まだ多くの未決定シートあり?? どうなる2021年F1ドライバーラインアップ
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、開催カレンダーが大きく変更された2020年のF1。過去事例のないこの状況に隠されているが、まだ来季のドライバーラインアップが決まっていないチームが数多く存在する。
写真:: Mark Sutton / Motorsport Images
早くも10月が終わり、11月になろうとしている2020年。今シーズンのF1は、新型コロナウイルスの影響で開幕が7月にずれ込んだものの、毎週毎週レースを開催するような形で、すでに11戦までを消化した。
このくらいの時期になれば、例年各チームのシートはほぼ埋まっているのが通常だ。しかし、過酷な日々の影に隠れてしまう形であまり明るみには出ていないが、まだかなりのシートが空席のまま残されている状態だ。
今後数週間のうちには、それらのシートは埋まることになるだろう。しかし現状における各チームの来季ドライバー事情を整理しておこう。
■メルセデス
メルセデスは、2021年も今年と同じルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスのラインアップを継続することがほぼ確実に見える。
ボッタスは、すでにシーズンの早い段階でメルセデスとの契約を締結した。ハミルトンはまだ契約を結んでいないが、延長は間違いないはずだ。
チーム代表のトト・ウルフは最近、今年のスケジュールが過酷であり、なおかつ新型コロナウイルスの感染が拡大している今の状況により、ハミルトンとじっくり話をする時間が取れなかったと語った。
「ルイスについて言えば、彼は最速のマシンに乗りたいと思っているはずだ。そして私たちのクルマには、最速のドライバーを乗せたい」
そうウルフ代表は語った。
「それは明らかなことだ。我々にはただ、膝を突き合わせて話をする時間を見つける必要があるだけなんだ」
■フェラーリ
フェラーリは、シーズンが始まる前に来シーズンに向けた動きを完了させた。
同チームは、シャルル・ルクレールとは長期的な契約を結んでいる。しかし、セバスチャン・ベッテルとの契約は、今季限りで延長しないことを決定。後任としては現マクラーレンのカルロス・サインツJr.を獲得することに成功した。
■レッドブル
マックス・フェルスタッペンはレッドブルとの長期契約を結んでいるが、もうひとつのシートについては、まだ不確実性が残っている。
アレクサンダー・アルボンは今年、確かに進歩を遂げており、ムジェロでは初めて表彰台を獲得した。しかしそれでも、チームが望むほどのパフォーマンスは見せられていない。
Alex Albon, Red Bull Racing
Photo by: Andy Hone / Motorsport Images
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは、アルボンが改善を続けることができれば、レッドブルのシートを確保し続けることができるだろうと語る。しかしその一方で、明らかな改善がみられないのであれば、ニコ・ヒュルケンベルグやセルジオ・ペレスのような経験豊富なドライバーを獲得する可能性があることも、彼は認めている。
レッドブルは、来月のトルコGPまでに、来季のラインアップを決定したいと考えている。
■マクラーレン
マクラーレンもフェラーリ同様、早い段階で2021年ラインアップを決定したチームだ。
ランド・ノリスはすでに契約を結んでいたが、カルロス・サインツJr.がフェラーリに移籍することを決めた後、後任探しにはほとんど時間はかからなかった。
マクラーレンは、ダニエル・リカルドをルノーから獲得。ノリスとコンビを組ませることに成功した。
■ルノー
ルノーは、ダニエル・リカルドの後任として、フェルナンド・アロンソを復帰させることに成功した。
アロンソは復帰に向けて意欲を見せており、すでに2020年型マシンをテスト。現在はチームのファクトリーで、シミュレータでの作業を連日こなしている。
エステバン・オコンはチームに残留するが、チームとしてはもう少し自信を深めて欲しいと考えている。
チーム代表のシリル・アビテブールは最近、次のように語った。
「多くの若いドライバーたちと同じように、彼は少し焦りを感じて、小さなミスを犯している。これが修正できないということを、まったく心配していない。彼はチームのサポートも受け、それを修正するだろう」
なお最近の噂では、ルノーはピエール・ガスリーの獲得を狙っているという。ただこの動きは2021年に向けてということではなく、早くとも2022年ということになるだろう。
■アルファタウリ
ピエール・ガスリーがイタリアGPで勝利を収めたことにより、レッドブル再昇格の議論が活性化した。しかしレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコ、そしてチーム代表のクリスチャン・ホーナーは、アルファタウリの雰囲気の中で、ガスリーの良さが活きているという旨のメッセージを発信し続けている。
ガスリーと同じくらいの速さと経験を持つドライバーを起用することは、アルファタウリにとって重要なことであるとみられる。これまではレッドブルのジュニアチームという位置づけだったが、最近陣営内部では、レッドブルの”姉妹チーム”という立ち位置にしたいという意向が強くなっているからだ。
ガスリーが2021年以降もチームに残ることは間違いないだろう。ただ、そのチームメイトについてはまだ明らかになっていない。
Yuki Tsunoda, Alpha Tauri, seat fitting
Photo by: Scuderia Alpha Tauri
レッドブルは、育成ドライバーの角田裕毅をF2から昇格させたいと考えているが、これは角田がスーパーライセンスを獲得できるかどうかにかかっている。もし角田がスーパーライセンスを手にできなければ、ダニール・クビアトの残留が濃厚になってくるだろう。
■レーシングポイント
レーシングポイントは、来季からアストンマーチンと名称を変更することになっている。そしてそのことも後押しになり、フェラーリを離脱することになったセバスチャン・ベッテルを獲得することができた。
ただベッテルを獲得したことにより、セルジオ・ペレスとの契約を解除しなければならなくなったが、ペレスはかなり遅い段階で契約を解除されてしまったため、限られたチームと交渉することとなった。
ベッテルのチームメイトは、ランス・ストロール。チームオーナーであるローレンス・ストロールの息子である。
■アルファロメオ
アルファロメオは、来季のドライバーラインアップをまもなく発表する予定だ。
キミ・ライコネンはチームに残り、最多出走記録をさらに更新していくのは、ほぼ確実であるとみられる。
チームメイトはまだ確定していないが、アントニオ・ジョビナッツィが残留する可能性が、高くなりつつあるようだ。
アルファロメオはフェラーリとのパートナーシップ契約により、ドライバーのうちひとりの選択権をフェラーリが持っている。つまり、ふたつあるシートのうちのひとつは、フェラーリの育成ドライバーのモノということを意味するわけだ。
当初はミック・シューマッハーがこのシートに収まるのは、ほぼ確実であるとみられていた。しかしここ数週間、ジョビナッツィは好ましい活躍を見せており、それがチーム残留の可能性を少しずつ引き上げているように見える。
■ハース
ハースは、2021年のドライバー候補として、10人をラインアップしていたという。チームは長期的な将来に向けた基盤を築きたいと考えており、ドライバーを一新することを決めた。
Nikita Mazepin, Hitech Grand Prix, 1st position, on the podium
Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images
ハースはポルトガルGP開幕前日の木曜日(10月22日)に、ロマン・グロージャンおよびケビン・マグヌッセンとの契約を、今季限りとすることを発表した。そしてその後任には、様々な候補が上がっている。
当初は、スポンサーからの資金も潤沢に持ち込むことができるセルジオ・ペレスが最有力候補と見られていた。しかし今では、そうはならないかもしれない。
現時点で最有力とみられるのは、現在FIA F2を戦うニキータ・マゼピンである。チーム代表のギュンター・シュタイナーは、ロシアGPの際にマゼピンの父親と話し合いを行なっていたのが目撃されている。
ふたつ目のシートには、ミック・シューマッハーが収まる可能性が高まっている。シューマッハーは前述の通り、当初はアルファロメオ入りの可能性が高かったが、現時点ではハース入りの可能性が急浮上。チームにとっては、フェラーリとの関係を強めるためにも、歓迎すべきドライバーと言えるかもしれない。
■ウイリアムズ
行き場所を失ったセルジオ・ペレスが、このウイリアムズに加入する可能性が高くなっているとみられる。彼のスピード、経験、そして母国メキシコのスポンサーからもたらされる資金を見れば、チームにとっては明らかに魅力的な選択肢であると言えよう。
ただチームは、ニコラス・ラティフィとジョージ・ラッセルというふたりの若手と、2021年の契約を既に結んでいる。そのため、ペレスを加入させるのは簡単ではない。
とはいっても、ほぼ全ての契約には、なんらかの解除条項が用意されているものだ。一番一般的なのは、適切な違約金を支払うというモノだ。
ただラッセルはメルセデスのサポートを受けるドライバーであり、将来のメルセデスのドライバー候補である。またラティフィは、母国カナダのスポンサーから支援を受け、シートを確保している。どちらがシートを失うことになるのか、難しいところだ。
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