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F1仕事の流儀:ヘルメットマネージャー編「常に“答え”を持っていることが重要」

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F1仕事の流儀:ヘルメットマネージャー編「常に“答え”を持っていることが重要」
執筆:
2020/04/24 8:27

F1サーカスに関わる人間の中で、テレビに映る者はごくわずかだ。このシリーズでは、F1に関わる様々な人々に密着していく。今回はBELLヘルメットのレーシングマネージャーを務めるマイケル・オーメントに話を聞いた。

■私の仕事

 私はBELLヘルメットのレーシングマネージャーで、F1ドライバーと共に働いている。私の仕事は、担当する全てのドライバーのヘルメットを準備したり、BELLのヘルメットをF1で使用したいという新たな人材を見つけることだ。

 今年我々がF1で担当しているのは、ルイス・ハミルトン(メルセデス)、ランド・ノリス(マクラーレン)、アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)、ニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)、ロマン・グロージャン(ハース)、ケビン・マグヌッセン(ハース)、エステバン・オコン(ルノー)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、そしてセルジオ・ペレス(レーシングポイント)の10名だ。

 ドライバーひとりひとりと密接に協力して、冷却や視認性に関してできる限り最高のパッケージを提供する。またチームとも協力し、マシンの空力パッケージにも貢献できるように、小さなスポイラーやウイングをヘルメットに付けたりもする。我々はエンジニアと共に空力パーツを開発することだってできるんだ。

■レースウィークエンドのスケジュール

 基本的に水曜日の夜に家を出発し、木曜日の朝にはサーキットに着いている。様々な理由でチームの荷物と共にヘルメットを送ることができないケースがあるので、私は大抵8つのヘルメットを持ち歩いている。

 まず最初にする仕事は、レースウィークエンドに向けて全てのヘルメットを準備することだ。通常、ひとりのドライバーあたりふたつのヘルメットがある。ドライ用とウエット用だ。

 さらにドライ用ヘルメットはバイザーが2種類ある。ひとつは暗いもので、バルセロナのように太陽が低い位置に見えるサーキットでは、暗いバイザーにしないとトラックがよく見えないんだ。

 私は毎日最初のセッションの2時間前にサーキットに到着し、何か問題が発生した時に対処できるようにしている。各セッションが終わると、私は全てのヘルメットを清掃し、乾かした後、必要であればエアインテークやエアロパーツなどを交換する。たまにすごく汚れが溜まっていることもあるからだ。予選が終わればすぐに決勝に向けたヘルメットの準備を始める。

 レースに向けては、同じスペックのヘルメットがふたつ必要だ。無線やドリンクのチューブに問題があることが発覚した時に、すぐに交換するためだ。レースが終わればまた全てのヘルメットを清掃し、リフレッシュした状態にして次のレースに備える。2レース毎に、3人にひとりはヘルメットを新調している。

Il casco di Lando Norris, McLaren

Il casco di Lando Norris, McLaren

Photo by: Zak Mauger / Motorsport Images

■私の仕事で最も重要なこと

 常に“答え”を用意していることだ。ヘルメットに関して何か問題があるとドライバーから言われた時、その場で解決策を提示する必要がある。10分も15分も考えている暇はない。すぐに解決策を採る必要があるんだ。

 それが私の強みだと思っている。ドライバーかそのトレーナーが何か必要なものについて言ってきた時、私は何をするべきかすぐに頭の中に出てくる。例えば、もっと空気が通るようにしてほしいと言ってきたドライバーがいたとすれば、それを改善するためのツールがあるので対処できる。全てのドライバーのヘルメットの仕様が頭の中に入っているので、すぐに修正できるんだ。

■これなしでは仕事ができない3つのツール

 ひとつ目は私が持っている鍵だ。これにはバイザーを緩めたり絞めたりするものがついている。そして2番目に重要なのがハサミだ。時にエアインテークをテープで塞ぐ必要があるので、ハサミを持っている必要があるんだ。そして3つ目が、捨てバイザーのセットだ。ドライバーが必要な時にすぐ用意しなければいけないからだ。

Chiave di regolazione per casco Bell

Chiave di regolazione per casco Bell

Photo by: Олег Карпов

■最もよく接する人

 ドライバーとそのトレーナーだ。彼らとコミュニケーションを取ることは非常に重要で、私は彼らと直接話すようにしている。ヘルメットの問題を一番よく知っているのはドライバーだし、その問題をどう解決すればいいか一番理解しているのは私だからだ。時にはトレーナーとも協力するが、やはり一番正確なフィードバックを与えてくれるのはドライバーだ。

■サーキットにいない時

 ファクトリーで働いている。各レースの前に、全てのバイザーと捨てバイザーを準備する。一方で私は研究開発にも携わっており、エンジニアたちと協力してヘルメットをより良く改良したりしている。今はコーナリングスピードの上昇やそれに伴うGの増加もあり、ヘルメットには軽さが重要視されている。我々の最新のヘルメットはわずか1.3kgしかない。これは非常に軽い。

■もし私がいなければ……

 この仕事は誰にでもできることだと思う。ただ私はBELLとドライバーのために良い仕事ができていると思う。この仕事が好きだし、常に最大限の努力をしている。この仕事で一番気に入っているのはドライバーと協力することだ。彼らには仕事を始めた時から快適で満足した状態でいてほしい。私は常に全力を尽くしているので、ドライバーたちに私の仕事ぶりについて尋ねたら、概ねポジティブな反応が返ってくるんじゃないかな。

Antonio Giovinazzi, Alfa Romeo with Michael Aumento, Racing Manager at Bell Helmets

Antonio Giovinazzi, Alfa Romeo with Michael Aumento, Racing Manager at Bell Helmets

Photo by: Alfa Romeo

■私にとってF1とは

 最高だ。でも必ずしも楽しい訳ではない。多くの人が私のような仕事をしたいと思っているんじゃないかと考えているが、これはただの仕事ではない。

 そこには多くの責任と犠牲がある。ほとんどの時間をここで過ごすため、F1で働くということは簡単ではない。家族と会えるのは年に30〜50日くらいだ。

 とはいえ素晴らしい世界だ。私は好きだが、同時に難しい世界でもある。息子よりもF1の関係者と過ごす時間の方が長いんだからね。だからこそ家にいる時は、空いている時間は全て息子と一緒に過ごそうと思っている。ただモータースポーツやF1関係の人たちも好きだ。彼らもある意味私の家族のようなものだ。

 

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この記事について

シリーズ F1
執筆者 Oleg Karpov