MotoGP初開催のポルティマオ、安全性はギリギリ? テスト経たライダーの所感
今季MotoGP初開催が予定されているポルティマオ・サーキットで、MotoGPライダー参加による事前テストが実施されたが、ライダー側からはMotoGPを安全に開催するには“ギリギリ”のラインだと語られている。
写真:: MotoGP
2020年のMotoGPは新型コロナウイルス感染拡大の影響によってカレンダーが大幅に変更。その結果、最終戦はポルトガルのポルティマオ(アルガルヴェ)で行なわれることになった。同国でグランプリが行なわれるのは2012年以来で、ポルティマオでは初開催となる。
新規開催のサーキットであることから、MotoGPは10月7〜8日にポルティマオでの事前テストを実施。6メーカーのテストライダー及び18名のレギュラーライダーが参加し、サーキットへの慣熟と情報収集を図った。
【ギャラリー】MotoGPポルティマオテスト/走行ギャラリー
なお今回のテストではコンセッション(優遇措置)の適用されているアプリリアのアレイシ・エスパルガロと各メーカーのテストライダーのみがMotoGPマシンを使用。それ以外のレギュラーライダーは市販車での走行となった。
テスト初日、エスパルガロは非公式ながらスーパーバイク世界選手権の予選タイムを上回るラップタイムを計測するなど、MotoGPマシンの速さを印象付けた。
彼はポルティマオでMotoGPマシンを走らせることについて、MotoGPはより危険な開催地も訪れているとし、安全基準にとっては容認できるものだとコメントした。
「このトラックはMotoGPにとっては境界線に位置している。ギリギリだ」と、アレイシ。
「写真や、テレビなんかではみんなアップダウンについてコメントしているけど、それ以外の部分はOKだ」
「クラッシュした場合に備えて十分な空間が確保されている。どれもギリギリだと思うけどね。ただ最終コーナーは僕としては危険だと思っている」
「最終コーナーが最も危険だ。残りの部分のアップダウンも限界に近いけど、僕たちはより危険なサーキットでもレースをしている」
「たとえばもてぎだ。あそこはポルティマオよりも多くの場所でウォールが近い。(ポルティマオは)最終コーナーを除けば十分安全だと思うよ」
KTMのブラッド・ビンダーはこうしたアレイシの最終コーナーに関するコメントに同意を示している。
「唯一思うところがあるのは、最終コーナーだね。ちょっと限界ギリギリだ」
「最終コーナーを立ち上がると、両側に壁がある。今回僕らがそこに向かったときはそうでもなかったけど、もっとパワーのあるMotoGPバイクで走ったなら、また違った話になってくるだろう」
またプラマックのジャック・ミラーも、最終コーナーが危険だろうと、アレイシの考えに同調した。
「ああ、ちょっと限界だね」と、ミラーは最終コーナーについて語った。
「でももっと悪いところだって見てきたよ。バルセロナなんかがその例だ。でもどこであろうとレベルを上げていこうとすることができれば良いね」
「ただこれについては金曜日のセーフティコミッションで話し合うことになると思う」
今回のポルティマオテストを不参加としたライダーには、ポイントリーダーのファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)が含まれている。彼はその理由をテスト直後に行なわれる予定のフランスGP〜アラゴンでの連戦というトリプルヘッダーを前に怪我のリスクを負いたくなかったのだと説明している。
また彼は初開催のポルティマオへの習熟は、グランプリ中の金曜日の走行で十分だろうと感じているとも語っていた。
しかしながら、KTMのポル・エスパルガロはそれを真っ向から否定するかのように、ポルティマオテストに参加しなければ金曜の走行をまるまる失うことになっていたと延べ、テストの意義は大きかったと語った。
「ポルティマオで走ってよかったよ」と、ポルは語る。
「とてもトリッキーなコースで、ここで実際にレースをする前にMotoGPマシンで走っておく必要がある場所だ」
「これは重要なことだ。ここでテストをしていなかったなら、金曜日の走行は全てトラックの学習に費やす事になっていただろうからね。そして全員が強力なこのカテゴリーでは、それは痛手だ」
また最終コーナー以外にも、アレイシは新たに舗装された路面の凹凸が酷いと不満を漏らしている。さらにMotoGPのひと月前にはF1が同地でレースを開催する予定となっていることから、更に状況が悪化するのではないかとも心配する様子を見せた。
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