スーパーライセンス獲得に失敗すれば来季は日本? 角田裕毅、F1に向け勝負のF2終盤戦へ
角田裕毅は、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコから、今季F2でランキング5位以内に入れなければ日本に戻る可能性があると示唆されているようだ。
写真:: Andy Hone / Motorsport Images
小林可夢偉以来となる日本人ドライバーのF1フル参戦に、角田裕毅が近付いている。彼は現在FIA F2選手権でランキング3番手につけており、残るバーレーンでの2ラウンドでこのままの順位をキープすれば、F1参戦に必要なスーパーライセンスの発給条件を満たすことになる。角田にスーパーライセンスが発給されれば、来季アルファタウリ・ホンダからデビューを果たすことになるとの公算が高い。
角田はここまで、シングルシーターの選手権で順調なキャリアを歩んできた。2018年に日本のFIA F4でチャンピオンを獲得すると、ホンダとレッドブルのバックアップを受けて渡欧。2019年はFIA F3を戦い、ユーロフォーミュラ・オープンも走った。
角田はF1.comのインタビューの中で、当時のことをこう語った。
「日本では自分自身のパフォーマンス、競争力に自信がありました」
「ヘルムート・マルコ(レッドブル・モータースポーツアドバイザー)は僕に、『レッドブルジュニアになるなら、他のF3ドライバーに負けないようにする必要がある。彼らと同じレベルでパフォーマンスを発揮しないといけない』と言っていました」
イェンツァーという決して戦闘力が高いとは言えないマシンでの戦いとなった角田は、コンスタントに入賞を重ねてはいたものの、なかなか上位フィニッシュできずにいた。そんな中、F2のスパ戦でアントワーヌ・ユベールが事故死。彼のドライビングスタイルをリスペクトしていたという角田は、翌日のF3レースで初表彰台を獲得すると、続くモンツァラウンドでは初優勝も成し遂げた。彼はそこに不思議な因果を感じている様子だった。
「スパが2019年のターニングポイントになりました。その週末にアントワーヌ・ユベールを悲劇的な事故で失いましたが、彼がその後の僕の成績に一役買ってくれたと思います」
「僕は彼から学び、彼のためにレースをしようと、事故の翌日のレース2に臨みました。そしてそのシーズン初めての表彰台を獲得できました」
「次のモンツァでは、表彰台と初優勝を記録しました。僕のパフォーマンスにおいてターニングポイントだったと思います。おかげでヘルムートに好印象を与えることができたと思います」
チームメイトが無得点に終わる中、1勝と3回の表彰台を記録してランキング9位に入る活躍が評価され、2020年はカーリンからFIA F2に昇格した。ただマルコから突き付けられた要求は高いものだった。
「ヘルムートから、今シーズンは5位に入ってスーパーライセンスを獲得しないといけないと言われました」と角田は説明する。
「5位になれば、F1で走る資格が得られる。でもそれができなければ、また日本で走る必要があるだろうと、彼は言っていました」
「厳しい条件だと思いますが、彼の考えに賛成です。ジョージ・ラッセル、ランド・ノリス、シャルル・ルクレールといった良いドライバーは、F2は1年で十分でした。2年も3年も必要ありませんでしたから」
今シーズンの目標を達成した暁には「良いお寿司を食べたい」と話す角田。今季は既に2勝・3ポールポジションを記録し、ルーキートップのランキング3番手。ランク6番手のニキータ・マゼピンまで7ポイントしか差がなく、全く油断ができない状況ではあるが、ここまでの自身のパフォーマンスにはある程度満足しているようだ。
「毎レース素晴らしいパフォーマンスを見せる必要があります」と角田。
「それはプレッシャーですが、そういうメンタリティで臨むことは良いことです。今年は悪くないシーズンだと思いますが、これから何が起こるのかはまだ分かりません」
「僕の夢はF1でワールドチャンピオンになることですが、F2で苦戦しているようではそれはかなり難しいでしょう。ランド・ノリスやジョージ・ラッセルのように、ルーキーシーズンから結果を出さないといけなかったんです」
角田は先日イモラでテストを行ない、F1のフリー走行出走に必要なF1マシンでの走行距離300kmをクリア。今季中のFP1出走が期待されている上、シーズン終了後のヤングドライバーテストにもアルファタウリから参加予定となっている。
「日本のファンは(日本人)F1ドライバーを待ち望んでいます。それはソーシャルメディアを見れば分かります」と角田。
「日本からのプレッシャーがあるかと言われれば確かにありますが、それは良いプレッシャーであり悪いプレッシャーではありません。彼らは日本人F1ドライバーを待ち望んでいて、僕はそれに最も近い存在だと思っています。彼らのためにもそれを実現したいです」
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