【ル・マン24h】小林可夢偉、”偽マーシャル”は「手しか見えなかった」
2017年のル・マン、クラッチトラブルに泣いたトヨタ7号車。その遠因となった”偽マーシャル”事件について、小林可夢偉が当時の状況を語った。
写真:: Marc Fleury
優勝が確実視される中、残り3分でル・マン制覇を逃してから1年。3台目のトヨタTS050ハイブリッドを投入する必勝体制で2017年のル・マン24時間レースに挑んだトヨタだったが、その3台ともがトラブルに見舞われた。
中でもトヨタ7号車(小林可夢偉/マイク・コンウェイ/ステファン・サラザン)は、小林のドライブでポールポジションを獲得するなど絶好調。決勝もクラッチトラブルに見舞われるまではトップを走っていた。
レース開始10時間前、すっかり日も暮れた中でコース上にセーフティカーが出動。このタイミングで、7号車はピットインした。ドライブを担当していた小林は、セーフティカーの隊列が通過するまで、ピット出口で待たされていた。
この時、”偽マーシャル”が突然現れ、小林のマシンに手で何か合図を行った。これをマーシャルによる”発進可”の指示だと勘違いした小林は、一度マシンを発進させてしまった。しかしこの合図を出したのは、LMP2クラスの”ドライバー”。すぐにチームからの無線によりマシンを止めたものの、一連の動作でクラッチにトラブルが生じ、リタイアの原因となってしまった。
当時の状況について、6月30日・7月1日に鈴鹿サーキットで行われたスーパーGTの公式合同テストに参加した小林は、このように話してくれた。
「合図をしているのは見えました。ただ、コックピットの位置が低くて、ルーフがあるからヘルメットが見えなくて、手の合図だけ見えました。ルール的にマーシャルがOKと言えば、信号が赤でも行っていいので。その時は信号が壊れているんやろうなと思って、動きました」
「ちょうど1分ぐらい止まっていたので、行けという合図をしていたから『信号が壊れたんかなぁ?』と思って動きました」
結果的に、その時にクラッチが壊れたのだが、判明したのはそれよりも後のことだったという。
「そこで無線で言われて止まって、また動いたときにクラッチが壊れました。壊れたことがわかったのは後のことでしたけどね」
この”偽マーシャル”はアルガルヴェ・プロ・レーシングのビンセント・キャピラリーであることがわかっており、本人は「小林を励ましたかっただけだ。今思えば行動は不適切だった。後悔している」と弁解。レースのスチュワードは彼の行動を問題視し罰金を科している。トヨタはすでに、彼からの謝罪を受け入れている。
取材・執筆/吉田知弘
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