レッドブルRB16Bの「見せたくない所」が見えた! 最速マシンの”秘密”を読み解く

F1チームは、ライバルにマシンデザインの”秘密”を見られないようにするため、多大な注意を払っている。しかし、想定外の事態が生じた場合、その秘密が露見してしまうこともある。エミリア・ロマーニャGPでは、レッドブルのマシンの詳細を観察することができた。

レッドブルRB16Bの「見せたくない所」が見えた! 最速マシンの”秘密”を読み解く

 F1エミリア・ロマーニャGPの金曜日、フリー走行2回目で、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、ドライブシャフトの破損により、メインストレート先のコース脇にマシンを停めた。

 しかし彼のマシンが停まった場所はピットレーンからかなり近いにも関わらず、ガレージにマシンを戻すのが難しいところでもあった。そのためレッドブルRB16Bはトラックに積まれ、サーキットを囲む公道を通ってレッドブルのガレージに戻されることになった。

 ただこれは、チームにとっては理想的なことではなかった。

 第一に、公道を通ってガレージに戻るため、長い時間を要することになった。これは、フェルスタッペンが同セッション中に再び走行できるようにするための時間が無くなることを意味していた。

 しかしそれ以上にレッドブルを悩ませたのは、マシンを隠すためのカバーを持ったチームのメカニックが停止した現場に赴くことができず、RB16Bはまったく隠されないまま長い時間晒され、さらにその状態でトラックによって運ばれてしまったということだ。

 この時のことについて、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコ博士は次のように冗談めかして語った。

「マシンは数多くの迂回路を通って、パドックに戻された。マラネロに持っていかれてしまうんじゃないかと思ったよ」

 当然だが、RB16Bはフェラーリのファクトリーがあるマラネロに運ばれることはなかった。しかしマシンが停まった場所には多くのカメラマンがおり、その詳細が撮影されることになってしまった。

 本稿では、その際に撮影された写真を用いて、レッドブルRB16Bの秘密を紐解いていこうと思う。

Red Bull Racing RB16B rear detail

Red Bull Racing RB16B rear detail

Photo by: Giorgio Piola

 上の写真は、釣り上げられたマシンを後方から見たもの。RB16Bのリヤエンドをじっくりと見ることができる。

 まずはブレーキダクトの内側にご注目。複数のフィンが取り付けられているのが、お分かりいただけるだろう。また下部には、フェンスが取り付けられたフィンが存在するのが、ディフューザー越しにちらりと見える。このフィンは、今季のレギュレーションに応じて、幅がはるかに狭くなっている。

 一方、ディフューザーの形状もよく分かる。ディフューザーの外周部には、ガーニーフラップのようなパーツが3枚取り付けられていて、それぞれがリベット打ちされた補強部品によって固定されている。さらに最も外側の部分の下部には、金属製小さな部品が取り付けられている。これがどんな効果を発揮しているのかという部分も実に興味深い。

Red Bull Racing RB16B floor detail

Red Bull Racing RB16B floor detail

Photo by: Giorgio Piola

 トラックに乗せられたRB16Bを、間近で撮影できるチャンスもあった。この時、今季マシンで最も重要とも言える部分を接写することができたのだ。

 レッドブルは、Z字型のフロアを使っている7チームのうちのひとつ。この部分で様々な空力効果を生み出し、マシンのリヤへ向かう気流をコントロールしている。

 フロアの前方部分には、5つのフィンが取り付けられている。さらに、Z字型の段差が存在する部分にも、大きめのフィンが存在する。これはすべて外向きに気流を送るような角度に取り付けられている。ここで生じた空気の流れを、フロアのZ字型部分によって生み出された気流と複雑に絡み合わせ、マシンの空力パフォーマンス向上に役立てているはずだ。

Red Bull Racing RB16B rear wheel detail

Red Bull Racing RB16B rear wheel detail

Photo by: Giorgio Piola

 エミリア・ロマーニャGPの決勝レースでは、赤旗中断となる時間帯があった。この時にも、貴重な写真が撮影されている。

 ホイールが外されたマシンを見ると、フロアの後端、そしてブレーキドラムカバーの形状などがよく分かる。

 まずブレーキのカバーを見てみよう。車軸に近い部分は、大きな開口部が設けられている。またドラムには、ブレーキの熱を放出するため穴が複数開けられているのがしっかり確認できる。

 これらの開口部は、ホイールの内側に直接当たるように配置されている。つまりこれによってタイヤの内部を温め、タイヤをよりうまく使うことを目指したモノであると考えられる。その結果として性能向上はもちろん、タイヤのデグラデーションを減らそうとしているのだろう。

 フロアの後端には、複数のフィンが取り付けられている。ただこのフィンはシンプルな形状ではなく、気流を誘導するために、非常に複雑な形に、立体的に曲げられている。また赤色の矢印で示された部分は、フロア自体が上方に向けて曲げられている。

 また青い矢印で指された部分は、ディフューザーの外部のガーニーのようなフィンが前方に向けて延ばされたもの。そしてディフューザーの側壁部分で生み出される効果を強化しているのだろう。

 

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この記事について

シリーズ F1
チーム レッドブル・ホンダ