フェルスタッペンの戴冠条件で混乱。レギュレーションの”エアポケット”が原因か?
マックス・フェルスタッペンが日本GPで優勝し、2年連続のワールドチャンピオンに輝いたが、ポイントシステムを巡ってファンやメディア、チーム関係者も含めて非常に混乱した状況に陥った。
レッドブルのマックス・フェルスタッペンは、F1日本GPで優勝。今季4レースを残してワールドチャンピオン連覇を決めた。ただレースを終えた本人を含め、多くの関係者はタイトル争いが次戦に持ち越されると考えており、混迷を極めた。
鈴鹿が悪天候に見舞われたことで、レースは長時間の赤旗中断。レース残り時間が少なくなり、レースの走行距離が予定の75%に満たなかったため、フェルスタッペンがシャルル・ルクレール(フェラーリ)やセルジオ・ペレス(レッドブル)に十分なポイント差を築くことができなくなったと考えていたからだ。
昨年のベルギーGPがほとんど走れないままにハーフポイントで成立となった事例を受けて、FIAはレースのフルディスタンスを走りきれなかった場合における、ポイントシステム改定を大々的に発表していた。
これは特にレーシングスピードで満足にレースが出来なかった場合にポイントを与えないようにすることを目的としたもので、レース距離に応じてポイントシステムが4段階に分かれていた。
2周完了~レース距離25%未満でレースが終了した場合は優勝者に6ポイント、25%以上~50%未満では優勝者に13ポイント、50%以上~75%未満は優勝者に19ポイントとスケーリングされており、75%以上はフルポイントとなる。
今回の日本GPの周回数は53周中の28周。つまり予定の52.8%の距離だった。そのため、優勝したフェルスタッペンが19ポイント、2位ペレスが14ポイント、ルクレールが12ポイント獲得となると、多くの人が考えたのだ。
その場合、フェルスタッペンとルクレールのポイント差は111ポイント。残り4レースで最大112ポイントの獲得が可能なため、フェルスタッペンが4戦連続ノーポイント、ルクレールが4戦連続でパーフェクト(4連勝+スプリントレース優勝+4戦でファステスト)なら、逆転の可能性があった。
しかし新しいポイントシステムに関するレギュレーションの文言(競技規則第6.5条)は、レースがフルディスタンスで行なわれなかった場合のすべてのケースをカバーしているわけではなかった。『決勝レースが中断され、再スタートができなかった場合』と限定されているのだ。つまり、レースが再開できずに終わったレースのみに適用されると解釈できる。
日本GPは、赤旗中断を含めて最大3時間とするレギュレーションによって、28周で終わったがレースは行なわれチェッカーも振られているため、FIAはこのレギュレーションの対象にはならないと判断。最終的に走行距離によってポイント付与が左右されることはなく、フェルスタッペンはフルポイントの25ポイントを獲得することになったわけだ。
FIAは後に次のように説明している。
「減点されたポイント配分に関する規則(第6.5条)は、再開できないレース中断の場合にのみ適用されるため、フルポイントが与えられ、マックス・フェルスタッペンが世界チャンピオンとなる」
昨年まで、レース距離が75%に届かずハーフポイントでレースが成立した例は6件あるが、そのいずれもチェッカーフラッグは出ず赤旗中断でレースが終了(1975年スペインGPは死傷事故の発生で打ち切り)となっている。つまり、今回の日本GPは非常にレアなケースとなったわけだ。
今回の解釈に従えば、レギュレーションにはレース距離が75%未満となった場合、かつ赤旗終了ではないケースのポイント配分に関しては記載が全く無いことになる。つまり驚くべきことに、長時間の中断の末レースが再開となった場合など、ごく短い距離のレースでフルポイントが与えられる可能性があるということだ。
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