【スーパーフォーミュラ】松下信治、唯一の”チャンス”だったスタートが上手くいかず……「ついていくだけのレースだった」

スーパーフォーミュラ第5戦もてぎで3位に入った松下信治(B-Max Racing Team)は、スタートが唯一ポジションを上げるチャンスだったもののそれが叶わず、あとはついていくだけのレースになったと語った。

Nobuharu Matsushita, B-Max Racing Team

Nobuharu Matsushita, B-Max Racing Team

Masahide Kamio

 松下信治(B-Max Racing Team)は、スーパーフォーミュラ第5戦もてぎで3位フィニッシュを果たした。松下はこれで、今季2度目の表彰台獲得となった。

 3番グリッドの松下は、スタート直後がポジションを上げる最大のチャンスだと思っていたという。しかしこれは叶わず……結局はスタートポジションのままレースを終えることになった。

「スタートしか(ポジションを上げる)チャンスがないと思っていたんですが、少しうまくいきませんでした。僕はスタートが得意なので、野尻(智紀/TEAM MUGEN)選手や関口(雄飛/carenex TEAM IMPUL)選手に絡めるかなと思っていたんですが、それがうまくいかなかったために、あとはついていくだけのレースになってしまいました」

 そう松下は語る。

「戦略では、ピットストップのタイミングの違いがありましたが、TEAM MUGENとcarenex TEAM IMPULはミスしないですし、隙がなかったです。レース中は同じようなペースで走れていたんですが、その中でも野尻選手は少しだけ抜け出しているようにも思いました」

 松下は、ピットストップのタイミングを前を行く2台よりも少し遅らせる戦略を採った。これは今回のレースの課題だったと、松下は言う。

「周りに合わせていくという戦略でした。その中で前のふたりが先にピットストップしたので、僕はひとりでの走行になって飛ばしたんですが……あんまりペースが良くなくて、入ってしまおうということになりました」

 松下はそう説明する。

「結局は曖昧な、メリハリのない作戦になってしまいました。これは、次の課題にしたいと思います」

 レース最終盤、松下にプレッシャーをかけてきたのは平川亮(carenex TEAM IMPUL)だった。平川はピットストップのタイミングを大幅に遅らせ、フレッシュタイヤで松下を攻めた。しかし松下は、この攻撃を封じ込めてみせた。

「後ろからは、平川選手が異なる戦略で、良いペースで迫ってきていました。でも絶対に行かせないという気持ちで走り、抑え切ることができたので、良かったと思います」

 それでも、最後の最後は平川が仕掛け、横並びになるシーンもあった。

「ここで抜かれたらダサいなと思って走っていました。でも僕はブレーキングですごく奥まで行きます。ですから(S字で)これ以上行ったら止まれないよ……というところまでブレーキを遅らせたんですが、案の定彼は止まれませんでしたね。見ている皆さんは面白かったんじゃないですかね」

 レース後松下は、勝った野尻を称えたという。

「彼は幼馴染でもあるし。2018年にはスーパーフォーミュラでチームメイトだったということもあります。彼はその時とは比べ物にならないほど強くなっていて、ちょっと差をつけられたなと思っています。そのリスペクトを込めて、”おめでとう”と言いました」

 これについて野尻も、次のように語っている。

「松下選手からそういうコメントをもらって嬉しいですし、僕も彼を尊敬しています。自分が持っていないところを、彼から盗まなきゃいけない。去年スーパーGTで一緒に走った時には、学ぶことがありました」

「彼には『次は負けないよ』と言われたので、僕も負けないように頑張っていきたいと思います」

 

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