“モータースポーツをメジャーに”。その想いが実現させたスーパーフォーミュラ決勝の無料生中継。「“入口”として間口を広げる役割を」とABEMA
2023年はスーパーフォーミュラの決勝レースを全戦で無料生中継するABEMA。選手権を主催する日本レースプロモーションと共に、モータースポーツの間口を広げる役割を担っていきたい構えだ。
4月8日(土)に富士スピードウェイで2023年シーズンの開幕戦が開催されたスーパーフォーミュラ。それに先駆け、4月6日(木)には大きなニュースが飛び込んできた。それが、ABEMAによる決勝全9レースの無料生中継だ。
スーパーフォーミュラを主催する日本レースプロモーションは2021年秋より、『SUPER FORMULA NEXT50』プロジェクトを発足し、様々な改革を推し進めてきた。その中でファンの視聴環境についてもテコ入れがされており、BS・CS・オンデマンド放送のJ SPORTSによる予選・決勝レースの中継は従来通り継続されつつ、アプリで中継映像・オンボード・テレメトリー・無線などが楽しめるデジタルプラットフォーム『SFgo』も今年から正式導入。よりディープで充実したレース体験が可能となっている。
しかし、昨今のモータースポーツ界における大きな課題のひとつは、いかにファン層を拡大していくか。もちろんそれはJRPも痛感しており、この課題にどうアプローチしていくかを考えた結果、白羽の矢が立ったのが、“新しい未来のテレビ”というコンセプトで様々な映像コンテンツを配信するABEMAだった。
「我々が抱えている『モータースポーツをメジャースポーツにする』という課題に対して、スーパーフォーミュラを地上波含む誰もが視聴できるメディアで取り扱えていないという現状があります。そんな中で、特に若年層の取り込みを踏まえても、真っ先にABEMAさんと一緒にやりたいと考えました」
そう語るのは、JRPのマーケティング部長を務める柳澤俊介氏。JRPは昨年の最終戦で、モータースポーツ好きだという株式会社AbemaTVのスポーツエンタメ局マネージャー、兼子功氏を招待して話を持ちかけたが、これはABEMAとしても魅力あるオファーだったようだ。
「弊社としても(昨年の同時期は)サッカーワールドカップを中継すると発表させていただいたタイミングでしたが、そこで特に男性の、これまでABEMAを見ていなかったユーザーが接触してくれました。そのユーザーにどういうコンテンツを提供していけば定着してくれるのかを考えていたタイミングでちょうどお声かけいただきました。ベストなタイミングでご一緒させていただくことになりました」と兼子氏は言う。
その後は条件面での様々な整理・調整を経て、話が固まったのは3月になってから。そして、日向坂46・富田鈴花のキャスティング調整などを経て、走行初日の前日の発表と相成った。
ABEMAの兼子氏曰く、昨年からスーパーフォーミュラ番組のMCとして活動する富田の起用は、こだわったポイントのひとつだという。
「歴史あるメディアさんが放送をやっている中で、我々は新規に参入させていただく訳ですが、我々は“入口”という立場のメディアであると自覚しております」と兼子氏。
「偶然にも富田さんと同じ日向坂46の影山優佳さんがABEMAのW杯中継に関して、特別番組の出演や試合のスタジオゲストなどを通してアンバサダー的な立ち位置を担っていただきました。その成功体験にこだわっている訳ではありませんが、どうやって“きっかけ”を作っていくかという点を考えた際、キャラクターとしても富田さんがぴったりだと思い、富田さんにこだわってキャスティングをしました」
富田鈴花
Photo by: JRP
なお富田は第1戦はスタジオゲストとして中継に参加。第2戦は現地からレポートをする予定だ。ABEMAは今後もスケジュールが合う限り、スタジオや現地に足を運んでもらいたいと語る。またスーパーフォーミュラに関する情報番組についても今後ABEMAにて配信される予定があるといい、そこにも富田を起用したい構えだ。
兼子氏が言うように、ABEMAは自分たちがモータースポーツファンの間口を広げる“入口”的な立場にあることを自覚している。J SPORTSやSFgoといった有料プラットフォームではディープかつ網羅性のある視聴体験の提供が期待されるが、ABEMAではモータースポーツの魅力をしっかり伝えるという本質の部分は大切にしつつも、「目線を下げる」ことを意識した番組作りをしていくという。そういったアプローチは、開幕戦のゲストに富田を起用しつつも、実況にはモータースポーツ実況アナウンサーの木幡ケンヂ、解説にスーパーフォーミュラでの経験豊富な現役ドライバー、中山雄一を起用したことからも見て取れる。
「ABEMAでMLBやプレミアリーグを見ているけどもモータースポーツに接触してこなかった方に対して、ABEMAきっかけでモータースポーツを見ていただく上で、そもそものルールやカテゴリー自体について分かっている前提ではなく、分からない前提で放送していきたいと思っています」と兼子氏。
「その一方で、モータースポーツの面白さの本質を伝えるという軸はブレてはいけないと思います。単に賑やかせばいいとは思っていません。きちんとモータースポーツの面白さが伝わり、間口が広がるという役割を、数あるメディアさんの中で果たしていければと思います。1戦1戦、視聴者のみなさんの反応も見ながらブラッシュアップしていきたいです」
そんなABEMAとのタッグにはJRPも自信を見せている。柳澤氏も「今の日本のモータースポーツファンの数が100だとしたら、J SPORTSさんもSFgoも100の中でビジネスをしないといけない状態。当然それを200、300、1000にしないといけないのがみんなが抱えている課題ですが、まずABEMAさんとやることでその目的を果たせると思っています」と力強く語る。
どんなコンテンツであっても、新規ファンを増やすためにはその“入口”が欠かせない。ABEMAがその大きな扉を開けて、未来のスーパーフォーミュラファン、未来のモータースポーツファンを待っている。
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