【ギャラリー】メルセデスからBMW、アルファロメオ、そしてアウディへ。F1界の”世渡り上手”ザウバーのマシン5選

ザウバー『C12』

JJ Lehto, Sauber C12

搭載エンジン：イルモア製3.5リッターV型10気筒エンジン

ドライバー：カール・ヴェンドリンガー、J.J.レート

　まずはザウバーとして最初のF1マシン『C12』だ。イルモア製V10エンジンを搭載し、カール・ヴェンドリンガーとJ.J.レートのふたりが入賞を重ね、参戦初年度ながらもコンストラクターズランキング7位を確保した。

　ブラックのカラーリングが施されたカウルに”コンセプト・バイ・メルセデス”の文字が入れられていることからも分かる通り、メルセデスのF1参戦に先駆けてのF1プログラム立ち上げだったものの、パートナーシップは翌1994年限りで解消となっている。

　なお12が最初の番号として振られているのは、1993年までに製作していたプロトタイプマシンなどに1～11を既に使用していたからだ。

ザウバー『C14』

Heinz-Harald Frentzen, Sauber C14 Ford.

搭載エンジン：フォード・コスワース製3リッターV型8気筒エンジン

ドライバー：カール・ヴェンドリンガー、ジャン-クリストフ・ブイヨン、ハインツ・ハラルド・フレンツェン

　メルセデスに去られたザウバーは1995年からフォード・コスワースのZETEC-Rを獲得。レッドブルとのスポンサーシップ契約により、『C14』はレッドブルカラーとなった。フォードの”ブルーオーバル”が付いていることで、2026年からF1に復帰するフォードと提携を組むレッドブル・レーシングを思わせるカラーリングとなっている。何とも数奇な巡り合わせだ。

　なお、フォードとの提携も2年で終了。その後はフェラーリのカスタマーエンジンを使用している。

ザウバー『C20』

Kimi Raikkonen, Sauber Petronas C20

Photo by: James Bearne

搭載エンジン：ペトロナス（フェラーリ）製3リッターV型10気筒エンジン

ドライバー：キミ・ライコネン、ニック・ハイドフェルド

　2001年シーズンに投入されたザウバー『C20』は、2007年のキミ・ライコネンのF1デビューマシンだ。フォーミュラカーでの圧倒的経験不足によりスーパーライセンスは仮発行という状態だったものの、開幕戦オーストラリアGPでいきなり6位入賞を果たした。若きライコネンの才能を見出したペーター・ザウバーの目に狂いはなく、ライコネンは2007年にフェラーリでドライバーズチャンピオンに輝いた。

　なお、この年ライコネンとコンビを組んだニック・ハイドフェルドもオーストラリアGPで4位、ブラジルGPでは3位表彰台を獲得し、コンストラクターズランキングでも4位を獲得している。

BMWザウバー『F1.08』

Robert Kubica, BMW Sauber F1.08 celebrates his maiden victory

Photo by: Motorsport Images

搭載エンジン：BMW製2.4リッターV型8気筒エンジン

ドライバー：ロバート・クビサ、ニック・ハイドフェルド

　2006年から買収に伴いBMWワークスとなったザウバー。『F1.08』を投入した2008年シーズンには、参戦3年目のロバート・クビサがカナダGPでチーム初優勝を挙げた。チームメイトのハイドフェルドも2位に入り、ワンツーでの勝利となった。

　クビサのF1タイトルが狙える位置につけていたものの、チームはマシン開発の焦点を新レギュレーションが導入される翌2009年へ向けて早々にスイッチ。しかし2009年7月にBMWは、その年限りでF1から撤退することを発表……チーム所有権は再びペーター・ザウバーの元へ戻った。

ザウバー『C31』

Kamui Kobayashi, Sauber C31

Photo by: Sutton Images

搭載エンジン：フェラーリ製2.4リッターV型8気筒エンジン

ドライバー：小林可夢偉、セルジオ・ペレス

　2012年のF1に投入されたザウバー『C31』。設計を務めたのは現在マクラーレンでテクニカルディレクターを務めるジェームス・キーで、ドライバーには小林可夢偉とセルジオ・ペレスのふたりが起用された。

　ペレスが雨のマレーシアGPで奮闘し2位表彰台を掴んだり、小林がジェンソン・バトン（マクラーレン）を抑え込み母国日本で3位表彰台を獲得したりと、チームの歴史の中でも指折りのマシンとなった。シーズンで計4回の表彰台獲得によりコンストラクターズランキング6位となった。

　しかし翌年以降チームは低迷。2016年には現在の所有者となるスイスのロングボウ・ファイナンス（現在のイスレロ）に売却された。

　なお現在のザウバーは、2019年から前年タイトルスポンサーを務めたアルファロメオがネーミングライツを取得し、”アルファロメオF1チーム”としてF1に参戦している。ただアルファロメオとの契約は2023年末までとなっており、2024年と2025年の2シーズンをザウバーとして戦った後、F1に新パワーユニット規定が導入される2026年から、新規参戦のアウディのワークスチームとしてグリッドに並ぶこととなっている。