登録

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

Motorsport prime

Discover premium content
登録

エディション

日本

ホンダと組んでチャンピオンを目指す……アストンマーチンF1の原点|F1・ザ・ルーツ

2026年からホンダと組むことになったアストンマーチンF1。そのルーツを辿ると、1991年のジョーダンまで遡ることができる。

Andrea de Cesaris, Jordan 191

写真:: LAT Images

 2026年からホンダをパートナーに迎えることを発表したアストンマーチン。今季開幕から表彰台争いの常連となった同チームは、オーナーのローレンス・ストロールの大資本を武器に巨額の投資を行ない、新たなファクトリーがまもなく完成。そこにホンダのワークスパワーユニット(PU)
を手にしたことで、チャンピオンに向けた大きな一歩を踏み出したように見える。

 アストンマーチンとしてのF1参戦は2021年から。今季でまだ3年目だ。しかし、チームの歴史を紐解いていくと、1991年まで遡ることができる。

 イギリスF3や国際F3000に参戦していたエディ・ジョーダン・レーシング。マーティン・ブランドルやジョニー・ハーバート、ジャン・アレジなど、後にF1ドライバーとなる新進気鋭の才能を多数起用し、成功を収めた。そのエディ・ジョーダン・レーシングを母体として1991年のF1に打って出たのが、ジョーダン・グランプリだった。

Michael Schumacher, Jordan 191 Ford

Michael Schumacher, Jordan 191 Ford

Photo by: Ercole Colombo

 真緑に塗られ、7upや富士フィルムなどのスポンサーロゴを纏い、フォードHB V8エンジンを搭載した最初の1台、ジョーダン『191』は、デビューイヤーにも関わらず高いパフォーマンスを発揮。アンドレア・デ・チェザリスとベルトラン・ガショーのコンビでポイントを着実に獲得していった。ベルギーGPでは、傷害事件を起こして逮捕されたガショーの代役として、ミハエル・シューマッハーがF1デビューを果たした。

関連ニュース:

 この年のジョーダンは結局13ポイントを獲得。ホンダV10エンジンを使ったティレルを1ポイント差で抑え、ビッグ4チーム(マクラーレン、ウイリアムズ、フェラーリ、ベネトン)に次ぐランキング5位と、1年目から上々の成績を収めることになった。

 しかし翌年は苦戦。フォードHBに代わってヤマハのV12エンジンを手にしたが、獲得ポイントは僅か1点止まりとなり、同年限りでヤマハとの契約も終了となった。

 翌年からはハートV8エンジンを使用。その1年目は振るわなかったが、1994年には参戦2年目のルーベンス・バリチェロと共に躍進し、初表彰台(パシフィックGP)と初ポールポジション(ベルギーGP)を獲得。ランキング5位に復帰した。

 1995年からはプジョーと契約し、待望のワークスエンジンを手にする。表彰台は獲得できるようにはなったがそれが精一杯で、優勝には手が届かなかった。

Heinz-Harald Frentzen, Jordan 199 Mugen Honda

Heinz-Harald Frentzen, Jordan 199 Mugen Honda

Photo by: Motorsport Images

 しかし1998年、無限ホンダV10エンジンを手にすると戦闘力が向上。同年にチームに加入したチャンピオン経験者、デイモン・ヒルの手により、ベルギーGPでチーム初優勝を手にすることになった。翌1999年にはさらに躍進し、新加入のハインツ-ハラルト・フレンツェンが2勝を挙げるなどタイトル争いに絡む活躍。最終的にチャンピオンになることはできなかったが、コンストラクターズランキング3位を獲得するに至った。

 ただこの年を境にチームは徐々に減速。2001年からはホンダエンジンを獲得したが、徐々に資金難に陥っていく。2002年には佐藤琢磨がこのジョーダンからデビューしている。

 この2002年限りでホンダエンジンを失ったジョーダンは、コスワースエンジンに変更。ジャンカルロ・フィジケラが、悪天候により荒れに荒れたブラジルGPを制するも、ランキング9位。そして2005年には、ミッドランドに買収され、ジョーダンの歴史は幕を閉じることになった。

 2005年はミッドランドがオーナーとなったが、チームの名称はジョーダンのままで、トヨタエンジンを搭載するも成績は低迷。ミシュランタイヤ勢が全車棄権し、6台のみの走行となったアメリカGPで3位表彰台を獲得するなどした。

 ここからが怒涛の展開となる。

Tiago Monteiro, Spyker Midland MF1 M16

Tiago Monteiro, Spyker Midland MF1 M16

Photo by: Motorsport Images

 2006年はミッドランド(MF1)としての参戦となったが、マシンはほぼ前年のままであり、無得点。そして翌年からは再び買収されスパイカーとなった。

Markus Winkelhock, Spyker F8 VII

Markus Winkelhock, Spyker F8 VII

Photo by: Sutton Images

 スパイカーは、オランダのスーパーカーメーカー。マイク・ガスコインやジェームス・キーといった有能な技術メンバーが揃ったが、マシンはやはり前年のモノとは大きくは変わらず、エイドリアン・スーティルが日本GPで唯一ポイントを獲得するに留まった。なお突然の豪雨に見舞われたヨーロッパGPでは、マーカス・ヴィンケルホックの手によってラップリードを記録している。また元F1ドライバーで現在は衆議院議員を務める山本左近も、この年はスパイカーから終盤7戦に出走している。

 このスパイカーも1年限り。2008年からはインドの実業家であるビジェイ・マリヤがオーナーとなり、フォースインディアとして再スタートを切った。体制発表もインドで行なわれるなど、インド色を前面に押し出す格好となった。

Giancarlo Fisichella, Force India F1 VJM02 leads behind the Safety Car

Giancarlo Fisichella, Force India F1 VJM02 leads behind the Safety Car

Photo by: Sutton Images

 参戦2年目となる2009年のベルギーGPでは、その圧倒的なまでの直線スピードを活かしてフィジケラがポールポジションを獲得。決勝でもフェラーリのキミ・ライコネンと抜きつ抜かれるの激戦を展開した。最終的には敗れはしたものの、実力で優勝を争ってみせたのだ。続くイタリアGPでも、やはり最高速を活かしてスーティルが4位入賞を果たしている。

 その翌年からは、最高速だけではなく、バランスに優れたマシンになったことで安定してポイントを獲得できるチームへと成長を遂げた。そこから5年はランキング6位と7位を行ったり来たり。そして2015年にランキング5位、2016年と2017年にはランキング4位となった。特に2017年は、セルジオ・ペレスとエステバン・オコンのコンビで、20戦中35回の入賞を記録するなど、脅威の安定性を発揮した。

 2018年も、第4戦アゼルバイジャンGPでペレスが3位表彰台を手にするなど、まずまずの滑り出しを見せた。しかしチームは裏で資金難に陥っていた。そして破産手続きを開始したことが明るみに出ると、カナダの投資家であるローレンス・ストロールらがチームを買収。夏休み期間を経て、ベルギーGPからはレーシングポイントとしての参戦をスタートさせた。

Sergio Perez, Racing Point RP20, 1st position, takes victory

Sergio Perez, Racing Point RP20, 1st position, takes victory

Photo by: Andy Hone / Motorsport Images

 2019年はランキング7位となったが、新型コロナウイルスの影響により変則的なシーズンとなった2020年に大躍進。ペレスによるサクヒールGP優勝を含む合計4回の表彰台を獲得し、ランキング4位となった。ペレスのチームメイトであるランス・ストロールも、トルコGPでポールポジションを獲得する活躍を見せた。

 ローレンス・ストロールはこの間に、イギリスの自動車メーカーであるアストンマーチンを買収。2021年からはこのレーシングポイントも、アストンマーチンF1へと名称を変更した。

Sebastian Vettel, Aston Martin AMR22

Sebastian Vettel, Aston Martin AMR22

Photo by: Erik Junius

 アストンマーチンは1959〜1960年にもF1に参戦していたことはあるが、これが復活する格好となった。そしてチームにはペレスの後任として、チャンピオン経験者であるセバスチャン・ベッテルが加入。アゼルバイジャンGPで2位を手にしている。

 そして新レギュレーションが導入された2022年、シーズン序盤は苦戦を強いられたものの、マシンにアップデートが投入されると徐々に戦闘力が向上し、結局はランキング6位のアルファロメオと同ポイントで、上位入賞回数の差によりランキング7位となった。ただ、シーズン後半だけ見れば、アストンマーチンの方が圧倒的に高いパフォーマンスを発揮していたと言えよう。

 2023年はさらなる躍進を遂げ、前年限りで引退したベッテルの後任として加入したフェルナンド・アロンソが大活躍し、序盤5戦中4戦で3位表彰台を獲得。チームメイトのストロールも、開幕直前に自転車事故に遭い、両手を骨折した状態で初戦に挑んだが、それでも入賞。コンストラクターズランキングでも2番手につけている。

 ローレンス・ストロールはチームに積極的に投資を行ない、ジョーダン創業時から使ってきた手狭なファクトリーを一新。隣接する土地に巨大なファクトリーを作り上げ、2023年から稼働を開始する予定である。また2024年には、新しい風洞も始動する予定……まさにチームは充実期を迎えようとしている。

 トップチーム入りを果たし、目指すはチャンピオン争いに加わること……今のアストンマーチンの目標はそこであろう。そのために欠けていたのはワークスのPU。しかし今回ホンダと契約を結んだことで、その不足もなくなった。しかも今やホンダは、トップクラスのパフォーマンスを誇るPUであり、さらなる躍進を遂げるための下地は整った。

■ジョーダン:1991年〜2005年
エンジン:フォード(1991年)→ヤマハ(1992年)→ハート(1993〜1994年)→プジョー(1995年〜1997年)→無限ホンダ(1998年〜2002年)→フォード(2003年〜2004年)→トヨタ(2005年)
主なドライバー:ベルトラン・ガショー、アンドレア・デ・チェザリス、ミハエル・シューマッハー、ルーベンス・バリチェロ、デイモン・ヒル、ラルフ・シューマッハー、ハインツ-ハラルト・フレンツェン、ジャンカルロ・フィジケラ、ヤルノ・トゥルーリ、ジャン・アレジ、佐藤琢磨

■ミッドランド:2006年
エンジン:トヨタ(2006年)
主なドライバー:ティアゴ・モンテイロ、クリスチャン・アルバース

■スパイカー:2007年
エンジン:フェラーリ(2007年)
主なドライバー:エイドリアン・スーティル、クリスチャン・アルバース、山本左近、マーカス・ヴィンケルホック

■フォースインディア:2008年〜2018年
エンジン:フェラーリ(2008年)→メルセデス(2009年〜2018年)
主なドライバー:エイドリアン・スーティル、ジャンカルロ・フィジケラ、ビタントニオ・リウッツィ、ポール・ディ・レスタ、ニコ・ヒュルケンベルグ、セルジオ・ペレス、エステバン・オコン

■レーシングポイント:2018年〜2020年
エンジン:メルセデス(2018年〜2020年)
主なドライバー:セルジオ・ペレス、ランス・ストロール、エステバン・オコン、ニコ・ヒュルケンベルグ

■アストンマーチン:2021年〜
エンジン:メルセデス(2021年〜)
主なドライバー:セバスチャン・ベッテル、ランス・ストロール、フェルナンド・アロンソ

 
関連ニュース:

前の記事 【生配信】ホンダ、”四輪モータースポーツ活動”に関する会見実施
次の記事 ホンダと”アストンマーチンF1”が組むのは初めてではない? 同チームの前身はジョーダン……佐藤琢磨デビューの2002年以来のコンビ復活

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

Motorsport prime

Discover premium content
登録

エディション

日本