とし込まれたサイドポンツーンも、実に過激なデザインである。また多くのマシンがエンジンカウルやサイドポンツーンに段差を設けてリヤに気流を向ける中、ウイリアムズはその全てをフロアに向けているように見える。
ただ、公表されたシェイクダウンの画像は数枚のみであり、まだまだ見えていない部分も多々あるかもしれない。テストで注目したい1台である。
■アルファロメオC42:発表会は1回目テストの後。しかしシェイクダウン完了
Valtteri Bottas, Alfa Romeo C42
Photo by: Davide Cavazza
アルファロメオは、バルセロナでのテスト後に発表会を予定しているチームである。しかしフィオラノでシェイクダウンを実施し、そのマシンの姿が明らかになった。
走行したマシンはカモフラージュするためのカラーリングが施されていたが、アストンマーチンのような前後に長いサイドポンツーンが目を引く。下部のアンダーカットも大きい。
唯一、前後共にプッシュロッドを採用しているのも面白い。さらにフロントウイングの1枚目中央部が下に向けて下がっており、ノーズとの間に隙間を設けているように見える。
新加入のバルテリ・ボッタスと、初の中国人F1ドライバー周冠宇がどんな活躍を見せるのか? カラーリングは、2月27日に発表される予定だ。
■ハースVF-22:2021年のリソースを、全て今年に注入。その効果は?
Nikita Mazepin, Haas VF-22
Photo by: Haas F1 Team
ハースは2021年用マシンに開発を施さず、2022年に全力集中してきた。その努力の結晶とも言えそうなのが、このVF-22である。
サイドポンツーンはアンダーカットが浅めながら、上面は後方まで続く形状。他とは少し違うコンセプトのようだ。
さらにボディワークの各所には、細かい工夫が施されている。リヤビューミラーは、ミラー本体の周りにカバーが設けられている形。ハロの付け根付近にはバイキングウイングが設けられ、サイドポンツーンの上のは別パーツ化されたルーバーが存在する。さらにカウル後端のシャークフィンは、その後端が浮き、やはりルーバーが存在する。
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