MotoGPインドネシアGP、開催に暗雲? 国連特別報告者から人権問題に関する非難噴出
MotoGPとインドネシアは現在2022年のグランプリ開催に向けた準備を進めているが、国連の人権理事会特別報告者が、サーキット建設予定地となるロンボク島のマンダリカリゾート施設の建設において人権侵害が発生しているとする報告書を提出した。
写真:: Dorna
MotoGPは近年東南アジアでの人気が高まっており、2021年シーズンはタイとマレーシアでレースの開催が予定されている。2022年シーズンには新たにインドネシアでもグランプリが行なわれる予定で、現在その準備が進行中である。
新設されるストリートサーキットは、ホテルやゴルフコースといった施設を含む総額30億ドル(約3290億円)規模の観光プロジェクトの一部。今年11月にはスーパーバイク世界選手権のレースが開催予定で、MotoGPも年内にテストを行なう意向であるなど、着々とレース開催に向けた準備が進められている。
だがサーキット及びリゾート施設の建設が進む裏で、深刻な人権侵害が発生していると、国際連合の人権理事会特別報告者から報告書が提出されてしまっている。
報告書を提出したのは極度の貧困や人権に関する特別報告者であるオリビエ・デ・シュッター。彼の主導する共同声明では、このインドネシア政府のプロジェクトによって家屋・畑・水源及び文化宗教的史跡の破壊や、住民の追放などが行なわれていると強調されている。
報告書には、“信頼できる情報源”から得た情報によると、地域住民が脅迫を受け、保証金もなしに強制的に立ち退きを迫られたと記されている。
なおこのプロジェクトには民間からも約1096億円の出資がなされており、それらはアジアインフラ投資銀行(AIIB)によって管理されている。
報告書はこのAIIBに対しても、適切なデューデリジェンス(投資などにおける対象の価値・リスクの調査)を欠いており、人権侵害の防止に失敗し、それに加担していると厳しく非難した。
「この地域での人権侵害や土地収奪の暗い歴史の観点からも、AIIBや企業は見て見ぬ振りをして普段どおりのビジネスを続けることはできない」
「彼らが人権侵害のリスクに対処し、防がないことは、それらの侵害に加担しているに等しいことだ」
報告書にはそう記載されている。
Mandalika visits
Photo by: Dorna
またデ・シュッターは、人権を侵害する大規模観光開発は、持続可能な開発からは相容れないものだと批判。人権と法の支配を守っていくことを要求した。
「マンダリカのプロジェクトは、インドネシアの持続可能な開発目標への称賛に値するコミットや、その裏にある人権に対する義務をテストしている」
「人権を毀損する大規模な観光開発というのは、持続可能な開発という概念とは基本的に相反するものだ」
「人口全体ではなく一握りの経済主体に利益をもたらすレースサーキットや、大規模な国際観光インフラプロジェクトの時代は過ぎ去っている」
「ポスト新型コロナの経済は地元社会に裁量を与え、彼らの生活を向上させ、意思決定に参加していくことに焦点を当てるべきだ」
「我々はインドネシア政府に対し、ITDC(インドネシア国営企業省)が人権と法の支配を尊重し、AIIBや民間企業が人権侵害などに関わるプロジェクトや活動に資金を提供したり関与したりしないようにすることを確実にすることを要求する」
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