スーパーフォーミュラ 第1戦・第2戦:富士

持続可能なスーパーフォーミュラを目指して……横浜ゴムが今季投入した”サステナブル”タイヤとは一体何なのか?

2023年から新型車両SF23を投入したスーパーフォーミュラ。これと同時に、タイヤも横浜ゴムが開発した、サステナブル素材を活用したモノになった。このタイヤは一体どんなモノなのか? 横浜ゴムに訊いた。

田中 健一

公開日時: 2023/04/14 6:11

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Tomoki Nojiri, TEAM MUGEN

 2023年のスーパーフォーミュラが、富士スピードウェイで開幕。土曜日に開幕戦、日曜日に第2戦が行なわれるというフォーマットで開催されたが、いずれもTEAM MUGENが速さを見せた。

 今シーズンからスーパーフォーミュラには、SF23という新型車両が投入された。基本的には昨年まで使われていたSF19のエアロパッケージをアップデートした車両であり、マシン同士が接近戦を繰り広げやすいように変更がなされ、さらにモータースポーツの持続可能性を追求するため、カウルの一部に新素材が投入されている。

 本来ならば燃料もカーボンニュートラル・フューエルを導入すべく昨年1年かけて様々なテストが行なわれたが、これは結局先送り。ただそれと同時に準備が進められていたサステナブル素材(再生可能原料&リサイクル原料)を活用して作られた横浜ゴム製のタイヤは、実戦投入が叶った。

 横浜ゴムが今回投入した新タイヤは、使用する素材の33%にサステナブル素材が使われているという。

「どこに使っているかという点については、基本的には明らかにしていません。しかし、トレッド面を含めて、タイヤ全体に使っています」

 そう語るのは、横浜ゴムのMST開発部、坂入将太氏である。

「以前から使っているもので言えば、オレンジから生成された配合剤などがあります。また今回は、本来ならば捨てるはずのタイヤのゴムを砕いて再生したゴムや、構造に使う金属も再利用しています」

「そして天然ゴムの比率を上げているというのも、ひとつです」

 開幕前の公式合同テストでは複数のドライバーが、昨年までのタイヤと比較してデグラデーション(タイヤの性能劣化に伴うペースの低下)が大きいのではないかと指摘していた。しかし実際のレースでは、例えば日曜日の第2戦では、ITOCHU ENEX TEAM IMPULの平川亮は、41周レースのうち39周をタイヤ無交換で走り、しかも終盤まで自己ベストを更新するといったペースを発揮した。そこからすれば、デグラデーションが必ずしも大きくなったとは言えまい。

「デグラデーションと言うと、コンパウンド(タイヤが路面に接地する面のゴム)が大きく関わってきます。ただ今年のタイヤは、コンパウンドの特性に関する変化は、ほとんどないと思っています」

 坂入氏はそう語る。

「そんな中でもデグラデーションが大きいということを言っているドライバーもいらっしゃいます。それは、(サステナブル素材を投入したことで)構造が少し柔らかめになっているので、接地の仕方やタイヤの温まり方が変わって、結果的にデグラデーションが早く進むようになっている可能性もあるのではないかと、我々は想像しています」

 タイヤは、その形状を保持するための骨格となる構造/ケースの上に、トレッド面やサイドウォールなど様々な部分のパーツを組み合わせて作り上げる。今年のスーパーフォーミュラ用のタイヤは、その各所にサステナブル素材が使われているが、その影響が最も大きかったのが構造の部分であると、坂入氏は言う。

「昨年1年間開発テストをやりました。その中での当初の目標は、サステナブル素材の比率を上げるということだけでした。我々としても新しく使う原料なので、それによってタイヤの特性がどう変わるかというところは、正直正確に予測することができませんでした」

「今回構造が柔らかくなったのは、決してそれを狙ったわけではなく、サステナブル素材をたくさん入れた結果、そうなったということです。原料が異なりますから、まったく同じ特性にすることはできません」

「開発テストの時には、2022年のタイヤと今年のタイヤを、同時に同じコンディションで走らせて、テストドライバーのフィーリングやタイムの推移、摩耗の量を比較しました。その結果、レースをする上で同等……問題ないレベルに到達したので、今年からタイヤを切り替えることになりました」

 なお今季のマシンは、昨年と比べてオーバーステア気味……つまりフロントのグリップの方が強い傾向にあるように感じるというドライバーのフィードバックも多く聞かれた。これについて尋ねると、坂入氏は「昨年とタイヤの前後バランスは変わっていない」と説明する。

「タイヤ単体での特性を計測していますが、その中で前後のバランスが変わったというところはあまりありません。昨年のタイヤに対してコーナリングフォース(コーナリング中、遠心力に耐えるように路面を掴む横方向のグリップ力)の出方は、前後共にマイルドになっているという特徴は見られますが、それは前後のタイヤで共通した変化です」

「皆さんが仰っていることが、タイヤが原因なのか、クルマが原因なのかは今の段階では分かりません」

 サステナブルタイヤを、スーパーフォーミュラで実戦投入するのは今年が初めて。第一歩を踏み出したわけだ。前述の通り現段階ではサステナブル素材の割合は33%であるが、今後はさらにこの方向を推し進めていくという。

「SFタイヤが別のSFタイヤに生まれ変わるということではありませんが、他のタイヤに生まれ変われるようにしています。またモータースポーツ用タイヤは、弊社の三島工場で作っていますが、そこで使う電力を、再生可能エネルギー電力に置き換えました。エネルギーの面でも、サステナブル化を進めています」

「昨年テストした段階でも、コンパウンドに使えそうなアイテムがいくつか見当たりました。もっと(サステナブル素材の割合を)上げられる見込みはあるのですが、具体的にどこまでいけるという数字を、今申し上げることはできません」

「とはいえ、当社は2050年までにカーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーを実現するという目標を立てていますので、そこに向かって進んでいきます」

 

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